中国とアフリカの関係強化を話し合う「中国アフリカ協力フォーラム」が9月3~4日、中国の首都北京で開かれました。アフリカ54カ国中、台湾と国交があるエスワティニ(旧スワジランド)をのぞく53カ国が参加。南アフリカやエジプト、ナイジェリアなど、多くの大統領が集まりました。中国とアフリカ諸国双方の狙いを探るため、アフリカを飛び出し、現地で取材しました。
ちなみに、私が北京を訪れるのは17年ぶり。空港から中心部に向かっていると、高層ビルの多さや舗装が行き届いた道路に目が行きました。地下鉄の路線数も大幅に増え、オシャレに気を使う若者の多さにも驚きました。
アフリカでは、首都の道路の真ん中に陥没や凸凹があったり、未舗装の道路があったりします。鉄道網はまだまだ発達しておらず、都市部では朝夕の通勤時間の渋滞に悩まされています。アフリカ南西部アンゴラから取材で訪れていた男性カメラマンは「中国の発展ぶりは素晴らしい」と褒めたたえていました。
フォーラムの会場となった人民大会堂の周りには、中国国旗と赤い旗が何本も掲げられ、壮大な雰囲気を醸し出していました。習近平国家主席はここで、アフリカへの支援として無償援助150億ドルを含む総額600億ドル(約6兆6500億円)の拠出を表明。習氏の演説後、集まったアフリカ諸国の政府関係者は立ち上がり、大きな拍手を送りました。
さらに、中国に留学するアフリカの若者への奨学金の提供やアフリカ側から要望が多かった債務の免除についても、一部の国について認める方針を示し、アフリカに寄り添う姿勢を見せました。
私たちメディアの拠点となったホテルの会場も、中国が融資・建設したエチオピア・ジブチ間の鉄道の映像を大きなスクリーンで流すなど、宣伝活動の場になっていました。
中国側がアフリカとの関係を重視する狙いは、国際社会での影響力の拡大やアフリカで産出される石油などの資源の確保、市場としての先行投資などがあげられます。
全てのアフリカ諸国が中国寄りになれば、国連などの場で中国側の意見が通りやすくなります。ナイジェリアやアンゴラといった資源国の多さもアフリカの魅力です。
何より、現在、約12億5千万人のアフリカの人口は、2050年には倍増して約25億人となり、世界全体の4人に1人を占める見通しです。6割を若年層が占め、経済成長や市場の拡大が期待されています。すでに中国が貿易相手国として最大になっている国もあり、中国企業のもうけにつながっています。
一方、アフリカ諸国の狙いは「経済発展のための資金確保」です。道路の舗装を進め、停電を食い止め、資源以外の輸出品目を増やしたい――。そのためには、国家収入だけでは足りず、中国からのお金が必要なのです。
停電が頻発するマラウイの財務大臣は以前の取材で、火力発電所の建設で中国から融資を受けた理由について、「中国だけが申し出てくれたからだ」と語りました。
中国の支援は内政不干渉が原則で、欧米のように人権や民主化で注文を付けないため、強権体制の国にも歓迎されてきました。米国のトランプ政権がアフリカ諸国との関係強化に関心が見られない中、中国は多くのアフリカの政府にとって欠かすことのできない存在と言えます。
今回のフォーラムで共同議長を務めた南アフリカのラマポーザ大統領は4日、「アフリカと中国の関係は、世界で最も意味のあるパートナーシップの一つだ」と記者会見で述べました。
さらに、中国との関係強化を進めていく方針を示したセネガルのサル大統領は、「アフリカは『一つの中国』の原則について支持する」と語りました。台湾と国交を結び、唯一の不参加となったエスワティニへの圧力とも取れる発言です。
次回の会合は3年後。中国は最後の一枠を埋めるため、あの手この手で外交攻勢を強めていきそうです。