少年時代の僕は、スポーツに明け暮れる日々だった。4歳でテニスを始めたのは、父がプロ選手だったことがきっかけだ。放課後になると、テニスかサッカーに熱中した。
週3回はテニス、週2回はサッカー。毎日、同じスポーツばかりやっていたら、飽きてしまったと思う。
個人競技とチームスポーツでは面白さが違うし、使う筋肉も違うから、体の成長のためにもいろいろ挑戦するのはいいことだ。
父と一緒にゴルフもした。練習場で打つだけでなく、コースも回った。
ノルウェーでは子どもたちにとって、身近にスポーツがあると感じる。テニスクラブに通う年会費にしても、米ドル換算で500ドル(約7万8000円)とか、高くても1500ドルぐらいかな。米国で通えば、何倍もかかると聞いた。
もちろん、プロをめざすなら、コーチが必要だし、外国への遠征費などでお金はかかる。でも、ふつうに子どもたちが楽しむためのスポーツをするハードルは高くない。
12歳までは全国大会が禁止されていて、地元で試合をするのは構わないけれど、王者を決めてはいけない。
14歳前後にすごく将来を期待されたほかの国の選手が、その後、燃え尽き症候群でテニスをやめてしまうケースを見てきた。両親やコーチから厳しく指導されて嫌になったのかな、と想像する。僕の少年時代は、コートにいる時間はいつも楽しかった。
サッカーではなく、テニスを選んだのも自分の判断。個人競技なので、自分で全責任を負う一方で、プレーの決定権も自分にあるのが性格的に合っていた。
幼いときから「いつ、父を超えるの?」とメディアからよく質問されたけれど、特に重圧は感じなかったよ。両親からテニスを強制されなかったことにも、感謝している。