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「勝ち戦」は強し! 韓国の連休映画合戦を制した「安市城」はアトラクションの世界

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「安市城」ポスター(NEW提供)
「安市城」ポスター(NEW提供)

韓国では9月22~26日、秋夕(チュソク)の大型連休だった。チュソクと呼ばれる旧暦8月15日の前後が休みとなり、親戚が集まってお墓参りをしたり祭祀を行ったりする。映画館に足を運ぶ家族連れも多く、観客数の伸びるシーズンだ。今シーズンは、歴史アクション映画「安市城」(キム・グァンシク監督)が公開8日目で観客数300万人を突破し、連休映画合戦を制した。

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「安市城」で唐の大軍から城を守る兵士たち。中央がチョ・インソン(NEW提供)

時は645年、高句麗と唐が繰り広げた88日間の劇的な戦いを描き、制作費220億ウォン(約22億円)をかけた大作だ。主演はチョ・インソン。高句麗の安市城の城主ヤン・マンチュンを演じた。ヤン・マンチュン率いる5千人の兵が、唐の20万の大軍を打ち負かし、城を守りきる。ガールズグループAOAのメンバー、ソリョンが女性兵士役で参戦したのも話題になった。実際、高句麗では女性兵士が活躍していたそうだ。時代劇といえば朝鮮時代が圧倒的に多い中、高句麗という時代背景は新鮮味があった。

チュソク連休の映画としては、他にヒョンビン、ソン・イェジンが主演し、人質事件をめぐる交渉を描いた「交渉」、チョ・スンウ、チソン主演の易学をめぐる時代劇「明堂」などが注目を集めたが、観客数では「安市城」に及ばなかった。

私は公開早々、連休前に鑑賞し、「安市城」の勝ちを予想していた。なぜなら、韓国映画史上最多動員数を誇る「バトル・オーシャン 海上決戦」(2014)を連想したから。1700万人を超す大大ヒット作だ。単純に計算しても、韓国の人口5千万人の3分の1が見たことになる。ところがこの映画、日本では劇場公開されず、DVDが発売されただけだ。原題は「鳴梁」。豊臣秀吉率いる日本軍が朝鮮に出兵した慶長の役で、李舜臣将軍が活躍した鳴梁海戦を描いている。二つの映画の共通点は、勝ち戦ということだ。逆に鳴梁海戦で負けた日本では、観客受けしないだろうという予測のもと、公開されなかったようだ。

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「安市城」で女性兵士を演じるソリョン(NEW提供)

二つの映画は、まさに自分が戦場にいるかのような錯覚に陥る。一種のアトラクションのような世界だ。ストーリーがどうこうよりも、迫力満点の臨場感で、興奮が味わえる。「安市城」のキム監督は「高句麗時代の戦争だが、現代的な雰囲気で表現したかった」と話す。スポーツ中継に使われる技術を駆使し、戦闘中の動作一つ一つが、鮮明に映し出される。

ところで、昨年のチュソク連休には、負け戦の映画が公開された。イ・ビョンホン、キム・ユンソク主演の「天命の城」(原題は「南漢山城」)だ。1636~1637年、朝鮮に清が攻め入った丙子の乱を描いている。朝鮮朝廷は南漢山城に逃げるが孤立無援状態になり、清に降伏する。降伏に至るまでの様々な葛藤が描かれ、「実際こうだったかも」と思わせる説得力があった。評価は高かったが、観客数が伸び悩んだのは、やはり負け戦だったからだ。昨年の今頃は朝鮮半島の南北の緊張が高まり、北朝鮮のみならず米国や中国、日本との間で韓国外交は悩ましい状況だっだ。「現実が憂鬱なのに、映画でさらに憂鬱になりそう」と敬遠する人も多かった。

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「安市城」主演のチョ・インソン(NEW提供)

一転、「安市城」を見る観客はチョ・インソンと共に数々の難局を乗り越え、劇場を出る時の気持ちは軽い。まだ記録の少ない時代、史実がよく分からない分、ファンタジーの要素も強い。ファミリーで楽しむにはもってこいの映画だ。