- レズビアン=女性を好きになる女性
- ゲイ=男性を好きになる男性
- バイセクシュアル=両性を好きになる人
- トランスジェンダー=出生時に割り当てられた性と性自認(自分の性別をどうとらえているか)が一致しない人
それぞれの頭文字を集めたLGBTは性的マイノリティーを総称する言葉としても使われてきた。ただ、そこに当てはまらない人もいるため、LGBTQやLGBTA、LGBTQ+、LGBTIQ+といった言葉も普及している。
Qはクィア(特定の枠にあてはまらない人)やクエスチョニング(自分の性的指向や性自認が分からない、はっきりしない人)、Aはエイセクシュアル(他者に性的魅力を感じない人)、Iはインターセックス(身体的な性が男性と女性の中間、あるいは、どちらとも一致しない人。性分化疾患とも)などだ。
近年はLGBTといった限定を避け、あらゆる人に関係する「SOGI(ソジ)」(性的指向=Sexual Orientation=、性自認=Gender Identityの頭文字)という略称を使う動きが広がっている。
日本の性的マイノリティー人口については、定義や調査手法の違いもあり、ばらつきがある。名古屋市の2018年の調査では1.6%、大阪市での2019年の調査では3.3%(「決めたくない・決めていない」を含めると8.2%)、電通ダイバーシティ・ラボの2020年の調査では8.9%、など。「左利きの人と同じくらい」といった例示もある。
G7で唯一、同性婚を認めていない日本
日本は主要7カ国(G7)で唯一、同性婚や、婚姻と同等の権利を保障するパートナーシップ制度を国レベルで導入していない。NPO法人「EMA日本」によれば、同性婚は2023年2月時点で、34の国と地域で認められている。
一方、国際レズビアン・ゲイ協会によれば、2023年5月時点で国連加盟の64カ国が同性愛行為を犯罪としたり、事実上の犯罪とみなしたりしている。アルジェリアやカメルーンなどアフリカ、アフガニスタンやバングラデシュなどアジア・中東に目立ち、死刑とする国もある。
今年2月の朝日新聞の世論調査では、日本で同性婚を法律で「認めるべきだ」との回答は72%だった。
同性婚を認めていない現行の法制度は違憲だと訴える裁判が各地で続いている。2023年6月上旬に全国5地裁の一審判決が出そろい、札幌と名古屋は「違憲」、東京と福岡は「違憲状態」、大阪は「合憲」と判断は分かれた。いずれも国への賠償請求は退けている。
トランスジェンダーに含まれる性同一性障害の人に関係する裁判も進行中だ。性別変更に、生殖機能をなくす手術を事実上の要件とする特例法の規定が合憲かどうかを、最高裁大法廷が審理している。
スウェーデンやオランダなどは2010年代前半に生殖機能除去を性別変更の要件から外すなどしている。世界保健機関(WHO)は2014年、除去手術を強制すべきではないとの見解を発表。2019年には性同一性障害を「精神疾患」から外し、「性の健康に関連する状態」に分類した。
また、戸籍上は男性だが女性として暮らす性同一性障害の経済産業省の職員が、省内で女性トイレの使用を制限されたのは違法だと訴えた訴訟で、最高裁第三小法廷は弁論を開いた。判決は7月11日の予定で、使用制限を適法とした二審・東京高裁の判断が見直される可能性がある。
【7月12日追記】最高裁第三小法廷(今崎幸彦裁判長)は11日、トイレ使用の制限に問題はないとした人事院の判定を違法とする判決を言い渡した。制限を適法とした二審・東京高裁判決が破棄され、職員の逆転勝訴が確定した。人事院の判定は取り消され、経産省も対応の見直しを迫られる。性的少数者の職場環境をめぐり、最高裁が判断を示したのは初めてだった。