今から25年前。わずか100日の間に80万~100万人と言われる人が殺されたアフリカ東部のルワンダ。民族間の対立によって引き起こされた虐殺を忘れまいと、現在は国内各地に「虐殺記念館」が建つ。
政府軍や多数派民族フツの民兵組織などは1994年4月、フツ系の大統領の飛行機が撃墜されたことをきっかけに、小数派民族のツチの虐殺に乗り出した。銃ではなく、苦痛を長く感じさせるためにナタなどが使われた。同年7月にツチの反政府組織がほぼ全土を制圧するまで、大規模な虐殺は続いた。
首都キガリにある国内最大規模の記念館では、フツとツチなどが共存していた過去の様子や、ツチを重用したベルギーの植民地時代などをパネルを使って紹介。犠牲になった人々の写真や遺品、頭蓋骨なども展示され、被害の悲惨さをまざまざと伝える。
現地ガイドの女性は「ツチだけではなく、かくまったフツの人々も犠牲になった。避難場所になった教会も、多くの人が殺害された」と話す。被害者の経験や思いを紹介する映像では、被害女性の1人が「虐殺を2度と起こさないよう、体験を伝え続けることが大事だ」と話していた。
虐殺が起きてから今年4月で25年。日本の国際協力機構(JICA)などは先月下旬、首都キガリで紛争後の復興や和解をテーマにしたセミナーを開いた。今も紛争やテロ事件が続くナイジェリアや南スーダンなどの政府関係者らが出席し、ルワンダの経験を共有した。
翌日には、JICAの職員らとともにキガリにある虐殺記念館を訪問。被害者が眠る共同墓地で祈りを捧げた。記念館のすぐ脇には、順調に進む復興を象徴するかのように、高層ビルやホテルが立ち並ぶキガリ中心部の様子がはっきりと見えた。