ロ朝首脳会談が開かれた4月25日午後、ロシアのウラジオストク市内にある北朝鮮料理店「高麗館」は多くの客でごった返し、従業員は接客に追われていた。韓国人の団体観光客20人余りがキムチチゲや石焼ピビンパを注文すると、北朝鮮女性従業員2、3人で数十の料理を提供するのに目の回るような忙しさに見えた。ロシア現地の1組を除けばほとんどの客が韓国人だった。
ウラジオストクには高麗館を含め北朝鮮料理店が3軒ある。高麗館の従業員は「どこもお客さんがよく入っている」と話す。店の収入はほとんどが平壌に送られるため、このような店は北朝鮮にとっては重要な外貨獲得の窓口の一つだ。高麗館の場合、平壌冷麺が390ルーブル(約700円)、オイソバギ(注:キュウリのキムチ)1皿250ルーブル(約450円)で、ロシアの安い物価からすれば高い方だ。
このような外貨獲得法は今年で終わる。2017年12月に採択された国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁決議2397号により、外貨獲得のために海外に派遣された北朝鮮労働者たちを今年末までに全員北朝鮮に送還しなければならない。2017年に3万人余りいたロシアの北朝鮮労働者は、昨年末1万1490人まで減っている状況だ。
高麗館を管理する中年の北朝鮮男性支配人に「来年もまた来たいけど営業していますか。労働ビザの延長ができず、来年の営業は難しいのでは?」と尋ねたところ、「(ビザ制限)制裁期限は今年末です。うまくいけばいいのですが」と答えた。来年には店をたたんで北朝鮮に送還されるのか、本人もよく分からないという。「首脳会談でビザの延長も議論されるのでは」と聞くと、「首脳会談は祖国統一のような大きな話をする場で、(ビザ延長のような)小さな問題は……」と言いかけたが、「(ビザが)私たちにとっては最も重要な問題」と、期待するような素振りも見せた。
(2019年4月26日付東亜日報 ウラジオストク=ハン・キジェ記者)
(翻訳・成川彩)