何かに迷っているあなたに、ショートストーリーの名手がつむいだこの言葉を

やる気が出る名言で学ぶビジネス英語更新日：2019.09.30 公開日：2019.09.30

安河内哲也撮影

「やる気が出る名言で学ぶビジネス英語」＃４みなさん、こんにちは！　英語の名言を味わいつつ、ビジネスで使える英語を学んでいくこの連載、今週も元気にいってみましょう!!
英語学習は英文を読むだけではなかなか話せるようにはなりません。ここで学んだ英語は、ぜひ実際に使ってみましょう。知り合いの外国人やオンライン英会話の先生などを相手に、新しく仕入れた名言を披露してみてください。（安河内哲也）

■今週の名言

For those who are lost, there will always be cities that feel like home.

（道を見失った者にとっても故郷のように感じる都市が必ずどこかにある）

サイモン・ヴァン・ボーイの名言を安河内哲也先生が解説

■名言を味わう

さすがは作家、美しい名言です。直訳すると「道に迷っている人には、自分の故郷のように感じる都市が必ずある」。意味がぱっとはわからない、だからこそ立ち止まって考えたくなる一文です。

名言は、ある程度自由に解釈していいと私は思っています。その証拠にというわけではないですが、私が付けた和訳にある「道を見失った者にとっても」の「も」や、「必ずどこかにある」の「どこか」に該当する言葉は原文にはありません。「道を見失った者にとっては」「必ずある」と原文通り訳すより、日本語にしたとき意味が伝わりやすい、自然な感じになればとひねり出したものです。こんなふうに自分オリジナルの和訳を考えてみるのも、楽しんで英語に触れる時間になるのでオススメです。

この名言、私には「自分の故郷のようにほっとでき、しっくりくる物を探し続ける大切さ」を説いているように感じられます（解釈の仕方は人それぞれ。音読しながら名言が言わんとするところも考えてみて）。

人間関係や仕事でギクシャクし、今いる場所に違和感が出てきた。外に目を向けると、さまざまな価値観を持った人が共存するコミュニティーが世界にはたくさんある。探し続ければ、自分にぴったりの居場所がある……。

昔は年功序列、終身雇用が当たり前でしたが、今や幅広い組織やネットワークを駆使して、自由に渡り歩き仕事をする人が増えています。自分に合った仕事や仲間、生きがいは、もしかしたら一生探し続けていくものなのかもしれません。

■名言の単語ピックアップ

home

居場所、家（名詞）

幅広い意味を持つhomeですが、名言では「自分の居場所」として使われています。さらに、サッカーや野球などスポーツでhomeと言えば「本拠地」の意味としてもおなじみですね。

またhomeは、たとえば、go home（家に帰る）のように副詞としても使われます（「go to home」とは言いません）。go home（家に帰る）から派生して「帰国する（自国に戻る）」という意味もあります。海外でWhen are you going home?と質問されたら、その日の帰宅時間ではなく「いつ帰国するの？」と尋ねられているわけです。

at homeも頻出表現。I’ll be at home tonight.（今夜は家にいます）、Make yourself at home.（くつろいで）、He makes you feel at home.（彼は癒し系なんだよね）など、「在宅」「くつろぎ」「安らぎ（癒し）といったワードとリンクさせて覚えましょう。

それでは、３つの例文を紹介します。

I hardly ever go back home.

（私はめったに＜実＞家には帰らない）

＊hardly everで「めったに〜（し）ない」。海外在住ならhomeは「自国」になる。

(Please) Make yourself at home.

（＜どうぞ＞くつろいでください）

＊自宅に招いたゲストだけでなく、会社への来客や、こちらがセレクトした店での接待相手に対してなどにも使える一言。

London seems to be her home away from home since she’s been working there for ten years.

（10年も働いているので、ロンドンは彼女にとって第二の故郷のようです）

home away from homeは「我が家のように居心地のいい場所」のこと。「第二の我が家」など文脈にあった訳を当てはめよう。

■名言を解剖する

For those who are lost, there will always be cities that feel like home.

（道を見失った者にとっても故郷のように感じる都市が必ずどこかにある）

forは「〜にとって」という意味の前置詞ですが、その直後がthose who…と続いていますね。 those who…（〜する人々）は難しく感じるかもしれませんが非常に良く使う表現。thoseは、the people のことです。who以下でどんな人々かが説明されています。

be lostは、「道に迷っている」ですから、迷って行き場を失っている、さまよい人のこと。there will be always cities で「いつも都市がある」。that feels like homeのfeel like …は「〜のように感じる」という意味。I feel like having a coffee.（コーヒーが飲みた気分）などと、自分の欲求を伝えることもできます。ちなみに、ここでのlikeは「〜のように」という意味の前置詞です。homeは家ではなく、「自分の居場所」のことです。

■今週の１枚

東京・新宿の思い出横丁近くで、人通りの多い夕暮れに撮影しました。

４回目にして初となる都会の街角風景写真とともに、cityの香り立つ英語の名言を吟味してみましたが、いかがだったでしょうか？

さて次週（10月7日更新予定）の「やる気が出る名言で学ぶビジネス英語」は、アメリカの初代大統領による「正直の勧め」的な一言をご紹介。シンプルな一言なので、きっとすぐ覚えられるはずです。

では、どうぞお楽しみに。See you next week!

（構成・山本航）

■「やる気が出る名言で学ぶビジネス英語」は毎週月曜朝に配信します。