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家庭で使えるポータブル蓄電池が急速に普及 背景に災害への備えと低価格化

World Now 更新日: 公開日:
家電量販店の売り場には様々なタイプのポータブル蓄電池が並ぶ=2024年7月30日、東京都千代田区のビックカメラ有楽町店、荒ちひろ撮影
家電量販店の売り場には様々なタイプのポータブル蓄電池が並ぶ=2024年7月30日、東京都千代田区のビックカメラ有楽町店、荒ちひろ撮影

エネルギーを「貯める」さまざまな方法の中でも、蓄電池が近年、急速に普及しています。普及に伴って価格が下がり、家庭向け蓄電池を目にすることも多くなりました。(荒ちひろ)

家電量販大手ビックカメラ有楽町店(東京都千代田区)の「ポータブル電源」のコーナーには、メーカーや容量、価格も様々なポータブル蓄電池が並ぶ。

以前は店の奥の一角で展示や在庫も少なかったが、現在はエスカレーター周辺の、人の流れが多く、目立つ位置にある。広報担当者は「20年前には考えられなかった」と話す。

きっかけは2011年の東日本大震災の後、防災意識の高まりから徐々に需要が拡大。さらに新型コロナ禍で、「密」を避けようとアウトドア需要が高まり、プロジェクターや扇風機などを屋外で使える選択肢として、ポータブル蓄電池の認知度が上がったという。

地震や台風など大きな災害が起きると、問い合わせが増えるといい、能登半島地震が起きた今年1月や翌2月は、通常の2倍ほどの台数が売れたという。

メーカーや商品の種類が増え、目的によって選ぶ幅も広がっている。防犯・防災コーナー主任の近沢裕太さん(27)によると、売れ筋は出力700~800ワット、容量800ワット時ほどの10万円未満の小型タイプ。災害対策として携帯電話の充電や、扇風機、照明の利用などを想定し、太陽光パネルと一緒に購入するケースが多いという。

消費電力の大きい電子レンジなどの家電を使いたい場合は、家庭のコンセントと同じ感覚で使うことができる出力1500ワットほどの中型タイプをすすめている。

貯められる電気の容量は、蓄電池の大きさや重さに比例し、大きいものほど価格も上がる。

普段は押し入れにしまっておき、災害時に取り出して使うことを想定して、持ち運びしやすい商品を選ぶ年配のお客様も多い。大は小を兼ねるタイプの製品だが、用途に合わせておすすめしています」と話す。

蓄電池には、EVに使う車載用や、産業施設や住宅などで使う定置用のものもある。

調査会社の富士経済(本社・東京)によると、2024年の定置用蓄電池などの世界市場は2023年比1.15倍の3兆8896億円が見込まれ、2040年には3.42倍の11兆5224億円が予測される。「再生可能エネルギーの普及に伴い、蓄電池の市場も拡大している」と、調査担当の永井規之さん(41)は説明する。

家庭向けでは、電気代の高騰も背景に、太陽光発電システムと蓄電池を組み合わせて、つくった電気を自宅で貯め、使うタイプが主流となっている。