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サッカー・アジアカップで突き付けられた現実 縮まる力の差 

アジアの渡り鳥
チャーチルブラザーズ(インド)でプレーしていたとき、アジア・チャンピオンズリーグのプレーオフでUAEの首都アブダビへ=伊藤壇さん提供

サッカー日本代表は、2月1日にUAEで開かれたアジアカップの決勝でカタールに1-3で敗れ、準優勝に終わりました。前回の8強よりはいい結果でしたが、現状の厳しさも突き付けられました。日本などアジアの20の国や地域でプレーをしてきた身として振り返ります。

まず、なによりここ20年、アジアのサッカーを引っ張ってきた日本と、アジア各国との力の差が急速に縮まってきています。日本がワールドカップのベスト8入りを目指している間に、アジアの国々は「日本に追いつけ追い越せ」と強化を図ってきたのです。

日本ではヨーロッパや南米のサッカーにばかり関心が行き、アジアの情報はあまり知られていません。一方で、アジアの人々は日本代表やJリーグの情報を驚くほど把握しています。

初優勝を飾ったカタールは、次回2022年ワールドカップ開催国ですが、これまでワールドカップに出場したことがありません。しかしワールドカップを見据え、立派な施設を設け、ヨーロッパから実力のあるコーチを招くなど資金をつぎ込み、若い世代を育ててきました。その結果が表れてきています。

アジア全体がレベルアップしているとも感じました。カタールの強さは想定内でしたが、特に印象に残ったのはベトナムの強さでした。ベトナムは準々決勝で日本と対戦して0-1で敗れはしましたが、日本ゴールを脅かすシーンが何度も見受けられました。

サイゴンポート(ベトナム)でプレーしていたときに住んでいたタンロンスポーツセンター=伊藤壇さん提供

ベトナムは1月に行われた東南アジアサッカー選手権「AFFスズキカップ」で優勝しています。しかし決して急に強くなったわけではなく、僕がベトナムリーグでプレーをしていた15年以上前からポテンシャルは感じていましたし、さらに近年、韓国人監督を迎えてフィジカル面を強化したことが、この結果に結びついたのではないかと言われています。世代交代により、若い選手が中心となっており、僕と一緒にピッチに立っていた選手はいませんでしたが、アシスタントコーチは知人でした。

決勝トーナメントは16カ国中、半分の8カ国がカタールなど中東の国で占められ、力を付けていると感じさせました。一方、これまで日本のライバルだった韓国やオーストラリアはあまりインパクトを残せず大会を去ることとなりました。

決勝トーナメント1回戦のサウジアラビア戦は終始、相手に主導権を握られる形でしたが、最終的に日本が1-0で勝ちました。逆に決勝のカタール戦は、日本が押し込むシーンが多々見られましたが、結果がついてきませんでした。サッカーはゴールを奪うスポーツなので、シュートをたくさん打とうがボール支配率が高かろうが、ゴールネットを揺らさなければ意味がないのです。日本は今大会で、自分たちの現在の立ち位置を把握できたのではないでしょうか。

日本代表の指揮官が森保一監督に変わり、今までチャンスがあまりなかった若手選手も選出されるようになりました。中でもMF南野拓実選手のプレーに釘付けになりました。特に印象に残っているのは、イランとの準決勝での後半10分、敵陣ペナルティーエリア手前で相手に倒されましたが、すぐに起き上がりボールに追いつき、FW大迫勇也選手の先制点に結びつくクロスを上げたシーンです。試合終了のホイッスルが鳴るまで、最後まであきらめず貪欲にゴールを目指す姿は、見ている者に感動を与えます。

ドバイの砂漠ツアーに参加したとき=伊藤壇さん提供

グループリーグ最終節のウズベキスタン戦で決勝弾を決めた塩谷司選手は、UAEのアルアインに所属しています。そして、今月、ポルトガルリーグでプレーをしていた中島翔哉選手がカタールリーグのアルドバイルに電撃移籍しました。報道によると、移籍金は3500万ユーロ(約43億7500万円)で、日本選手としては中田英寿さんを上回る史上最高額として話題になっています。

今まで、日本人選手の移籍先はヨーロッパや南米が王道でした。しかし、この2人のように中東やアジアに移籍する選手が増えることにより、選手から現地の生の情報が入り、日本代表にとっても大きな利点となるはずです。ワールドカップやオリンピックではアジア予選を避けては通れません。足元をすくわれないよう、アジア各国の情報収集が重要となってきます。

最後に僕の近況です。グアム・リーグへの移籍を模索中ですので、次回を楽しみにしていてください。(構成、GLOBE編集部・中野渉)