SF supervisors change tune on Big Tech: City is ‘not just a place to be mined’
5月7日付 サンフランシスコ・クロニクル紙
リーマン・ショックによる不況からの回復途中だった8年前、サンフランシスコ市は複数の税制を変更して企業が市内に残るよう促したと記事は指摘する。例えば、市中心部に近いseedy(みすぼらしい)な場所に会社を移転すると、payroll tax break(給与税の減税)の対象となり、ツイッター社はそれを利用したという。しかしその制度のsunset date(自動的に廃止される期限)が近づいた今年、Board of Supervisors(市議会)は期限延長を求めなかった。それだけBig Tech(大手ハイテク企業)への態度が変わったことを示している。
サンフランシスコ市は多くのハイテク企業が集まる都市として知られている。そうした企業の近年の繁栄には、功罪相半ばする影響があったと記事は指摘している。というのも、同市に多額の税収をもたらした一方、そのような企業で働く高所得者が大勢住むようになり、同市の家賃と住宅価格はsky-high(とてつもなく高く)なったのだ。貧富の差は一層拡大し、ホームレスの数は危機的状況と言えるほどに増加、交通渋滞も激しい。
市議会が減税を延長しなかったという判断が妥当かどうかは検討の余地があるが、市議会メンバーはこの判断はハイテク企業のためだと考えているという。かつては雇用機会をもたらし経済成長に貢献すれば企業の役割としては十分だったが、ハイテク企業への期待はさらに高まり、今では市が抱える問題の解決に助力することまで期待されているという。企業にとってサンフランシスコ市はplace to be mined(資源を採取する場所)だけでなく、よりよく機能するよう協力するべき社会でもある、という意識が市民の間に高まっているのだ。ちなみに、ゴールド・ラッシュを機に都市として発展したサンフランシスコ市の歴史を考えると、ここでminedという言葉が使われるのは面白い。
ハイテク企業からの税収を増やすため、現在は様々な案が検討されている。例えば、今年は同市の多くのハイテクベンチャー企業がIPO(initial public offering、新規株式公開)で上場する予定なので、上場企業の株式型報酬への課税が提案されている。ウーバーやLyft(リフト)の配車サービスの運賃料に1.5~3.25%課税する案もあるという。
サンフランシスコ市に本社のあるハイテク企業には、同市から離れたくないと思っているところも多く、従業員も同市に魅力を感じているため、他都市に引っ越したがらない。しかし、どんな企業でもlook out for their bottom line(利益に注意しければならない)し、株主の利益を考えなければならない。もしサンフランシスコ市が企業にとってinhospitable(住みづらい)環境になったら、企業が出ていく可能性もある。そんなことになったら、サンフランシスコ市はそれこそ金の卵を産む鶏を殺してしまうことになる。