こんにちは。このコラムではまず、朝日新聞デジタルの日本語、英語の記事などを参考に、みなさんの「自己発信ノート」に入れるべき例文を、私から紹介しています。
■半導体ビジネスについて、外国人に話してみよう。「疑いの余地はない」を英語で言うと?
今回のテーマは、少しレベルアップして「半導体ビジネス」です。台湾の半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)が日本に工場を建設する計画を発表しました。
私はこれを自己発信文に入れたいと思ったので、朝日新聞デジタルの英語版も参考に下記のように作ってみました。あなたは半導体ビジネスについてどのような意見を外国人に伝えますか?
これらをもとに、自己発信文を作ります。
このように、選んだ題材の文章を少し加工するだけで、自分の意見を表す立派な文章が完成します。
「日本語」を起点に、自分が外国人に言いたいこと探し、それに見合うテキストの英文をまず比較してみましょう。
もちろん、言いたい日本語をすぐに英語で言うことができないこともあるでしょう。
私がこのコラムで提唱している、「英文テキストはアウトプットの材料箱」として使うと、英文はほとんどネイティブの使う英語になっているので、まずはテキストの英語をそのまま自己発信文に入れてみましょう。
テキストの英文をフル活用して、そこに、上記③~⑦、⑬~⑰を持ってきて、あたかも自分の意見のように活用するのです。
「疑いの余地はない」については、「There is no room for doubt」は、余地(room)まで訳せば完全だと思います。
伝えたいことは何かを考え、「no question」「not surprising」「natural」でも、もちろんいいです。
また、主語を私にして「 I can say for sure that」としても、十分伝わります。すべて知っていれば、複数回に分けて使って、外国人に表現の豊富さをアピールしてみましょう。
「一刻も早く」も⑭から⑱のように言い換えることができると、表現力は格段にアップすると思います。
今回のレッスンを踏まえた「オリジナル単語帳」のイメージは下記のとおりです。参考になれば幸いです。(「オリジナル単語帳」の作成の方法は第5回のレッスン参照)
■「きれいな」発音は後から付いてくる。まずはしゃべってみよう!
日本人の外国語学習の悩みとして、発音が良くないということがあげられると思います。私は語学において発音が重要でないとまで言うつもりはありません。
ですが、あたりまえですが、文字通り、音を発しない限り「発音」とは言わないので、まずは四の五の言わずに音を出すことが大事だと思います。
ここが実は、日本人の外国語学習にとって最大の難関かもしれません。
でも、私のアラビア語学習の苦労を思えば、まだ楽だと思います。
このコラムの初回で述べたように、私は24歳からアラビア語を始めました。
アラビア語には、「ア」「カ」「サ」「タ」「ハ」「ラ」に、それぞれ2通りの発音があり、字も違います。
どれも初心者には同じ音に聞こえるのですが、それを聞き分けられないと、違う意味になることも多くあるのです。
逆に言えば、その音を使い分けて話さないと相手に通じないのです。
たとえばアラビア語で「殺す」という単語は、「カタラ」なのですが、それぞれの文字に2通りの発音があるため、正しい単語の発音は2×2×2の8通りのうち、ひとつしかありません。
しかし、私がエジプトで受けたアラビア語研修では、できなくてもとにかく話せというスパルタだったので、8回話せば1回はあたるという感じで、とにかく発音しまくりました。
もちろん、最初は相手に通じずに恥をかきました。
それでも、何度も発声しているうちに、不思議なもので、自分の頭の中で整理ができて、スペルも思い浮かび、それに応じた発音ができるようになっていきました。
英語でもよく「l」と「r」の発音の使い分けが大事ということで練習をすると思います。
最初はその違いに気を取られて発音自体をしなくなるより、とにかく間違ってもいいから、どちらでも話してみる。
そのうちに、right(右)もlight(光)も、スペルまで意識して話せるようになっていきます。
■発音はたくさん試みる。すると、ネイティブの音が自分の音を上書きしてくれる!
前回のレッスンでは、リスニング能力を伸ばすには、「音」から「入る」のではなく、先に「音」を出すこと、まさにスピーキングファーストが上達の秘訣だと強調しました。
なぜなら、自分の「脳」から「発信」する音はまず忘れないからです。
自分の「脳」から外に発信する単語、表現が増えるほど、「脳」がその音を覚え、外国人から「受信」する単語、そしてその「音」を吸収する能力、察知する能力もあがっていくからです。
残念ながら、その逆は成立しません。どんなに良い音で(ネイティブの発音で)あなたが音を出さずに、聞くだけ聞いても、発音はうまくなりません。
自分の「脳」から発信することで、受け入れの態勢、スペースをつくっておくと、相手のよりきれいな発音が自分の発音を上書きしてくれるようになるのです。
私がアラビア語学習で実体験しましたので、ぜひ試してみてください。その意味で、「きれいな」発音は後から付いてくるのです。
さて、最後に、今回の宿題は以下のとおりです。これまでのレッスンでお勧めした「パラフレージング」の練習としても効果的です。
次回レッスンまでに書き出して、あなたの「オリジナル単語帳」に入れてみてください。
それぞれ最低3つの英単語が考えられますよ。回答例は次回お伝えします。
31 行動
32 欠点、短所
33 目標、目的
34 進展、発展
35 能力、才能
36 結果
37 計画
38 影響、効果
39 意見、見解
40 感謝
前回(レッスン7)の宿題の回答例を参考までにお伝えします。
レッスン5でお伝えした「日本語からは発声できなかったが、見れば知っていた」というカテゴリーの単語、表現があれば、ぜひ、「オリジナル単語帳」に、簡単な例文とセットで入れてみると効果が上がると思います。
私が示した回答は網羅的ではないので、それ以外に別の回答を見つけられた方は、その単語、表現ももちろん入れてみてください。
この宿題が、あなたの新たなアウトプットの可能性を導くきっかけになれば幸いです。
なお、この日本語から英語の「置き換え」は、正確な訳出ではない、単語によって用法が異なるとして異論がある方もいらっしゃるかもしれません。ですが、私のポイントは、とにかく言いたいことを柔軟な発想で、バリエーションを持って伝えていくことにあるので、その点はご理解いただければ幸いです。
21 豊富な、裕福な rich, wealthy, well-off, abundant, affluent
22 義務の、義務的な compulsory, binding, mandatory, obligatory
23 友好的な、社交的な social, friendly, outgoing, amicable
24 危険な、有害な dangerous, risky, harmful, perilous, precautious
25 結局、ついに at last, finally, in the end, eventually, after all
26 おおよそ、だいたい about, around, roughly, approximately
27 少しずつ、段階的に little by little, step by step, gradually
28 ときどき sometimes, from time to time, now and then, occasionally
29 たぶん、おそらく maybe, perhaps, probably, presumably
30 偶然に、たまたま by chance, by accident, by coincidence, incidentally
(この記事は朝日新聞社の経済メディア『bizble』から転載しました)