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内閣府の食堂に「ヴィーガン三色海鮮丼」、材料は? 広がる「ミートフリー」の選択肢

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内閣府食堂で提供されている「ヴィーガン三色海鮮丼」

■国会議員が使う食堂でも

マッカートニーさんは、家畜の出す温室効果ガスの多さに衝撃を受けたとして、2009年に英国で運動を開始した。「週に一日肉を食べないことを多くの人が実践すれば、地球の未来のためのとても重要なムーブメントになる」などと訴えている。

英国のミートフリーマンデーのサイトによると、週1日肉を食べない生活を1年間続けると、車で約700キロメートル移動する時に出す温室効果ガスとほぼ同量の削減ができる。マンデーとうたってはいるが、月曜日にこだわらなくてもいいという。

ミートフリーマンデーを日本国内で推進しているミートフリーマンデーオールジャパン事務局長の小城徳勇さん(53)は内閣府の職員。内閣府では小城さんの尽力もあり、17年に公的機関の食堂としては国内で初めて肉や卵など動物由来の食品を使わないヴィーガンメニューの提供が始まった。気象庁など他の公的機関でも始まり、今年9月からは国会議員も利用する衆議院第二議員会館食堂でも毎日ヴィーガンメニューの提供が始まるなど、広がりを見せている。

■年約10万食を提供

動物性不使用のメニューなどを紹介していた内閣府食堂の看板

内閣府の食堂を運営するニッコクトラストは、全国各地で社員食堂などを運営する総合給食企業。内閣府食堂でヴィーガンメニューが成功したことをきっかけに、各地の食堂でもニーズを見極めながら提供を始めている。ミートフリーマンデーオールジャパンの特別協賛企業にもなった。

営業管理部長の塚平高裕さん(46)は「最初はベジタリアンやヴィーガンについての知識もなく、商売として成り立つのか疑問だった」と振り返る。それでも、地球環境への影響などを知るにつれ、こうしたメニューが選択肢として求められていると実感したという。「2、3年くらい前から、民間企業ではSDGsへの関心が高まってきました。『食堂でも地球に貢献できるメニューを』と提案すると、悪い反応はありません」と話す。

当初は社内の調理師からも「肉がないと皿の上が貧相だ」といった声が寄せられたというが、試食会やメニューの工夫・改善を続けることで理解が広がったという。今では、100カ所ほどの受託先で年約10万食のヴィーガンメニューを提供するまでになった。

内閣府食堂をはじめ、各地の食堂でベジタリアン・ヴィーガンメニューを提供しているニッコクトラストの塚平高裕さん

■ひらめいた「イクラにできる」

ヴィーガンメニューで話題を集めているのが、今年から内閣府食堂などで提供を始めた「ヴィーガン三色海鮮丼」だ。魚などを使わずに海鮮丼の味わいと彩りを表現している。料理を考案した阿部圭介さん(44)は、食材を見てひらめいたという。

サケは大豆ミート、イカはナタデココ。イクラは、デザート用として国内の企業から提案された、こんにゃく粉と昆布の成分でできた「水たまご」だ。これまで多くのヴィーガンメニューを試行錯誤して作り出してきた阿部さんは、水たまごを見てすぐ「これはイクラにできる」と直感。しょうゆに漬けるなどして味と見た目を整え、「海鮮丼」の主役に据えた。評判も上々で、小城さんは「ごはんが何杯でも食べられる」と太鼓判を押す。

ヴィーガン三色海鮮丼を開発したニッコクトラストの阿部圭介さん

多くの人が利用する食堂で進められているメニュー開発。塚平さんは「我々のような給食会社は、社員食堂、高齢者施設、病院などで色々な方々に食事を提供しています。菜食、アレルギー、宗教など多様なニーズに柔軟に対応していくことは、企業としての責任だという思いがあります。その上で、食を通じて、健康だけでなく環境の改善にも積極的に取り組んでいきたいと考えています」と話す。