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「私はアメリカ人です。ハグをします」 イギリスの君主制に迫りくるメーガン・マークルの影響

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ヘンリー王子らが立ち上げたチャリティー財団の会議で、ジャーナリストとハグするメーガン・マークルさん=Reuters

'I'm American. I Hug.' Meghan Markle's Looming Impact on the British Monarchy

イギリス人の友人がロサンゼルスに住んでいた時、よくこんなことを言っていた。「僕たちイギリス人は普通、他人との距離をアメリカ人よりも大きく保ちたがるもの。だからイギリス人にとって特に嫌なのは、ハグされることなんだ」。カリフォルニアの人は、アメリカ人の中でも特にハグが好きなので、彼にとってはいつもストレスだったそうだ。 

今回取り上げた記事では、カリフォルニアで生まれ育ち、イギリスのハリー王子と結婚したメーガン・マークルさんのエピソードが紹介されている。それは彼女が王子と付き合い始めたころ、ケンジントン宮殿に王子を何度か訪ねるうちに、宮殿の護衛者にハグして挨拶するようになったというもの。そのような行動は英国王室ではNot Done(アウトだ、許されない)と指摘されたものの、メーガンさんは「私はアメリカ人です。ハグをします」と答えて無視したという。

このエピソードに見られる彼女のアメリカ人としての感覚と英国王室の儀典とのギャップが、harbinger of things to come(これから起こることの前兆)なのではないかと、記事は指摘。君主制推進者の多くが心配することは、emotional distance(他人との心理的距離を保つこと)や、political neutrality(政治的中立)などエリザベス英女王が体現してきた保守的伝統が、今後若い世代が主導権を握るようになったら、fall by the wayside(捨てられる、落後する)のではないか、ということだそうだ。要するに、若い世代が君主制を「セレブ的なもの」に変えてしまうのではないかと懸念されているのだ。メーガンさんがその傾向を助長する可能性があるとされ、彼女の影響がlooming(迫りくる)と注目されている。

メーガンさんはある意味、ハリー王子の母の故ダイアナ元妃と似ている。ダイアナ元妃はinsistently human(あくまでも人間らしい)人だったので、一般人のendeared to(心をつかんだ、慕われた)一方、彼女を担当した王室のhandlers(側近)にとっては、常に頭痛のタネだったそうだ。メーガンさんについても、彼女がこれまで市民と接する様子を見ると、すぐにハグしたり、子どもに求められるとサインしたりしている。

彼女の俳優時代の同僚によると、on the set(撮影現場で)彼女は、fiercely disciplined(厳しく規律を守って)台本に書かれた通りにセリフを覚えて言う努力をしていたという。こうした気質から、王室の儀礼についてもきちんと学ぶ努力をすると思われるし、marrying into an institution(伝統のある組織に嫁ぐ)彼女には、そうしたことが期待されている。と同時に、ハグの例で見られるように、彼女は自分らしさも捨ててはいない。これから彼女が英国王室相手にどう立ち回っていくのか、観察するのが楽しみである。

ニューヨーク・タイムズの記事はこちらから