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誓い? ノーサンキュー。結婚率低下の裏にある経済学

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米ニューヨーク・マンハッタンのエンパイアステートビルで結婚式を挙げたカップル。バレンタインデーに式を行う場所として知られる=Reuters

“I do? No thanks. The economics behind America’s marriage decline”

9月24日付 ワシントン・ポスト紙

米ニューヨーク・マンハッタンのエンパイアステートビルで結婚式を挙げたカップル。バレンタインデーに式を行う場所として知られる=Reuters

見出し冒頭の言葉から、記事のテーマは「結婚」だと予想がつく。‘I do’は米国で結婚の誓いの言葉だからだ。キリスト教の結婚式では、「汝(なんじ)、○○を人生の伴侶とすることを誓いますか」と尋ねられ、「I do(誓います)」と答えるのが定型だ。

記事によると、最新の国勢調査で、never-married(結婚したことのない)米国人の割合は、過去最大を記録したという。現在25歳以上の米国人の20%は一度も結婚したことがない(ちなみに1960年は10%)。専門家は、今後も結婚しない人の割合は増え続けると予測する。結婚にambivalence(相反する感情)を持つ米国人もon the rise(増加中)で、25歳以上の米国人の3分の1は、将来、結婚したいかどうか「わからない」と回答した。「結婚するのが当たり前」だというconventional wisdom(社会通念)をturn on its head(ひっくり返す)現象が起きているのだ。

結婚率低下には、a host of(数多くの)要素が絡み合っている。経済の変化、demographics(人口動態)の変動、女性の社会参加、社会的な結婚観の変化などだ。最も打撃を受けているのは、高校を卒業しなかった男性だという。かつて、男性の学歴は結婚率にあまり影響を与えなかったが、現在は学歴によるギャップが生まれている。

80年時点と比べ、若い男性の賃金は20%も低下した。financially secure(経済的に安定している)と感じていない男性の多くは、結婚を延期するかforego(無しで済ませる)か。一方、未婚女性の5分の4が結婚相手に最も求めるものはsteady job(安定した雇用)だそうだ。

working class(労働者層)で貧しい米国男性は、自分にとってdecent(良い)結婚はout of reach(手の届かない)ものだと感じている──。結婚のproponent(支持派)はそう心配する。年収が低い男性の結婚が難しくなるという現象は、現在の日本でも起きているのではないだろうか。

調査から分析されたfindings(指摘)がhold up(持続)すれば、アメリカ人の生き方、恋愛、そして育児や家庭において、seismic shift(劇的な変化)がunderway(起こりつつある)と言えるだろう。