イエローカードや退場…FIFAが競技での制裁を警告
ハート形のロゴとともに同性愛者などへの差別反対を表現した「ONE LOVE」と書かれたキャプテンマークは、カタールでの同性愛者への差別的な法律への抗議として、9月から各チームが試合で使っていた。
W杯での腕章の着用を予定していたのは、イングランド、ウェールズ、ベルギー、オランダ、スイス、ドイツ、デンマークの各キャプテン。ロイター通信によると、FIFAはこれに対し、着用すればイエローカードや退場などの制裁があり得ると通達。7チームは連名で「選手に警告を受けるリスクを負わせることはできない」と着用を断念。声明を出し、FIFAの決定を非難した。
ドイツサッカー協会のベルント・ノイエンドルフ会長はFIFAの制裁の脅しは「ワールドカップ史上、前例のない出来事」だと述べ、FIFAを批判したとAFP通信が伝えた。
ベルギー代表は、「LOVE」の文字と虹色のデザインが入ったアウェー用ユニホーム着用についても、FIFAが認めなかったとして断念している。
人権団体から批判 腕章つけ中継する解説者も
このような動きに対し、人権擁護団体やLGBTQの支援団体などからFIFAへの批判が高まった。ヨーロッパ最大の性的マイノリティーの権利擁護団体、Stonwallはツイッターで「FIFAは人権侵害への批判をカーペットの下に追いやっている」と批判した。
イギリスBBCの解説者アレックス・スコットさんは、イングランド戦の中継で、自らONE LOVEの腕章を付け、抗議の意志を示した。
移民労働者への虐待などほかにも人権問題が
カタール大会を巡っては、新スタジアムの建設などに携わった外国人労働者たちが、6500人以上死亡したと伝えられるなど、人権侵害への懸念が以前から指摘されていた。
このため、開会式のオファーを断ったり、出演に関して噂を否定したりするセレブたちもいた。
抗議の意味で、試合のパブリックビューイングを行わない都市なども、ヨーロッパで広がっていた。
一方、日本サッカー連盟の田嶋幸三会長は、日本代表の練習場を訪れた際に人権問題での抗議が続いていることに関して「サッカー以外のことでいろいろ話題にするのは好ましくない」「今はサッカーに集中するときだと思っている。ほかのチームもそうであってほしい」と話した。NHKが伝えた。