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テニス男子カスパー・ルードが語る少年時代 才能開花のウラにサッカーもゴルフも

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インタビューに答えるカスパー・ルード
インタビューに答えるカスパー・ルード=2023年10月17日、有明テニスの森公園、吉田耕一郎撮影

テニスの世界ランクで自己最高2位のカスパー・ルード。その能力が開花した背景には、母国ノルウェーのスポーツ事情がある。本人が、少年時代のスポーツとの向き合い方を振り返った。(構成・稲垣康介)

少年時代の僕は、スポーツに明け暮れる日々だった。4歳でテニスを始めたのは、父がプロ選手だったことがきっかけだ。放課後になると、テニスかサッカーに熱中した。

週3回はテニス、週2回はサッカー。毎日、同じスポーツばかりやっていたら、飽きてしまったと思う。

カスパー・ルードが育ったテニスクラブで練習する少女たち
カスパー・ルードが育ったテニスクラブで練習する少女たち=2024年4月、ノルウェー・スナロヤ、稲垣康介撮影

個人競技とチームスポーツでは面白さが違うし、使う筋肉も違うから、体の成長のためにもいろいろ挑戦するのはいいことだ。

父と一緒にゴルフもした。練習場で打つだけでなく、コースも回った。

ノルウェーでは子どもたちにとって、身近にスポーツがあると感じる。テニスクラブに通う年会費にしても、米ドル換算で500ドル(約7万8000円)とか、高くても1500ドルぐらいかな。米国で通えば、何倍もかかると聞いた。

もちろん、プロをめざすなら、コーチが必要だし、外国への遠征費などでお金はかかる。でも、ふつうに子どもたちが楽しむためのスポーツをするハードルは高くない。

インタビューに答えるカスパー・ルード
インタビューに答えるカスパー・ルード=2023年10月17日、有明テニスの森公園、吉田耕一郎撮影

12歳までは全国大会が禁止されていて、地元で試合をするのは構わないけれど、王者を決めてはいけない。

14歳前後にすごく将来を期待されたほかの国の選手が、その後、燃え尽き症候群でテニスをやめてしまうケースを見てきた。両親やコーチから厳しく指導されて嫌になったのかな、と想像する。僕の少年時代は、コートにいる時間はいつも楽しかった。

カスパー・ルードが育ったテニスクラブのコーチ、トーマス・ピーターソンさん
カスパー・ルードが育ったテニスクラブのコーチ、トーマス・ピーターソンさん=2024年4月、ノルウェー・スナロヤ、稲垣康介撮影

サッカーではなく、テニスを選んだのも自分の判断。個人競技なので、自分で全責任を負う一方で、プレーの決定権も自分にあるのが性格的に合っていた。

幼いときから「いつ、父を超えるの?」とメディアからよく質問されたけれど、特に重圧は感じなかったよ。両親からテニスを強制されなかったことにも、感謝している。