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【英語で名言】「史上最強の男」があなたに翼を授けてくれる

やる気が出る名言で学ぶビジネス英語 更新日: 公開日:
安河内哲也撮影

「やる気が出る名言で学ぶビジネス英語」#50(最終回) Hi everyone! 今週取り上げるのは、ボクシング元世界ヘビー級チャンピオンのモハメド・アリの一言です。imaginationの大切さを端的に説いた彼の言葉はリズムもいいので、きっと頭のなかにスッと入ってきて暗唱しやすいはず。この連載も最終回。ラストの名言ですから、いつも以上に張り切って見ていきましょう!(安河内哲也)

■今週の名言

The man who has no imagination has no wings.

(想像力がないやつは翼が持てない)

■名言を味わう

ボクシングのchamp(championの短縮形。口語でよく使います)、モハメド・アリ。私の世代から上は、武道館で行われた格闘技世界一決定戦(76)で、アントニオ猪木と戦った相手としても深く印象に残っているでしょう。

直訳すると「想像力を持たない人は翼がない」と言っています。よく日本語でも「想像の翼を大きく広げてみよう!」なんて言ったりしますが、コンセプトは同じでしょう。

ただしアリの名言の場合は、×例を示すことで、「そうならないように真逆でいこう!」というアプローチを取っています。「想像の翼を羽ばたかせて頑張ろう!」とストレートに言われるよりも、反面教師的にダメな例を提示されたほうが響くこともありますよね? 

どんな仕事や環境下に身を置いていても、想像力はやはり大切だと思います。周りを見渡してみても生き生きと働く人は、次につなげるためにどうすればよいのかなどと、常にあれこれ想像力を働かせているように見えます。そんなimaginationが、もう1つ別の「ソウゾウ」であるcreation(創造)にもつながっていくのかもしれませんね。

いろいろ想像するのは楽しいですし、なんと言ってもfree(タダ)です(笑)。スランプかな?と思ったらこの名言を暗唱して、上昇気流に乗っていきましょう!

■名言の単語ピックアップ

imagination

想像(力)、空想

imagine

想像する、思う、心に描く

imagination は、imagineという動詞の名詞形です。imagineはジョン・レノンの代表曲としてもおなじみですが、このimagineが名詞だと勘違いしている人もいます。また派生語の1つであるimage(画像、映像、心象といった意味の名詞)も、動詞と勘違いしている人が少なくありません。(×)I imagination... や(×)I image...ではなく、(○)I imagineとなります。間違いないように注意してください。

imagineは、「心に思い描く」という意味での「想像する」です。いっぽうcreateは、何かを「一から創造する、生み出す、開発する」という意味になります。「ソウゾウする」という同じ言葉に惑わされないようにしましょう。

動詞のimagineはうまく使いこなせるようになると、会話の表現の幅がぐっと広がります。

まず命令形で使ってみましょう。「想像してみてよ」と、imagineと冒頭で言ってから、想像してほしい事柄を後続で述べます。Just imagineとjustを付けて、「いいから(ちょっと)想像してみて」というふうに言うこともあります。

Imagine that we’re in Hawaii. It would be so nice to sit on the beach and do nothing.

(ハワイにいるって想像してみて。何もせずビーチに座っていられたらご機嫌なんだけどなあ)

I can’t imagine…という形で「〜なんて想像もつかない、見当もつかない、思いもよらない」という言い方もよくします。

I can’t imagine going jogging in the middle of the day in this excruciating heat.

(こんな猛暑の最中、昼間にジョギングするなんて想像もできない)

大げさに何かを語りたいときにもYou can’t imagine…の形が使えます。

You can’t imagine what happened to me over the weekend. Three women asked me out!

(この週末に僕に起こったこと、君には想像できないはずだよ。3人の女性からデートに誘われたんだ!)

You can’t imagine how happy I was when I learned that I was getting a raise.

(給料が上がるって聞いたときに私がどんなにハッピーだったか、あなたには想像もできない)

I imagine (that)…は、自分の推測を伝えるのに便利な表現です。「確固たる証拠はないけれど、何となくそうなのではないかなあ」、そんなたぐいの発言をしたいときにうってつけです。

例えば、I imagine we’ve met before. と言えば、「前にお会いしたことがあるように思います」という意味になります。「記憶は定かではないけれど以前どこかで会った気がする」といった際の鉄板表現です。

ほかにも用例を挙げてみましょう。

I imagine they’ll get bored with this assignment pretty quickly. We should give them something more challenging.

(彼らは今の業務にすぐに飽きてしまうのではないかな。もっとやりがいのある仕事を何かあげないと)

I imagine it’ll rain soon.

(すぐ雨が降るんじゃないかなあ)

推測の発言なので「〜と思う」のようにも訳せます。「思う」だとbelieveやthinkという動詞も浮かんできますが、imagineのほうがもっと当てずっぽうというか、想像の範囲を超えない「思う」になります。同じ推測を表す動詞supposeやguessにもっと近く、この2つとなら言い換えが効くと考えていいでしょう。

最後にもう2つ、imagineを使った鉄板表現をご紹介します。

・As you can imagine...(ご想像のとおり)

「お考えのとおり、おわかりだと思いますが」といった感じで、話を切り出すときに最適です。

As you can imagine, we’ve been struggling for most of this year because of the pandemic.

(ご承知のとおり、我が社はコロナの流行のため、今年の大半の期間で苦戦を強いられています)

・imagining things(思い過ごしだ、気のせいだ)

be imagining thingsと現在進行形にして使う表現です。

A: I think some of my colleagues are talking about me behind my back.

(同僚の数名が私の悪口を陰で言っているようだ)

B: You’re (just) imagining things.

(考えすぎですよ/気のせいですよ)

悲観的なコメントをする仲間を慰める、フォローするような一言です。I’m sure you’re imagining things.と、冒頭にI’m sureを付けて確信度を高めると、相手をさらに安心させられそうです。

名詞形のimaginationを用いて、It’s just (all) your imagination.(<全部>あなたの思いすぎですよ)と言っても、同じようなシチュエーションで使うことができます。

以上のようにimagineはビジネスシーンに登場頻度の高い慣用句的な表現がたくさんあります。一文丸ごとを暗記して、瞬時に口をついて言えるようにしておいてください。

■名言を解剖する

The man who has no imagination has no wings.

(想像力がないやつは翼が持てない)

the man whoのwhoは「誰」という意味ではありません。関係代名詞のwhoですが、これは直前の名詞が人間の場合に使うもので、「それはこういう人間ですよ」と、後ろから説明する役割を果たします。

直前の名詞はmanですから「人」となります(「男」という意味ももちろんありますが、ここではもっと広く人全般を指しています)。どんな人かは、who以下の後続で説明されるのでしたね。has no imagination(想像力のない)とありますから、「想像力のない人間」となります。

さらに想像力のない人は、has no wings(翼を持たない)と言っています。no +名詞で「名詞なし」さらに、have (/has) no +名詞で「名詞を<一切>持っていない<所有していない>」となります。

I have no job.(仕事がない)、I have no friends to talk to.(話せる友達が誰もいない)、I have no expectation of getting a promotion.(昇進できるとはみじんも思っていない)などと、この形で“全然持ってない”話が延々とできます(笑)。

名言のようにno +名詞が一文のなかに2回連続で登場するパータンには、ことわざ(ふうの)表現にもあります。

No pain, no gain.

(労なくして益なし)

「痛みなくして得るものなし」などとも訳されます。何かを達成(gain)するためには、苦労(pain)しなければならない、ということです。

No harm, no foul.

(実害はなかったから大丈夫)

もともとはスポーツ用語です。foulはファウル、反則行為のことです。ファウルをしても相手には害(ダメージ)を与えなかったため、ファウルとはみなさないということです。転じて、「失敗しても実害は出ていないので大丈夫」といったニュアンスで使われることがあります。仕事でミスをして謝ってきた相手に、No harm, no foul.をドンマイ的に言うことができます。

また、タワーレコードのキャッチコピーも、このパターンですね。

No music, no life.

(音楽なしでは生きられない)

「音楽がないなんて人生終わったみたなもの」といったところでしょうか。musicの代わりに自分がハマっているものを名詞で入れれば、ちょっと気の利いた自己紹介にもなりそうですね。

■今週の1枚

As you can imagine...、機上からの1枚です。どこを飛んでいて撮ったのかはもう忘却の彼方ですが……。機窓からの撮影は、もう趣味を通り越して私の新たな習慣と言ってもいいほど。また自由に空の旅ができるようになって、心ゆくまでon the airplaneでtake picturesできる日が早くやって来ますように!

さて1年にわたって続けてきた連載もこれでthe endです。ご愛読いただき、本当にありがとうございました。名言による英語学習は、長く楽しく続けることができると思うので、これからもぜひ続けてみてくださいね。

Till we meet again!  Tetsuya Yasukochi

(構成・山本航)