「感染の可能性があるすべての市民を検査。全世界が注目した戦略」
ドイツの時事週刊誌「シュピーゲル」は6日発行の同誌に「韓国の成功した新型コロナ戦略:国家全体を検査する」というタイトルの記事を載せ、大邱市の新型コロナウイルス感染症の防疫などについて紹介した。シュピーゲルは「全数調査をしなければ韓国は米国のようになっていただろう」という大邱市医師会関係者の説明を伝え、感染の可能性があるすべての市民を対象にした全数調査を高く評価した。シュピーゲルは「大邱市医師会と大邱市が決定したこの戦略(全数調査)は、ウイルスに多くの市民が感染するのを防いだ。症状の重さによって患者を分類し、治療病室の運営も効果的に行うことができた」と述べた。
国内で新型コロナの感染者が最も多かった大邱市のコロナ対応戦略と成熟した市民意識を紹介する海外メディアが最近増えている。しかしながら、ほんの1ヶ月前までは、今まで一度も経験したことのない事態に直面した大邱市は不安に見えた。感染者は急増し、明日の状況も誰も予想できない日々が続いた。
大邱市は新型コロナをうまく克服しつつある。市民たちが自発的に互いの距離を置くことを実践し、迅速な診断と検査、治療専門病床と生活治療センターの設置、医療人力の確保が大いに役立った。1月31日に災難安全対策本部が稼働して以降、4月19日まで80日間休みなく働くクォン・ヨンジン大邱市長に書面を通してインタビューした。
――大邱市民にとっては忍耐を要することが少なくなかったですね。
「葬儀すらできなかった遺族たちの辛さはとても言葉にできない。企業も売上急減で被害が甚大だ。伝統市場は最悪の景気に直面している。皆が大変な苦痛の時間を送っている。それでも、危機に強い大邱市民の遺伝子(DNA)は、新型コロナに向き合い、驚くほどの底力を見せた。互いに応援し、激励している。全国に大流行が広まらないようにと対処するのを見て、メディシティー(医療都市)大邱の力を確認できた」
――初期の対応についての批判もあります。
「誰も行ったことのない道を開拓していくような状態だった。ある程度は批判に耐えなければいけない部分だと思う。一方、海外で新型コロナが大流行し、各国で危うい対応の状況が見られる中、大邱の初期対応については再評価されている。全国で初めて実施した、社会的距離を置く大邱の運動は、高い市民意識を見せた成功的なモデルだった」
――大邱市長を批判するネット上のコメントもありました。
「防疫対応の初期は、たくさんの陰謀論が出てきた。新天地イエス教会(新天地)教徒の全数調査と病室確保のために孤軍奮闘していた時、防疫を妨害するような根拠のない内容が流布されて惨憺たる気持ちだった。政治的に偏った見方に巻き込まれて防疫が混乱したら、新型コロナの地域拡散と全国への広がりを防ぐのは難しかったと思う。振り返れば、大邱市民と大韓民国の共同体が見せた連帯が難しい局面を克服するのに役立った」
――大邱が積極的に新型コロナの第2次流行に備えた対応方案を準備している理由は?
「新型コロナは、無症状で感染を広めたり、完治後に再感染するなど『ステルス型ウイルス』と呼ばれるほど静かに拡散する特徴がある。いくらでも爆発的な感染の可能性があるというのが医学界の判断だ。新型コロナの事態が長期化し、再び流行する可能性が高い状況で、既存の地方自治体主導の防疫には限界がある。大邱はすでに経験したことだ。ベンチマーキングできる模範都市が必要と考える」
――市民参与を通して防疫しようと、社会的距離を置く運動を実行していますね。
「20日から大邱全域、すべての分野で防疫を連携する市民運動を展開する。各界のオピニオンリーダー200人余りが参与する新型コロナ克服推進委員会を構成し、分野別、事業所別に、日常の中で守るべき防疫の指針を出す。文化、教育、交通、スポーツ、介護など、様々な分野の細かい規則を作る計画だ」
――「新型コロナ大邱白書」を通して防疫都市のモデルを提示すべきとの意見もあります。
「大邱市民が最高の防疫でありワクチンだったという事実を広く知らせたい。ウイルスに対する恐怖が都市全体を覆ったが、互いに応援し、励まし合いながら、うまく危機を乗り越えつつある。しかしながら、市民の献身と犠牲に頼ってばかりはいられない。今後は、感染病の大規模な流行と拡散に備えて、より進歩したシステムを構築しなければならない。病床や医療基盤の初期確保のような事例は、対応マニュアルを作るべきだ。大邱が経験した試練は、今後感染病に備えるうえで大きな資産になるはずだ。白書には、一連の対応過程と改善すべき課題、大邱市民や医療陣、ボランティアについての話も盛り込んで、今後の感染病拡散に備えるのに役立つものにしたい」
(2020年4月20日付東亜日報 チャン・ヨンフン記者)
(翻訳・成川彩)