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マイケル・ブースから新年のごあいさつ 台所回りの提案あれこれ

マイケル・ブースの世界を食べる 更新日: 公開日:
北村玲奈撮影

■目指せ「生ゴミゼロ」

1年の中でも今の時期、私たちは重要な誓いをする。「新年の抱負」である。ほとんどの人は、何かをやめたり、新しいスキルや言語を習得しようと誓ったりする。

しかし、私にはいつだって、何をどう料理するかについては向上の余地がある。おそらくみなさんも同じでは?もしそうなら、少なくともキッチン回りで起こることに関し、2019年をより豊かでやりがいのある年にする提案をいくつかしたい。そこで起こることは、残りの人生とすこやかな暮らしにも波及しがちだからだ。

まずは、あまりにも多くの食品をむだにするのをやめる。誰しもすでに気づいているはずだ。

私はパリの料理教室で、キッチンで生じるむだを忌み嫌うように教え込まれた。自分たちが出した生ゴミが入ったボウルの中を年老いたフランス人シェフにくまなく調べられたのは、相当の衝撃だった。だから、卵の殻とアボカドの皮を除き、目指すは「生ゴミゼロ」。そのカギとなるのが、計画と缶詰である。

買い物前にあらかじめ何日か先の料理まで思い浮かべること。まさに大坂なおみが目の前に迫った試合での一球一球に対して、そうしていたように。そして、それに基づいてものを買う。向こう23日に食べるもの、調理法を決めているものだけを買えばいい。

缶詰は、トマトやアンチョビ、ヒヨコ豆を戸棚に備えておけば、清く正しいむだなき食事へといつでも一歩近づいていることになる。

■節約したお金でオリーブオイルを

1年に1回は包丁を研ぐ。切れ味がいいほうがより安全だし、生野菜や果物の切り口もなめらかになる。みずみずしさはそのままに、ドレッシングともからみやすい。日本の包丁が最高だが、もっとこまめに研ぐ必要がある。1カ月に1回といったところだろうか。

自分自身のハーブを栽培するのもいい考えだ。場所も世話も、それほど必要ない。スーパーなんかでコリアンダーやパセリ、バジル、ディル、タラゴンなどを買うと、どれくらいの値段になるか気づいていますか?

でも、いずれも鉢植えを窓際に置いておけば、ほとんど手をかけなくてもすくすく育ってくれるのだ。庭なんて必要ないし、日当たりのいい場所が少しあればいい。採れたてなら味もなおのことよい。

節約したお金を、代わりにとびきりいいオリーブオイルに費やす。でも、オリーブオイルを使うのは、ドレッシングにして振りかけるためだけ。オリーブオイルに熱を加えるのは、ラタトゥイユのような地中海料理のときのみにする。代わりに、ソテーならバター、高温で揚げ物を調理するときにはグレープシードオイルを使う。これがプロのやり方だ。

キッチンの引き出しや食器棚を片づける。この12カ月間使っていないものがあったら、慈善ショップにあげよう。特にあの「高性能」にんにくつぶし器の類い。あれもこれも、つまみ出してしまえ!そして愛してはいるものの、料理本にも同じことが言える……使わないまま置いておくには場所をとりすぎる。

肉や魚はスーパーではなく、商店街や地域の通りにある専門の店で買う。肉屋や魚屋にアドバイスを求めてみるがいい。その膨大な知識は常に出番を待っていて、食材に関心を示せば示すほど、彼らは教えてくれるだろう。肉の部位や魚の種類に自信がなくても教えてくれるし、ベストの調理法も知っている。

最後に、もちろん、コンビニの持ち帰りや出来合いの食事よりも、ちゃんとした料理を作る時間を増やす。よりヘルシーで、安く、環境にもいい。何よりもヘルシーでおいしい料理をつくることは、あなたの愛情を表現できる一番の方法なのだから。(訳・菴原みなと)