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豊かな明日への1マイル 【MaaS】

PR by 三菱商事 公開日:

MaaS(Mobility as a Service) モビリティ・アズ・ア・サービス スマートフォンアプリなどを介して目的地までの最適な交通手段を切れ目なく提供するなど、「移動」そのものをひとつながりのサービスと捉える概念。

ラストワンマイル。空港や駅に到着した人が、最終目的地に至る「最後の1マイル」をどう移動するのか。これからの交通のあり方を考えるうえで、近ごろ重要なキーワードとなっている。ターミナル駅などの拠点から先、住まいや職場のドア前まで人を運ぶ手段がない。これまでその役を担っていた在来線や路線バスの減便・廃止が広がりつつあるためだ(1マイル=約1.6km)。

国交省の調査によると、2017年には全国の路線バスの輸送人員はピークだった1968年の約4割まで落ち込み、事業者の約7割が赤字経営となった。鉄道の世界でも、地方を中心に廃止を決定または検討中の路線が少なくない。少子化の進展とともに地方からの人口流出がさらに進むと予測されるこれからの時代は、公共交通の利用者減と乗務員の不足に拍車がかかる可能性が高い。

日本よりも早くこうした課題と向き合い、「MaaS」という概念を世界で最初に提唱したのは北欧フィンランドだ。移動手段として自家用車への依存度が高く、都市部では渋滞や環境問題、地方では運転免許を持たない人など交通弱者の足をどう確保するか、といった日本とも共通する問題意識がMaaSの登場を後押しした。デジタル技術とデータを活用し課題解決をはかる方針を国が明確にし、法整備やスタートアップ支援を進めている。

専用のスマートフォンアプリで目的地を入力すると、電車や路線バスはもちろん、コミュニティバスやタクシー、自転車シェアも含めたあらゆる移動手段が提示され、利用予約と決済までをアプリで済ませることができる。ヨーロッパ各国では近年、こうしたサービスが拡大中だ。先行事例として各国が参考にするフィンランドのアプリ「Whim(ウィム)」の場合、"公共交通だけを使う"、"環境優先"、"速さ優先"など、利用者が望む条件に合わせてルートを選択できるという。

日本では近年、民間の路線バスが撤退した地域などで、自治体がコミュニティバスを運行する例が増えている。あるいはわずかな料金で、NPOなどのボランティアがマイカーを提供してくれる地域もあるという。こうした事業は、自治体の財政や地域のマンパワーに余裕があるうちは可能だが、将来も長く維持できるかといえば課題が残る。

MaaSは、いわば移動に不安のない未来を人々に約束するための取り組みで、日本でもさまざまな企業・団体が導入に取り組んでいる。現在国交省を中心に検討が進む「日本版MaaS(仮称JapanMaaS)」は地方の課題解決に力点を置き、年齢や障がいの有無にかかわらず誰もが利用しやすい「ユニバーサルなMaaS」、小売や医療など多様なサービスと結びついた「高付加価値なMaaS」をめざしていることなどが特徴的だ。

たとえばアプリから入った予約をAI(人工知能)による自動配車システムが受け付け、利用者のもとに自動運転車を向かわせることで利用者減と人手不足に対応する。あるいは複数の近隣住人で、1台の電気自動車を共同利用する仕組みで環境にも配慮した移動を実現する。そうした新しい技術やアイデアと組み合わせることで、MaaSの可能性は大きく広がっていく。

100年に一度のモビリティ大変革の時代に、新しい技術でこれまでにない価値や楽しさを生み出したい。そんな発想が、持続可能な未来への「1マイル」をつないでくれるのかもしれない。

提供:三菱商事