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エルサルバドルのコーヒー農園主が来日 気候変動に悩みつつ最高の豆作りに挑む

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来日したコーヒーバイヤーのエリオット・ベンゼンさん、農園主のカルロス・バトラスさんと、スターバックスのコーヒースペシャリスト、田原象二郎さん(左から)=写真は全てスターバックスコーヒージャパン提供
来日したコーヒーバイヤーのエリオット・ベンゼンさん、農園主のカルロス・バトラスさんと、スターバックスのコーヒースペシャリスト、田原象二郎さん(左から)=写真は全てスターバックスコーヒージャパン提供

気候変動や人口増加で、コーヒー種の6割が絶滅するかも知れないーー。今年1月、米国の科学誌「サイエンス」にそんな研究結果が発表された。コーヒー豆栽培の現場はどうなっているのだろう。コーヒーチェーン「スターバックスコーヒー」の招きで来日したコーヒーのバイヤーと生産者の話を聞いた。

来日したのは、中米エルサルバドル最大級のコーヒー農園「モンテカルロス農園」の生産者、カルロス・バトラスさんと、スターバックスで世界に4人しかいないというコーヒーバイヤーのエリオット・ベンゼンさん。同社が2月末、バトラスさんが栽培した3品種のコーヒー豆を発売したことを記念しての来日だ。

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コーヒーへの取り組みを語るエリオット・ベンゼンさんと、カルロス・バトラスさん(右から)

バトラスさんは農園の5代目オーナー。農園は火山の噴火口を取り巻くように広がるユニークな場所にある。コーヒー畑は約500ヘクタールの広さで、標高1500~1800メートルに位置している。パカマラ種を1992年に世界で初めて商業生産した農園で、現在は、ほかにブルボン、カトゥーラ、カトゥアイの4種を栽培している。

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カルロス・バトラスさんの「モンテカルロス農園」。火山の斜面に広がるユニークな農園だ

寒暖差の激しい標高の高い畑は、高品質の豆が収穫できる理想的な場所だ。だが、その標高ゆえに畑には強風が吹き、葉を吹き飛ばしてコーヒーの収量に大きな影響を出す。そのため、コーヒーの木を取り囲むようにしっかりと防風林を植えて強風を防ぐなど、工夫と手間が欠かせない。 

そんなバトラスさんの農園でも、気候変動の影響が感じられるという。一つには気温の上昇だ。「特に標高の低い所で、影響が大きい」とバトラスさん。コーヒーを直射日光から守るため、さらに念入りに日陰用の木を植える必要が出ている。

また、気温の上昇の影響で、「さび病」が広がっているという。「さび病」とは、コーヒー農家が最もおそれるコーヒーの木の病気の一つで、感染すると葉がさび付いたように褐色になって落ち、コーヒーの実の収量が落ちるだけでなく、木そのものを枯らしてしまう。さび病のために、通常の半分ほどしか出荷できなかった年もあるという。

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カルロス・バトラスさんの農園があるエルサルバドルについて説明するエリオット・ベンゼンさん

「気候変動の影響だろう。今では標高1800メートルの場所でもさび病の影響が出ている」とバトラスさん。農園では農薬を使って病気を抑えることができているが、自然環境への負荷が少ない高価な農薬を使っているためコストは高くつき、それは以前の2倍程度になっているという。

そんな状況の中で、消費者ができることはあるのだろうか。

その問いにバトラスさんは、「最高のコーヒーは環境を守りながら作られている。そういうコーヒーは値段が高いかもしれないが、その事実を知って欲しい。そんなコーヒーを消費者のみなさんに飲んでもらうことが、環境を守ることにつながる」ときっぱり。

スターバックスも、コーヒー栽培における環境負荷や労働条件などのガイドラインを設け、取引のある生産者に遵守を求めるなどの取り組みを続けているほか、病害虫に強い種の開発にも力を入れているという。世界のコーヒー農園を回っているベンゼンさんは、「コーヒーも農産物。気候に大きな影響を受け、栽培も非常に難しい。それでも、100年先もおいしいコーヒーが飲めるよう努力していきます」と話していた。

バトラスさんのコーヒーは、2月28日より店頭に並んでいる。