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コロナ禍で増す肥満と糖尿病のリスク でも心配なく、解決のヒントは目の前にある

マイケル・ブースの世界を食べる
北村玲奈撮影

私はこのコラムで、新たな年の食の傾向予想を伝統的にしてきたが、2020年が極めて恐ろしい年となることを誰が予測できただろうか。特に、世界中のレストランへの影響については。

それでも先を見通すには、現在ある傾向とその軌跡をよくみてみることが有効だ。なので今年もとにかく、私の予測をお届けしたい。というのも、最近の傾向で日本に気になる兆候がみられるからだ。肥満と2型糖尿病の増加である。

肥満については、世界的にみれば比較的低い割合ということもあって今のところ大騒ぎする要因はない。だからこそ、予防のために行動を起こすなら今ということになる。すでにお聞きかもしれないが、日本の厚生労働省の最近の調査によると、40、50代の男性の40パーセント近くが体重超過とされ、男性全体では6年前に比べ4ポイント以上増えている。増加傾向は女性にも見られ、同じく2ポイント増の22.3パーセントが体重超過だ。

3000世帯足らずが対象の小規模調査だが、もしこれが日本全体を反映しているとすると、日本はこれからの10年、高齢化する国民の医療費ばかりか肥満による健康危機にも直面することになる。

アジア諸国を含む世界中で見られるように、肥満が増えると2型糖尿病も増える。いわゆる「生活習慣」による糖尿病で、それが日本でも増えているのだ。将来的に日本で肥満と2型糖尿病が増えることは、ノストラダムスでなくても予測できることだが、心配なのは、新型コロナウイルスにより事態が悪化することだ。

昨年1年を通じ、そして今年もワクチンが行き渡るまでは、私たちの生活は混乱したままだろう。より多くの時間を自宅で過ごし、運動することが減り、おそらくはデリバリーやファストフードをより食べるだろう。私のように、アルコール摂取量も通常より増え続けるはず。どれ一つとして健康にいいことはない。

■コロナ禍での希望の光

幸い、肥満と2型糖尿病の二つの脅威に立ち向かう準備ができている国があるとすれば、それは日本なのだ。日本の伝統的な食習慣は間違いなく世界で最も健康的。あなたたちは、ごく身近にある畑や海、農場や森に、この2大脅威への解決策を持っている。食という文化遺産の中にも、そして、あなたたちが共有する記憶の中にもだ。

砂糖や小麦、赤身肉や添加物、脂質の摂取を促した西洋人が(日本に)来るまで、日本人はほとんどどの国の人たちよりも野菜や植物を食べていた。肉を食べることは少なく、魚や大豆からたんぱく質をさまざまな形でとってきた。これこそまさに、第一級の健康へ戻してくれる食生活ではないか(塩分が減らせるなら特にいい)。

それを阻むのは、ファストフードチェーンやコンビニといったいつもの悪者に限らない。日本の生活様式、特に現代の働き方もそうだ。うらやましがられる北欧のワーク・ライフ・バランスについて先日、日本の大学のオンライン講義で話した。基本的に週の労働時間はかなり少ない北欧人だが、生産性は日本人よりもいい。日本の労働時間の多くは、ちゃんと席にいることを上司に見せるための「パフォーマンス」だと言えるかもしれない。それに日本人は他の多くの国より通勤に時間を費やしている。いずれも極めて非生産的だ。

日本にとって新しい話ではないことは私も分かっている。ただ、ここに私たちはコロナ禍での希望の光を見いだすことができるかもしれない。より多くの人が在宅で仕事をするようになり、使える時間が増えた。その時間を使い、健康な日本の伝統料理の作り方を学ぼう。これこそが、差し迫った日本の肥満と糖尿病危機に対する私なりの解決策だ。通勤のために使うはずだったお金を、最低限のキッチン器具に投資してほしい。そして、料理をはじめよう!(訳・菴原みなと)