■わたしとは真逆の考え方、でも何かのチャンス
こんにちは!
お便りありがとうございます。
読んでいて、すごくびっくりしました。
もちろん「今のまま一生懸命働いてもやりがいを感じない……これからもずっとここ?!」というのはすごく理解できます。
でも、そこからがわたしの考え方と真逆だから刺激的でした。
スキルアップしたくて会社を変える!
なるほどね。
学校の話ならすぐに飲み込めますが、会社からスキルアップね。
わたしは、今の会社で働きながら、自分の自由時間に勉強してから上の会社を目指すタイプなので、会社にスキルアップを期待する考え方、わたしにとっては新しい!
でも受かったから、これは何かのチャンスですよね。
でもスキルアップ(だけ)を求めて新しい会社に申し込むと当然、愛情は感じないね。
それはしばらく働いてから生まれるものですからね。
モチベーションアップのための作品ね……。
■専業主婦歴40年の主人公が、少年サッカーのコーチに
ちょっとだけ似たシチュエーションで、わたしの大好きな一本があります。
わたしの母国スウェーデンの『ブリット=マリーの幸せなひとりだち』です。
40年間、専業主婦として頑張ってきたブリット=マリー。
旦那さんは会社から帰ってくればテレビで放送されているサッカーに夢中で、作ってもらった料理にたいして見向きもせず……。
ブリット=マリーはうんざりしているけど、これが自分の仕事だと信じ込んでいる、ザ・真面目タイプです!
几帳面(きちょうめん)に毎日を生きていました。
でもあるとき、なんと旦那さんに若くてボンキュッボンの不倫相手がいたことが発覚。
それがきっかけで、ブリット=マリーの我慢スイッチが壊れました。
ブリット=マリーは家を出て、仕事を探しますが、60歳以上、しかも今まで働いた経験なし。
唯一彼女にあった仕事は、田舎町のユースクラブの管理人兼めっちゃ弱い子どものサッカーチームのコーチ。
不安しかないけど、ほかに選択肢はない!
ブリット=マリーは自分の人生が潤うよう、新しいことに挑戦する!
ここからいろいろ共感できるところがあるかと。
子どもたちももちろん、なんでサッカーのことがわからないオバサンが来たのかが不満で、やんちゃに行動してしまう。
ブリット=マリーも何をしたらいいのかがわからない。
でもここから、今まで経験したこと、特に細かく真面目に主婦をやっていた経験が活(い)かされます!
大掃除から始まって、子どもたちには彼女が勝手に作ったルールを伝える。
いやいや言うことを聞く彼ら。
でも、未経験のサッカーを教えてる間に少しずつ、子どもたちとの絆が生まれます。
なんてったって、子どもたちもいろんな問題を抱えていて、悩んでいました。
でもここに存在していたことを示したい。
自分は一生懸命生きてるんだ、と。
■頑張るうちに次の目標が生まれるかも
この作品の良いところは、大人だからとか子どもだからではなく、スウェーデンの子どもたちの自立心をキチンと反映して、ブリット=マリーが子どもたちから逆に忘れていたことをいろいろ吸収して学ぶ。
だから、若過ぎて何も理解してない、年を取り過ぎてもう遅いではなく、みんな平等に何かに向けて頑張れる。
意外と一番厄介なのは、世間体を意識し過ぎて、くだらないマニュアルに沿って生きる子どもたちの親だったりする。
ブリット=マリーは与えられた仕事も頑張るけど、新しい恋の予感も?!
今まで感じたことがなかった日常の潤い。
それはそれはハッピーな時間。
ブリット=マリーを演じるのはペルニラ・アウグスト。
「スター・ウォーズ」ファンならば、すぐにピンと来るでしょ。
アナキンの母親、シミ・スカイウォーカーとしてもおなじみ。
原作を書いたフレドリック・バックマンは『幸せなひとりぼっち』も書いてます。
映画化もされていますので、合わせて見るのもいいかも。
人って「自分が役に立ってる」とわかったとき、本当に嬉(うれ)しく感じますよね。
わたしなんか……と心の中で思ってる人は、どんどんブルーな気分になりますし、外から見ても輝いてない。
ブリット=マリーのように、ゆっくりだけど確実に、新しい会社で頼られる存在になれるといいですね。
そこからまた新しい目標が生まれるかもしれないし、たくさんの人生経験を積んだ方が器の大きな人になれますからね!
ものすごく心が温かくなる、そして爽快な気分になる一本です。
新しい会社での原動力になれば嬉しい!
頑張ってね!
(朝日新聞社の経済メディア『bizble』から転載しました)