9月に実施されたスウェーデン総選挙。選挙中の10日間、首都ストックホルムで取材した、各政党の選挙活動を振り返ってみた。
お隣の国ノルウェーと同じように、スウェーデンでは各政党がスタンドを設置し、さまざまなグッズや政策プログラムを無料配布している。
各党では文房具、飲食物などが無料配布される。ノルウェーでもスウェーデンでも、何を配っていいかというルールは国や自治体では決められていない。
ものを無料配布することで、「有権者や、選挙権を将来持つ若者が党に特別な好感度を抱いてしまう」というような懸念は、ノルウェーでもスウェーデンでもないようだった。
「日本では、文房具や食べ物を配っちゃいけないの?なぜ?」とむしろ聞き返されることが多かった。
「私たちは、グッズに左右されるほどバカではない、政策とは別」と、ノルウェー・スウェーデンでも返ってくる言葉は同じ。
ポスターも貼り放題で、そのサイズが均一なのか、金銭的や人員に余裕のある党にとって有利なのでは、という批判も聞かなかった。
むしろ、市民が気に食わない政党のポスターをはがしたり、落書きするなどして意思表示。
日本と比べると、強く感じるのは、政治についての質問がとてもしやすい、「なぜ、そうなの?」と政治について興味をわく環境ができあがっている。
各地域にあるスタンドでは、気になることを聞いて、政治の話ができる。井戸端会議みたいに、カフェでおしゃべりしている感覚で。
政治家と子どもたちが、当たり前のように、自分たちの社会の未来について意見交換できる。
個人的には、こちらのほうが、「楽しい」と感じる。
日本での「ノーマル」は、北欧では「アンノーマル」だった。
ノルウェーとスウェーデンでは、若者の政治参加、無料配布グッズ、戸別訪問、スタンドの使用方法に大きな違いはないように感じた。ただ、スウェーデンのほうが、街頭ポスターに関して規制がなく、スタンドデザインを毎回変えるという意味では、変化や多様性に溢れていた。
写真でも見てわかるように、政治を「楽しく」「わかりやすく」する工夫が、いろいろなところで仕掛けられている。
Photo&Text: Asaki Abumi