アフリカ東部にある南スーダンは、2011年に独立した「世界一新しい国」です。ところが、その2年後に政府と反政府勢力が衝突し、内戦に陥りました。今でも全人口の約3分の1にあたる約430万人が、避難生活を続けています。
陸上自衛隊が国連平和維持活動(PKO)として派遣されていた時は、日本でも内戦の状況がニュースで大きく取り上げられました。ただ、自戒を込めて言うと、昨年5月に自衛隊が撤収した後は、南スーダン関連のニュースは少なくなったように感じます。
私が首都ジュバを今年5月に訪れた時は、市場に人があふれ、一見すると平穏にも思えました。取材した防衛大臣や雑貨店店主も、「ジュバは安全だ」と口をそろえます。ただ、ジュバにも避難民キャンプはあり、夜になると警察が検問に立ち、警戒を続けています。
地方に行くと、さらに事態は深刻です。南スーダン最大の国内避難民キャンプがある北部ベンティウでは、女性が日銭を稼ぐためにキャンプの外に出て、薪を拾い集めていました。
45度近い最高気温の中、往復で約5時間の道のり。政府軍と反政府勢力の戦闘に巻き込まれたり、レイプされたりする女性もいるようです。それでも、取材した女性(30)は「子どもを養うために、他に選択肢がない」と話しました。
避難民キャンプでは、寝床があるシェルターに明かりがないため、夜になると子どもたちが外灯の下で勉強していました。すり切れた洋服を着た男児や、栄養失調のせいで医療施設でぐったりしていた幼児らも見ました。
今月5日、現地から良いニュースが届きました。キール大統領と反政府勢力トップのマシャル元副大統領が、暫定の連立政権に向けた協定に合意し、署名したのです。過去に両者の間で結ばれた和平合意が崩壊したこともあり、まだ楽観はできません。ただ、今回の合意によって今度こそ内戦が終結し、国民が平穏に暮らせる日が来ることを願ってやみません。