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エボラ出血熱と紛争 二重の命の危険にさらされる人たち 日本も知るべき不条理

世界報道写真展から――その瞬間、私は
AFP PHOTO/JOHN WESSELS
photo:John Wessels/AFP/Getty Images ジョン・ウェッセルズ/John Wessels 南アフリカ

この2年半は、武装勢力による紛争が続くコンゴ民主共和国(旧ザイール)の首都キンシャサを拠点とし、戦争被害にあった住民たちを撮影してきた。その同国で2018年8月、エボラ出血熱の流行が宣言された。「今度はエボラが住民を襲った。なぜ不幸が続くのかと、やりきれなかった」。同時に宿命を感じた。「今ここにいる自分だからこそ、紛争とエボラの二重苦を最初から最後まで報じる義務がある」

感染は、紛争取材の前線としていた東部ベニから30キロ離れた街で起こり、急速に広がった。歯茎や目、耳から出血して命を落とす人たち。空気感染がないことは知っていたので、住民との物理的な接触がないように気をつけた。しかし、年末に向けて武装勢力の攻撃が激化し、流血の事態がたびたび起きた。感染者の治療センターにいる職員らも攻撃の対象になった。混乱の中で住民とぶつかったり、人混みにのみ込まれたりすることが増え、自身への感染の危険性も実感した。それでも、取材はやめなかった。ただでさえ困難なエボラ感染の拡大抑止に、紛争が悪影響を及ぼしている。世界にどうしても知ってもらいたかった。

「紛争の不条理とエボラ感染の恐怖に直面しながらも、必死に生き続ける住民たちの姿を写真から感じ取ってもらいたい」。日本の読者へのメッセージだという。

■エボラ出血熱と武装闘争

エボラ出血熱の流行が続くコンゴ民主共和国の東部地域は、複数の武装勢力による紛争が長年続き、治安の悪化が著しい。外国人への不信感も強く、感染の可能性があっても外国のNGOが設置した治療施設を頼らない住民も多い。NGO職員らも武装勢力の標的となり、英BBCによると2019年1月以降、7人が死亡、58人が負傷した。こうした紛争がエボラ感染への対応に大きな影響を及ぼしていると問題になっている。

世界保健機関(WHO)によると、18年8月の発生から19年12月18日までに3351人が感染し、2211人が死亡。約3分の1が治療施設外の場所で亡くなっており、ほかの住民への感染リスクを高めているとされる。(山本大輔)