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冬休みに1週間子連れでセブ島留学 日本人運営のこだわりの託児所を活用

育休ママの挑戦~赤ちゃん連れ留学体験記~
セブ島にある「Voyage Childhouse」。カラフルなマットと壁、遊具と明るいフィリピン人スタッフの話し声が印象的だ=2020年1月9日、今村優莉撮影

2020年最初の「育休ママの挑戦」は、番外編から始めたい。

実はわたしは、冬休みを利用して再びフィリピン・セブ島に子連れで英語留学した。期間はわずか1週間。

記憶が薄れないうちに、ご紹介してみようと思う。

今回は、もともと冬休みの旅行をメーンに考えていたが、育休中に敢行したセブとNZでの英語留学から戻って1年。復帰後、職場で受けた英語の電話がまともに聞き取れなかったことに危機感を募らせたわたしは、「せっかくセブに行くなら、短期でもまた英語学校行きたいな」と思うようになっていた。

せっかくなら、いろいろな英語学校を試したい。リサーチをした結果、私は、セブ島中心部にある主に社会人を多く受け入れている語学学校に通うことに決めた。学校については次回以降触れるとして、今回の子連れ留学が実現したのは、現地でシンシンとルール-の託児所が見つかったことが大きい。

「Voyage Childhouse」(ボヤージ・チャイルドハウス)。

セブ島に20189月にオープンした託児所だ。0歳10カ月から10歳までを受け入れている。6歳未満の子どもは保育に加えて英語、日本語、音楽、アートや数字のほか、服の着方や靴のはきかた、掃除といった暮らしに関わるしつけを取り入れたクラスを提供。6歳以上10歳以下の子どもは、学校が終わったあとに宿題や自主学習する場として、学習指導を含めたサービスも行っている。

平日は8時~19時ごろまで、土曜日も開いているから、長期滞在者だけでなく、旅行などの短期で来た人も、子どもを預けてリフレッシュすることが可能だ。

Voyage Childhouseで行われているアクテビティクラスの一つ。日付や曜日、天気の他に数字の授業も=2020年1月、松山友子さん提供

運営者は、セブ島に住む松山友子さん(46)。

大阪府出身で、特別支援学校の教員として大阪と東京で10年働いたあと、JICAの現地教員として2008年にスリランカへ。現地の小学校や中学、高校で2年間、子どもや先生に障害のことを教えたり、障害児の指導にあたったりした。

「スリランカについて何も分からない私に、現地の人たちは本当にあたたかく接してくれ、助けてくれました」

もっと海外で働きたい。海外で暮らす人たちの役に立ちたい。そんな思いを抱くようになったという。

まずは英語を磨こうと、フィリピンのネグロス島へ語学留学しにいったのは2011年のことだ。インターンなどをしながら英語の勉強をした。その後、セブ島に移り、オンライン英会話学校の運営責任者などを6年務めた。

そこでの経験が転機となった。

「子どもを抱えるフィリピン人スタッフや先生は、自身が雇うシッターさんが病気や用事で来られないと、自分たちも突然仕事を休まざるを得なくなるのですよね。その頃、セブには託児所というものがなくて、『こんなのがあったら、喜ばれるのになあ』と思っていたのです」

ないなら、自分でつくってしまおう。

貯金を崩して、託児所をつくることにした。松山さんが最初にこだわったのは、場所だ。

「コンドミニアムの一室や、地図で見つけにくい小さな路地につくっても、気軽に見学したり、通おうと思ったりできないと思ったのです」

セブ島のVoyage Childhouseに通う筆者とシンシン、ルール-兄弟=2020年1月=通行人撮影

賃料はかなりしてしまうが、思い切ってセブ島でも欧米の大企業が進出する中心部「ITパーク」のビルの2階の一角にある160平米の事務所を借りることにした。

1カ月以上かけて日本円150万円以上を投じ、壁を取り除いたり新たに設けたりして、プレイルーム、クラスルーム、赤ちゃん専用のお昼寝ルームなどを取り入れた。大きな窓やオートロック付きのガラス製ドアも設置。外からも気軽に見てもらえることを意識した。

フィリピン人スタッフの指導には特に力を入れたという。

「大切なお子さんをお預かりしている以上、事故は命取りです。開業以来、ほとんどそれだけを意識して指導をしてきました」と振り返る。

フィリピン人スタッフは「子どもの扱いに対するセンスは抜群だけど、どこかちょっと抜けている」とも話す。

「例えば、高いところに物を置いたり、子どもの手が届くテーブルにはさみを置いたりしてしまいます。地震が来たら危ないことや、誰かが(はさみなどを)取って取り返しの付かないことになってしまう、というところまでは想像していないようでした。その辺は、毎日口がすっぱくなるほど繰り返し伝えました」と話す。

松山さんの細かい指導についていけずに辞めていく人も大勢いたという。「開業当時から残っているのは、、、1人だけですね」。

セブ島のVoyage Childhouseでクリスマスパーティーを楽しむフィリピン人スタッフ=松山友子さん提供

もう一つの特徴は、清掃員がいないことだ。フィリピンの多くの施設では、掃除専門の人を雇うが、そうした人をあえて置いていない。

「自分で使うものや、使ったあとにきちんときれいにする、という基本動作をスタッフに覚えてもらいたかったのです。トイレや床、テーブルや遊具。全部自分たちで掃除します」

掃除がいやで辞めるスタッフも後を絶たなかったという。だが、松山さんは方針を変えない。

「誰かがきれいにしてくれると思うと、多少汚くしてもいいや、と思ってしまいますよね。でも、自分たちできれいにすることをスタッフ一同が心得ることによって、子どもに接するときの態度にも『使ったらしまおうね』とか『きれいに使おうね』と自然に表れると思うのです」

開業からまもなく1年半。じわりじわりと口コミで評判を呼び、今では常時10~20人ほどの子どもが通う。9割近くは日本人の子どもだが、中国や韓国、ロシア、中東の国々の子どもも滞在する。預けるのは日本人、外国人にかかわらず、短期の旅行者や語学留学、現地で駐在する人たちだ。

松山さんの夢は、経済的に決して豊かではない現地の子どもや障害のある子どもも受け入れられるような託児所を作ること。

「フィリピンではまだ多くの家庭がシッター頼りです。いつか、シッター文化から託児所にシフトすれば、より多くの人が働きやすいのではないかと思います。今は利益を頂かないとまわっていかない事情もあり、少しお値段が『外国人』向けなのですが、近い将来、フィリピン人の方たちにも気軽に利用して頂けるような値段設定にして、より多くの人たちに託児所を身近なものにしてもらいたいと思っています」

***次回は、今回の子連れ留学中に出会った家族を紹介します。夫婦で一緒に育児休業をとり、親子でセブに来て英語を学んでいるご夫婦の話です。