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半導体産業にスペシャリスト人材を!学生と女性を強力に支援する育成プログラム

Sponsored by マイクロンメモリ ジャパン株式会社 公開日:
マイクロンメモリジャパンのジョシュア・リー代表取締役
マイクロンメモリ ジャパン社の取り組みを語るジョシュア・リー代表取締役

テクノロジー業界における理系人材の不足が深刻になる中、半導体各社が産学連携でこの課題に挑もうと新しいプログラムを創設しました。日米11大学が参加するパートナーシップ「UPWARDS for the Future」です。プログラムを主導するのが、DRAMなど最先端の半導体メモリで世界をリードするマイクロンテクノロジーです。大学側との連携の進展や、優秀な人材を確保するための同社のビジョンなどについて、日本法人マイクロンメモリ ジャパンのジョシュア・リー代表取締役が語りました。

※半導体の未来に向けた人材育成と研究開発のための日米大学パートナーシップ。UPWARDSは「University Partnership for Workforce Advancement and Research & Development in Semiconductors」の略

「半導体カリキュラム」の授業も 人材育成へ日米11大学とタッグ

UPWARDS for the Futureがスタートしたきっかけは、2023年5月のG7広島サミット。半導体分野の次世代人材を育てるプログラムの覚書に、米国のアントニー・ブリンケン国務長官と永岡桂子文部科学大臣(当時)が調印しました。

プログラムは、半導体の人材養成の拠点を形成し、半導体のカリキュラムを履修する学生の増員や新たな研究活動の強化を目指しています。同時に、「STEM」(科学・技術・工学・数学)と呼ばれる理系分野での男女格差の解消や、人材育成と雇用機会におけるDEI(多様性・公平性・包摂性)にも貢献しようというものです。

業界・学術界・政府が一体 「連携の模範例です」

参加しているのは、日本から広島大、東京科学大、東北大など5大学、アメリカからボイシ州立大(アイダホ州)、パデュー大(インディアナ州)など6大学。パートナー企業としてマイクロンメモリ ジャパンのほか、東京エレクトロン、米国国立科学財団(NSF)が協力しています。5年間の支援額は6000万ドル。

プログラム開始から約1年半の間に参加した学生と教員は日本で計3500人。2200人が講義や授業で学び、半導体製造に不可欠なクリーンルームを400人が体験、300人の学生や教員が交流しました。女性の参加者は800人で、2024年4月には12人の女性が、パートナーシップの活動を指導的立場でサポートする「UPWARDS教員」に任命されました。リー氏は「業界と学術界、そして政府と連携ができている模範例の一つであり、今後についても非常に期待しています」と話しています。

2024年12月に東京都内で開かれた、国内最大級の半導体業界展示会「セミコン・ジャパン」のマイクロンメモリ 
 ジャパン社のブース
2024年12月に東京都内で開かれた、国内最大級の半導体業界展示会「セミコン・ジャパン」。マイクロンメモリ ジャパン社のブースでも最新鋭の製品が紹介されました

「女子学生に興味を持ってほしい」五つの柱でアプローチ

UPWARDSのプログラムでは、「カリキュラムデザイン」「半導体分野の女性支援」「体験学習(ラボ実習)」「半導体、メモリ研究(非知財)」「学生・教員交流」という五つの柱で取り組みを進めています。

「カリキュラムデザイン」は、半導体の設計や開発などに特化したカリキュラムの策定です。広島大では修士課程の学生を対象とした企業と提携した講義を設けるなど、新しいコースや特別講義の設計が進んでいます。「体験学習(ラボ実習)」に関しても、クリーンルームでの実地体験など貴重な機会が提供されています。

「半導体分野の女性支援」は、伝統的に男性の比率が高かった半導体業界にとって重要なテーマです。リー氏が「我々のやりたいことを女性に支持してもらうことが、業界の成長を支えていく」と話すように、女子学生へのアプローチが必要となります。

人材育成プログラムに参画する東北大学の田中真美教授
人材育成プログラムに参画する東北大学の田中真美教授。「工学系の女子学生を増やしたいという思いで活動してきた」と話します

半導体業界で女性が働く将来像「見えない不安があると思う」

プログラムではこの1年半の間に、サマーキャンプやインターンシップ、専門能力開発のためのネットワーキングなどの機会を増やしました。マイクロンの工場でも「ウーマンエンジニアリングデー」といったイベントを開催したそうです。

プログラムに参画する東北大の田中真美教授は「学生にとっては、半導体業界で女性が将来働いていく姿が見えないという不安があると思います。UPWARDSのプログラムで生の声を聞かせていただけるのは、業界に興味を持つ機会になるでしょう」と話します。

マイクロンメモリ ジャパンでDRAM開発を担当するシニアバイスプレジデントの白竹茂氏
マイクロンメモリ ジャパンでDRAM開発を担当するシニアバイスプレジデントの白竹茂氏(右)。「UPWARDSプログラムによる人材育成は、AIなどに対応した将来の製品開発に不可欠」と語ります

国内発電能力の限界に……「エネルギー効率改善は急務です」

「最近ではパソコンや、皆さんがお使いのスマートフォンの中でもAIが使われており、バッテリー消費が長時間維持できないと、機器を十分にご使用いただくことができません。高性能なメモリからエッジデバイスと呼ばれる個々の端末製品まで、半導体メモリであるDRAMの製品ポートフォリオを非常に幅広くカバーしないといけない状況になっています」

そう語るのは、マイクロンメモリ ジャパンでDRAM開発全般を担当するシニアバイスプレジデントの白竹茂氏。性能を上げつつもエネルギー効率を改善しないと、数年後には国内の発電能力をオーバーしてしまうそうです。「5年後10年後を見すえ、小中高生を含む若い世代にも、半導体は将来の社会のために必要だと伝えていくことが、我々の大事な役目だと考えています」

関根和弘・朝日新聞GLOBE+編集長のインタビューに答えるジョシュア・リー代表取締役
関根和弘・朝日新聞GLOBE+編集長(右)のインタビューに答えるジョシュア・リー代表取締役(左)

「業界に女性のロールモデルが必要」ジョシュア・リー代表取締役のビジョン

リー代表取締役はGLOBE+の個別インタビューに応じ、“理系離れ”などの課題とどう向き合い、UPWARDSのプログラムを通じてどのような人材確保のビジョンを描いているのかなどについて関根和弘編集長に明かしました。主なやりとりは次の通りです。(以下、敬称略)

関根 日本では少子化の問題に加え、若者の“理系離れ”が進んでいます。このままだと科学・技術・工学・数学といった分野に深刻な人材難が起こるのではないかと言われています。半導体産業も例外ではないと思うのですが、どのように対応していくお考えでしょうか?

リー これは日本だけの問題でなく、我々の業界だけの問題でもありません。多くの国や業界が同様の課題をかかえており、戦略を持って対応しなければいけません。UPWARDSのプログラムのように大学とパートナーシップを結ぶことは非常に重要で、業界と学術界、政府が連携していくことにもつながります。

STEMに触れるプログラムに参加したガールスカウト日本連盟のメンバーたち
STEMに触れるプログラムに参加したガールスカウト日本連盟のメンバーたち。女子生徒に理系を志してもらうため、さまざまな機会を設けています

女子中学・高校生が半導体に触れる 効果的な体験プログラム

我々には明確な戦略があり、女性を半導体の業界に呼び込むことも重要だと考えています。そのためには、大学レベルだけではなく、より若い年代層に対してリーチをして、認知を上げる必要があります。例えば、ガールスカウト日本連盟と「チップキャンプ」というプログラムを開催しています。中学生や高校生といった世代の女子生徒が半導体のチップに触れ、ミニロボットなどを自分の手で作り上げていく体験をしています。

関根 早い年齢で科学に興味を持ってもらえるようアプローチすることが効果的なのですね。

リー できるだけ早く始めた方がいいでしょう。産業において何が必要なのかを見すえて、生徒の年齢に合わせたプログラムが必要です。広島では県と協力して、我々のエンジニアを高校に派遣し、我々がいかにAIを使っているのかを教えています。このようなプログラムにおいては、学生が興味のあるものを作り上げ、保護者にもニーズがあると理解してもらうことが大切です。

関根 女子が理系に進学するのをためらう傾向は、どうして起こるのでしょうか?

リー 重要なのはロールモデルです。こういう人になりたいというロールモデルが必要ですが、STEMの世界では、まだ女性のロールモデルは少ないと思うのです。これを変えなければいけません。UPWARDSでは、女性の「UPWARDS教員」やリーダーが来て講演などを行っています。彼女たちは、どんな成功をしたのか、そして(女性が活躍するために)どんな課題があるのかを明確に示してくれます。

マイクロンメモリジャパンのジョシュア・リー社長

社員と雑談「コーヒーチャット」課題をカジュアルに共有

リー マイクロンの社内でもダイバーシティを重視し、一人ひとりの見解を共有するさまざまな場を設けています。私は社員たちと雑談する「コーヒーチャット」を行っていますが、さまざまな課題をカジュアルに話す機会になっています。職場に保育所がないという声を聞いて、どのようにすれば効率的に対応できるかという方法を考えたこともあります。

関根 日本ではやはり「男性社会」という文化的な土台や慣習が、女性が理系に進むのを阻むのに影響していると思うのですが。

リー そういった見識を若い時から変えることができれば、彼女たちが大人になった時に影響力を行使できるようになります。女性の皆さんには、大胆になってほしい、勇気を持ってほしいと常に思っています。先ほど話したチップキャンプでは、ガールスカウトの小さな女の子が、勇気を持って経験談を語ってくれました。非常に素晴らしいことです。我々は彼女たちをサポートしていく考えです。

そういったサポートを続けることによって、文化的な認識を変えることができますし、一緒に道を歩むことができるのではないでしょうか。

多様性がもたらすイノベーション それこそが成長の糧

関根 女性の採用割合を大きく上昇させていますが、どのような効果をもたらしていますか?

リー マイクロンは最も先進的なDRAMを、日本で開発し日本で製造しています。エンジニアをはじめとする最先端の人材を擁することは、我々にとって大きな優位性であり、常に最先端を走ることができている理由でもあります。多様性を受け入れインクルーシブであることで、女性たちは自分自身を表現することができ、キャリアを切りひらけるのです。ジェンダーであれ国籍であれ、多様性によって我々は日本で成功を収めることができたと思っています。

関根 性別に限らず多様な人材を確保することは、企業にとってどんなメリットがありますか?

リー イノベーションこそが成長の糧であり、特に半導体業界に当てはまります。女性人材の登用などによって、世界中から多様なアイデアを集めることが重要です。

マイクロンは複数の国で事業を展開しており、日本だけでも40の国籍を持った人たちが働いています。グローバルに働くことは大切で、それによって思考も柔軟になりますし、コミュニケーション能力も高まり、自分のアイデアを伝えることができるのです。

関根 採用方針や実際の職場環境について、実際にどのような評価を受けていますか?

リー 当社はGreat Place to Work® Instituteの「Best Workplaces in Japan」に4年連続で選出されています。半導体メーカーで唯一の認定企業であり、その企業文化は高い評価を受けました。

マイクロンメモリジャパンのジョシュア・リー社長

関根 最後に、理系に進学することの魅力や意義について、若い世代に向けてメッセージをお願いします。

リー 半導体は、今後なくなることはないでしょう。AIの背後には半導体があり、半導体は生活のあらゆる面に関わっています。たとえば、人間の動きを学習しサポートするAIロボットは、介護や医療の現場でも求められています。半導体の技術は、多くの人々の生活をより意味あるものにすることを、自分の生涯やキャリアを通してずっと追いかけることができるのです。だからこそ若い方々には、半導体のキャリアを選択肢として考えていただきたいと思います。