プリンセスの結婚が決まった。しかしおとぎ話のようなものではない。
A Princess Is Set to Be Wed. But It’s No Fairy Tale.
10月1日付 ニューヨーク・タイムズ紙
イギリスのハリー王子とアメリカ人のメーガン妃が「メグジット」でイギリスを離れてアメリカで暮らすことになり、テレビに出演して心境を語った際、多くのイギリス人が驚愕(きょうがく)したのに対し、アメリカでは多くの人が応援した。
そのため、眞子内親王がcommoner(一般人)の小室圭さんとの結婚を控え、結婚後はアメリカで生活する予定であることや、それにまつわるcontroversy(論争)を報じる際、アメリカのメディアはいち早くハリーとメーガンになぞらえた。ニューヨーク・ポスト紙は、「お金なしのメグジット」とまで呼んだ。
この結婚に関するアメリカの報道を見ると、眞子さまと小室さんが結婚に至るまでに耐えてきた試練と苦難について、おおむね同情的に描写している。
結婚をめぐる論争は、「media frenzy(メディアの狂乱)」「nearly cyberbullying(ほぼネット上のいじめ)」「vitriol(辛辣な批評)」や「a bruising gauntlet of media scrutiny and savage public commentary(傷つけるような激しいメディアの報道と世間の残酷な意見)」などと表現されている。この結婚は「endlessly and disapprovingly dissected(果てしなく、そして非難がましく分析されている)」とも説明されている。
小室さんが日本のメディアでどのように描かれているかを表すのにも、多彩な語彙(ごい)が使われている。「gold digger(金食い虫)」「shrewd hustler(抜け目のない詐欺師)」「possibly shady(おそらく怪しい)」「con man(ペテン師)」などである。 一方、母親の佳代さんが日本のメディアでどのように描かれてきたかを報じる際には、「money-grubbing social climber(貪欲に金をためる立身出世ばかりを考える人)」「a black widow vibe(ブラックウィドウの雰囲気)」といった言葉が使われている。また、母親と元婚約者との間の金銭的なトラブルをめぐる最初の報道があった後、日本のマスコミは小室さんに対して「insinuations(当てこすり)」を言ったり、「vilified(けなし)」たりし、その報道の仕方は、「piled on(大勢のグループで過剰にたたく)」ものであったと伝えている。
結婚前に、小室さんが日本に帰国した際の髪形(ポニーテール)をめぐる論争は、アメリカの記者たちから特に同情を受けている(アメリカの視点から見ると、本当におかしなことのように思えるから)。ニューヨーク・タイムズはこれを「hullabaloo(大騒動)」と呼び、「Hungry for gossip, Japanese tabloids find chum in even the smallest issue(ゴシップに飢えた日本のタブロイド紙は、小さな餌にも食いつく)」と書いた。この件に関してインターネット上では「scathing(痛烈な)」コメントが殺到し、そしてニュースキャスターの態度は「tut-tutted(舌打ちする)」ようだったと説明された。
米国の報道では、眞子さまは「staid(真面目過ぎ)」て「stuffy(堅苦しい)」皇室から逃げ出したいと考えているのではないかと、しばしば指摘されている。ニューヨーク・タイムズ紙は、結婚して皇室を離れる際に女性に与えられる多額の「一時金」を眞子さまが辞退したことに触れ、「fed up(うんざりしている)」ようだと評した。同紙の記事の小見出しの中には、「Keep Your $1.4 Million(あの140万ドルは結構ですよ)」「Running for the Exits(出口に向かって走っている)」というものもあった。
眞子さまのアメリカでの新生活を応援しているのはアメリカ人だけではないそうだ。ニューヨーク・ポストによると、ニューヨーク在住の日本人女性たちは、眞子さまがニューヨークに到着したときに、複雑性PTSD(心的外傷後ストレス障害)とされる症状を克服し、日本のマスコミや宮内庁の監視から逃れることを願っているという。「皇室の一員として生活しているときは、まるで檻の中にいるようだった」と述べる日本人女性ジャーナリストの言葉も記事の中で引用されている。
個人的には、この意見に同感だ。眞子さまが婚約発表の時に小室さんに向けて見せた優しいほほ笑みは消え、その後の写真の雰囲気は違う。あくまで主観だが、彼女の気持ちをおもんぱかると、心の中で「私をここから出して!」と叫んでいるように見える。ニューヨーク・タイムズが選んだ「fed up」という言葉はまさにぴったりだと思う。
アメリカの伝統は、人生の再出発を可能にすることであり、それは他の国からアメリカにやってくる人々の重要な理由でもある。そのような動機から、キャスターの故・久和ひとみさんは、契約終了と離婚をきっかけにニューヨークでジャーナリズムを学びに行った。解放感を覚える経験ともなり、人生を変えることが出来た。彼女はその経験について『ニューヨークで見つけた! 新しい私』という本で書いている。眞子さまがニューヨークで新しい自分を発見し、パパラッチに写真を撮られたら、満面の笑みを浮かべてくれることを強く願っている。ご結婚を心よりお祝い申し上げます。
プリンセスの結婚が決まった。しかしおとぎ話のようなものではない。
A Princess Is Set to Be Wed. But It’s No Fairy Tale.
10月1日付 ニューヨーク・タイムズ紙
眞子内親王と一般人の婚約者圭:お金のないメグジット
Princess Mako and commoner fiancé Kei: Megxit without the money
10月2日付 ニューヨーク・ポスト紙
日本の眞子内親王は結婚する予定でありながら、宮内庁はPTSDの原因がマスコミにあると主張する
Japan’s Princess Mako to Marry as Palace Blames Media for Her PTSD
10月1日付 ウォール・ストリート・ジャーナル紙
ハリーとメーガンについてはご存じでしょう。今回は、日本を騒がせている眞子さまと圭さんをご紹介します。
You’ve heard of Harry and Meghan. Now meet Mako and Kei, who have Japan in a tizzy.
9月28日付 ワシントン・ポスト紙