携帯のローミングが不通に
アスマラの国際空港に着いたのは、独立記念日の前日の夕方。まず驚いたのが、国際ローミングをしようとした携帯電話の電波が入らないこと。日本と南アフリカの携帯電話は両方とも、発着信ができなくなってしまいました。外国から来た私が現地のSIMカードを買うのは手続きが複雑なため、断念。結局、滞在した4日間、ずっと電波が入らないままでした。
ホテルでWi—Fi(ワイファイ)をつなげようと思っても接続が途切れがちで、メールの送受信がやっと。ツイッターやフェイスブックといったSNSも接続制限がかかっていました。他の宿や現地の人が使っている携帯電話もネット接続は遅いらしく、地元男性(58)は「携帯電話で動画なんてめったに見られないよ」と嘆いていました。
夜でも一人で出歩ける安全さ
一方で、私が街中の喫茶店などで取材していても、監視されるようなことはありませんでした。夜でも一人で出歩くことができ、他のアフリカ諸国に比べても安全だと感じました。
アスマラ中心部の大通りでは、記念日を祝おうと電飾がともされ、国旗が掲げられていました。野外ライブも始まり、子ども連れの姿や酒に酔った若者たちの姿も目立ちました。午前0時、独立記念日を祝う花火が打ち上げられました。笑顔で写真を撮っている彼らの姿は、他の国の若者と変わりませんでした。
今回の記念式典は、多くのエリトリア人にとって、特別な日でした。国境を巡る対立が20年も続いていた隣国エチオピアとの間で外交関係を再開することで合意してから、初めての開催だったためです。
会場の国立競技場には7千人以上が出席。幼い時に米国に移住し、式典のために戻ってきたというセナイト・ガブレハネスさん(39)は「エリトリア人はずっと平和を求めてきた。本当に幸せ」と笑みを浮かべました。
1993年から大統領の座にあるイサイアス氏も出席するなか、式典では10代の男女が銃を持って行進。人気歌手の歌や高校生たちのショーでも盛り上がりました。式典が終わってイサイアス氏が貴賓席から下りると、若者たちにあっという間に囲まれるなど、人気ぶりも垣間見えました。
日本のバンドも人気
また、日本から招待されたバンド「HEAVENESE(ヘヴニーズ)」も、現地で人気を集めました。東京でのライブを駐日エリトリア大使館の大使が観賞したのをきっかけに、招かれたと言います。
メンバーは、21日、22日にアスマラの劇場や野外ステージで公演。サックスなどの洋楽器や、和太鼓や尺八などの和楽器を組み合わせた演奏を披露しました。ライブ風景は地元の国営テレビが放送。街中で地元の人に声をかけられるなど、一躍時の人になりました。
リードボーカル兼ピアノのマレさんは「私たちの演奏や言葉に、観客が総立ちで拍手や歓声を送ってくれた。エリトリアは『アフリカの北朝鮮』なんて報道されることもあるけど、そんな感じはしなかった。人も穏やかだし、仲間を見つけたような感覚になった」と感動していました。