■今週の名言
As soon as I get on my boat, something inside me changes. Then I really feel what living is.
(船に乗るとすぐに私の中で何かが変わる。そして、生きてるってすごく実感できる)
■名言を味わう
直訳すると「自分の船に乗った途端に私の中の何かが変化し、生きることとは何かを強く感じる」という意味になります。
船に乗って「はい、海の上にいます!」となった瞬間、デッカーの体のどこかで、電灯がパッとつくようにスイッチが入り、生きている実感が湧き起こってくる。そんなイメージでしょうか。
デッカーは、両親が7年の歳月も費やしたセーリング旅行の最中に生まれたそうですから、きっと海には並々ならぬ愛着があるはず。海洋冒険家には、なるべくしてなった感すらあります。
単なる想像ですが、きっと彼女は避暑地の山荘でゆったりするとか、大都会でシティライフを満喫するとかいった休暇を過ごしても、すぐ飽きてしまうのでは? 休暇を切り上げて、急いで海に向かったこともあったはず、そう踏んでいます。
私の“推理”が当たっているのなら(笑)、彼女にはすごい親近感が湧きます。もちろん休みはうれしいのですが、長すぎるとかえってイライラするんです。
仕事に戻って、たくさんの人の前に立って英語を教え始めると、I really feel what living isの境地に達します。
自分の中のスイッチのモードがオンになるあの感覚、瞬間は、やっぱり貴重です。デッカーさんにとっては船(海の上)、私にとっては教壇がスイッチオンになる場所ですが、仕事や主な活動で“オンできる”のは、本当にありがたいし幸せなことです。
■名言の単語ピックアップ
change
〜を変える、〜を交換する、変わる
「席をチェンジする」「モデルチェンジ」「ギアチェンジ」などなど、日本語でよく使いますが、英語のchangeは、まず発音に注意です。
英語のchangeの発音は、カタカナの「チェンジ」とはかなり違います。日本語にはない音なので完全にカタカナで表すのは不可能ですが、無理やり落とし込むとすれば「チェーインジィッ」でしょうか。
ポイントは、changeのaです。ここにストレス(強勢)があります。つまり、強めに際立たせて言う箇所です。
aに強勢が置かれる場合、大きく分けて2つの発音があります。
まず1つ目は、appleのように「エ」と「ア」が混じったような音です。catやhappyのaの発音もこのパターンです。
2つ目は、“「イトマキエイ」の「エイ」”です。「エイ」を「エーイ」と長めに言う感じ。changeはこちらのパターンなので、「チェアンジ」ではなく「チェーインジィッ」になるのです。
ladyやbabyもchangeと同じく「エーイ」パターン。ですから「レディー」ではなく「レェーイディー」、「ベビー」ではなく「ベェーィビィー」になりますよ。3単語セットで、音読練習をしてみてください。
お次はchangeの意味を見ていきます。最もポピュラーなのは、他動詞で使った場合は「変える」、自動詞で使った場合は「変わる」でしょう。
他動詞
I changed my hairstyle.
(私はヘアスタイルを変えた)
自動詞
The situation has changed.
(状況が変わった)
あとは、「(何かと何か)を変える、交換する」という意味でも使います。
Could I change my room to a non-smoking one? I have asthma so I’m really sensitive to cigarettes.
(私の部屋を禁煙の部屋に替えてもらえますか? 喘息持ちでタバコには弱くて)
*change A to Bで「AをBに取り替える」という意味。文脈からこう尋ねた人の現在のホテルの部屋は、喫煙ルームであると読み取れる。
「(乗り物)を乗り換える」という意味でもchangeを非常によく使います。「電車を乗り換えるなら」change trains、「路線を乗り換える」はchange lines、「バスを乗り換える」はchange busesと言います。
We need to change trains at Shinjuku (Station).
(我々は、新宿<駅>で電車を乗り換えなければ)
*「〜駅で」の「で」に相当する前置詞はat。
上の例を見て共通点に何か気付きましたか? バスや電車、路線といった名詞がすべて複数になっていますね。これは、乗り換えには乗り物も路線も2つ(かそれ以上)が必要となるためです。
change trainでもまあ通じるとは思いますが、「『乗り換える=change』の目的語となる名詞は複数形」と覚えておきましょう。
changeはintoという前置詞ともよくセット使いされます。change intoで「〜に変わる、変化する」という意味になります。
intoは「〜中に」と、外から中に入り込むイメージのある前置詞ですが、changeとセットのときは「〜に」と変化を表す前置詞になると覚えておきましょう。
The rain changed into sleet and then snow.
(雨はみぞれ、そして雪へと変わった)
Could you change this hundred-dollar bill into smaller ones?
(この100<ドル>札を細かい額のに替えてくれますか?)
*change A into Bで「AをBに変える」。
changeは名詞としてもよく使います。やはり「変化」という意味が第一義にあります。
We would like to tell you about a change in our business hours.
(当社の営業時間の変更についてお話させてください)
そのほかの名詞としてのchangeには、「小銭」や「釣り銭」の意味もあります。I have one thousand yen in small change.と言えば「私は小銭で1,000円あります」、I think you gave me the wrong change.と言えば「お釣りが間違っていると思います」となります。
こんな短いフレーズでもよく登場しますよ。
Here is your change.
(お釣りです)
Keep the change.
(お釣りはとっておいて)
Have exact change ready.
(釣り銭のないように<ぴったりの額の>用意を)
*Exact change, please.としても同義。
Do you have any small change?
(小銭をお持ちですか?)
仕事でもプライベートでも人生にはたくさんのchangesが付いて回るもの。change of plan(計画変更)、change of heart(心変わり)、change of pace(気分転換)……いろいろな変化を英語でも、うまく伝えていけるようになりましょう!
■名言を解剖する
As soon as I get on my boat, something inside me changes. Then I really feel what living is.
(船に乗るとすぐに私の中で何かが変わる。そして、生きてるってすごく実感できる)
as soon as SV(主語+述語)は、「SがVするとすぐに」という意味になります。I get on my boatとあるので「自分の船に乗った途端」となります。
接続詞の働きをするこのas soon as...(〜するとすぐに、〜するやいなや)は、仕事でもしょっちゅう使います。
特にas soon as possible(できる限り早く、可能な限り速やかに)は頻出表現です。日本のビジネスシーンで多用される「至急」に相当する言葉ですから、繁忙期であれば日に何度となく使うこともあるでしょう。
Please email me back as soon as possible.とEメールに書けば「早めにメール返信を願います」、I need that report as soon as possible.と言えば、「あのリポートなるはやで欲しいんだけど」という意味になります。
as soon as possibleは、4語の頭文字をとってasapと言うこともあります。
We need to do something asap.
(我々は一刻も早く何らかの手を打たなければならない)
get onは電車やバスなどに「乗る」と覚えていると思いますが、船や飛行機もget on を使いますよ。ただし車やタクシーはget in a car、get in a taxiになります。
英語のboatは、日本語の「ボート」から想像するような、公園で乗るちっぽけなボートだけでなく、もっと大きな船までを指します。デッカーさんは船舶のライセンスも持っているので、彼女の所有する「my boat」は、エンジンもついた立派なものと推測し、「船」と訳しています。
something inside meのinsideは接続詞ですから、「私の中の何か」という意味になります。
ここでのchangeは「変わる」という自動詞ですね。
2文目の冒頭にあるthenは「そうすると」という意味の副詞です。I really feelは「私は本当に感じる」です。
what living isは、「生きるとは何ぞや」といったニュアンス。「人生の意義」と訳してもいいかもしれません。和訳ではライブ感を出すために「生きてるって」と意訳してみました。
■今週の1枚
千葉県いすみ市の大原漁港で撮った1枚です。太平洋に面したこの漁港は、魚介類の水揚げ種類が豊富、伊勢海老の水揚げ量も多いのだとか。美しい自然と漁業を生業にしてきびきび働く人の姿が間近で見られるからなのか、私は漁港が昔から大好き。「今朝はどれくらい遠くの沖まで出たのだろう?」などと想像しながら、停泊中の漁船を撮影しました。
さて次週(6月29日更新予定)の「やる気が出る名言で学ぶビジネス英語」は、ココ・シャネルの言葉をフィーチャーします。ファッションデザイナーらしく、彼女が世界一と信じるcolor(色)について語った一言です。ファッショニスタも、おしゃれに一切興味がない人も、知っておいて損はないと思いますよ。
どうぞお楽しみに。See you next week!
(構成・山本航)
■「やる気が出る名言で学ぶビジネス英語」は毎週月曜朝に配信します。