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運動を習慣づければ、30歳若い体をキープできる

ニューヨークタイムズ 世界の話題
長期間運動を続けると実年齢よりも若い年齢を手にできる(本文と写真は関係ありません。写真はロイター)

活動的な70歳代のグループについて調べた新研究によると、何十年にもわたって運動を続けてきた人たちの筋肉は、男性も女性も健康な25歳の若者とほとんど見分けがつかない。勇気づけられる研究結果だ。

こうした男女の有酸素容量は同世代のほとんどの人たちと比べてはるかに大きく、それが生物年齢を実年齢よりもざっと30歳若くさせていると研究者たちは結論づけた。

もちろん、誰でもみな刻々と年をとっていくから、多くの人は歳月を重ねる過程で肉体や健康状態がどうなっていくのかということに強い関心を抱くだろう。

悩ましいことに、高齢になると多くの人は衰弱し、体調不良、依存といった問題を経験する。こういったことは統計や単純な観察が示唆している。

しかし、肉体的な衰えは年をとれば避けられないことなのか、どの程度避けられないのか、あるいはそれが多少なりとも現代風のライフスタイルが招くものなのか、変えられることなのか、それらが科学的に明確になっているわけではないのだ。
それでも、身体運動が年のとり方を変え得ることを示す手がかりはある。最近の研究の結果、高齢のアスリートたちは、同年齢でもほとんど体を動かさない人に比べて、筋肉や脳、免疫システム、心臓が健康であることがわかっている。ただし、こうした研究の多くは競争力のある熟練アスリートたちに焦点を当てたもので、レクリエーションとして運動をしている人たちや女性はほとんどが研究対象から除かれている。

学術誌「Journal of Applied Physiology(応用生理学ジャーナル)」(2018年8月出版)に掲載された今回の研究は、高齢の男性と女性に注目した点に特徴がある。これは米インディアナ州マンシーのボール州立大学の学者たちによる研究だ。

「我々は1970年代のランニングなどのエクササイズブームが起きた時期に運動を始めた人たちに関心を持った」とスコット・トラップは言う。ボール州立大学ヒューマンパフォーマンス研究所の所長で、今回の研究論文の上席筆者である。トラップによると、その時期は1972年にTitle IX(教育改正法第9編。「男女教育機会均等法」とも呼ばれる)が成立し、77年には若い世代の男女に向けてレクリエーションとしての身体運動を紹介した本「The Complete Book of Running」(邦訳本は「奇蹟のランニング」)が出版された。

「若者たちは趣味として運動をはじめたのだ」とトラップ。その一部は、以後約50年間もの期間にわたってランニングやサイクリング、スイミングなどの運動をする趣味を持ち続けてきた。他者と競い合うことはほとんどないか、まったくなくても、とにかく運動を続けている人たちだと彼は言う。

今や70歳代になっているそうした男女が、トラップらの研究対象である。
トラップら研究者たちは広告を出すなどして、女性7人を含む計28人を集めた。いずれも半世紀にわたって運動を続けてきた人たちだ。

第2のグループとして、同世代だが成人してからは運動してこなかった人たちを、また第3グループとして20歳代の活動的な若者たちを研究対象に募った。

全員に研究所に来てもらい、それぞれの有酸素容量を調べ、細胞組織を使って毛細血管の数や筋肉の特定の酵素量などを測定した。いずれも数値が高ければ、筋肉が健康であることを示している。

研究者たちが心臓血管系統や筋肉に焦点を当てたのは、それらが年齢とともに不可避的に衰えていくとみられているからである。彼らは、グループ間の相違としてトラップが言う「階層型のパターン」ができるだろうと見込んでいた。つまり、最も強健な筋肉と有酸素容量を持つのが若者グループで、その次に長期間にわたって運動を続けてきた人たちが位置し、運動をしてこなかった高齢者のグループはより弱々しいという想定だった。

ところが、結果は違った。長期間、運動を続けてきた人たちの筋肉は、毛細血管の数や酵素の量とともに若者グループと似通っており、運動してこなかった高齢者と比べてはるかに高い数値を示した。

活動的な高齢者のグループは、若者たちと比べると有酸素容量の数値が低いものの、それは活動的ではない同世代の人たちよりも40%高かった。研究者たちは、活動的高齢者の有酸素容量を各世代の「通常」とされる既定値と比較し、実年齢より30歳も若い心臓血管の健康度を保っているとの数字をはじきだした。

こうした活動的な高齢者たちの筋肉や心臓血管の健康度に関する研究結果は、我々が正常と考えてきた肉体が年齢とともに衰えていくことは「正常でもなければ不可避でもないかもしれない」ことを示している。そうトラップは言っている。(抄訳)

(Gretchen Reynolds)©2018 The New York Times

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