タス通信によると、搭乗者名簿には、プリゴジン氏のほか、同氏の側近的な存在でワグネル幹部のドミトリー・ウトキン氏もあった。ウトキン氏はナチス信奉者とされ、ワグネル(ワーグナー)の名前も、ナチスの総統ヒトラーがドイツの作曲家リヒャルト・ワーグナーを愛好していたことにちなんで名付けたと言われている。
2人を含め、乗客は7人、乗員は3人だったとみられる。
ロシア国営RTによると、ジェット機はモスクワからサンクトペテルブルクに向かう途中だったという。サンクトペテルブルクにはワグネルの本社があった。
プリゴジン氏をめぐっては6月、ウクライナ侵攻で存在感を示した後、ロシア軍幹部への不満からワグネルを率いてモスクワに進軍するなどした。これに対し、プーチン大統領は「裏切り行為」などと声明を発表していたが、流血の事態を避けるためとして、プーチン氏が隣国ベラルーシのルカシェンコ大統領に仲介を依頼。その結果、プリゴジン氏は進軍をやめ、ベラルーシに亡命することになったが、その後も度々、ロシアに帰国しているという情報が報じられていた。
プリゴジン氏はプーチン氏の古くからの友人で、ウクライナ侵攻までは政権とも良好な関係にあったが、侵攻に参加して以降、自らが率いるワグネルが戦闘の最前線で奮闘する一方、弾薬の補給や作戦をめぐって公然とロシア軍を批判するようになった。
特に、ショイグ国防相とロシア軍のゲラシモフ参謀総長については名指しで厳しく非難し、進軍の目的も、2人の更迭を迫るのが目的だったとみられる。
プリゴジン氏はプーチン氏に対しては忠誠の意を示し続けていたが、侵攻のさなかに国家を混乱させたことから、政権からの報復を懸念する声もあった。今回の墜落事故の原因は今のところ不明だが、報復説が改めて浮上しそうだ。