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欧州目指し、命をかけて砂漠越えるアフリカの若者たち

アフリカを旅する 更新日: 公開日:
ニジェール中部の都市アガデスの路上で遊んでいた子どもたち=9月19日、石原孝撮影

貧困から抜け出そうと、ヨーロッパを目指す西アフリカの若者があとを絶ちません。途中のサハラ砂漠や地中海で命を落とす危険がありながら、なぜ彼らはヨーロッパに向かうのか? 実態を知りたくて、移民らの多くが集まる国、ニジェールを訪れました。

周辺国と比べても貧困層が多いニジェールですが、人々は穏やかで、カメラを構えると気さくにポーズを取ってくれました。伝統衣装を着た人や羊をさばく刃物を持ってポーズを決める男性にも出会いました。

羊をさばく刃物を持ったままポーズを取る男性=9月18日、ニジェールの首都ニアメ、石原孝撮影

中部の都市アガデスには4年ほど前、毎週のように千人以上の密航希望者が集まり、地中海に面するリビアに向けて出発しました。現在は地元当局や欧州の移民受け入れが厳しくなり、希望者の数は減少気味です。

それでも、コートジボワール出身のスモル・キーマンさん(18)はヨーロッパ行きをあきらめていません。「父が幼い時に亡くなり、母だけで私を育ててくれたが、貧困状態が続いていた。国にいても希望がない」と語りました。

アフリカ大陸が記された地図を取りだし、ヨーロッパへのルートを説明する業者の男=9月20日、ニジェール中部のアガデス郊外、石原孝撮影

移民らの密航を手がけるギニア出身の業者の男は、毎月100人近い若者の密航を手配。アフリカ大陸とイタリアやスペインが記された地図を広げ、「裕福な暮らしをする権利は誰にでもある。自分たちの国にはそれがない」と嘆きました。

アガデスからリビアまでの道のりは日本製の四輪駆動車を使って約2週間。途中で故障すれば命取りです。男は「砂漠道では、頑丈で故障しにくい日本車が一番。日本がアフリカに近ければ、間違いなく多くの若者が目指していただろう」と言っていました。