「ティリリン」
7月22日午後、ソウル市麻浦区のある大学図書館の閲覧室。誰もボタンを押していないのに、エアコンが終了音とともに切れた。暑さから逃れて勉強に来たチョンさん(24歳、女性)は、再びエアコンの電源を入れた。しかし、しばらくすると、エアコンから「ティリリン」の音が聞こえ、また切れた。
実は、閲覧室の他の利用者が寒いと感じ、スマートフォンのリモコンのアプリで、席に座ったままこっそり消したのだった。一部のエアコンは、同じメーカーのスマホにアプリをダウンロードすると、リモコンのように使える。チョンさんは、「寒さ、暑さを感じる基準が違うので、最近、閲覧室で『ティリリン』の音がよく聞こえる。そうでなくても暑いのに、イライラする」と、不満を漏らした。
蒸し暑い日が続き、学校やカフェ、マンションなど、あちこちで「猛暑葛藤」が起きている。7月25日午後2時、ソウル市冠岳区のあるカフェで出会ったオ社長(57歳、女性)は、深いため息をついた。カフェで勉強する学生に続き、電気量を節約しようと、カフェで過ごす「カフェ難民」が登場したためだ。
問題は、何人かで来て、コーヒーを1、2杯だけ注文したり、何も注文しないで暑さをしのいで帰る客が少なくないということだ。店のイメージが悪くなるかと、声をかけるのも難しい。オ社長は、近く、カフェの入口に「1人1杯注文」という文言を貼るつもりだ。「最低賃金の引上げで人件費が上がって大変なのに、回転率まで落ちて心配」と話す。
マンションなどでは、「タバコ戦争」が起きている。7月26日に訪ねたソウル市永登浦区のあるマンションのエレベーターには、「どうか、家での喫煙はやめてください」というお願い文が貼ってあった。暑いという理由で、屋外の指定された喫煙場所まで行かず、家の中でタバコを吸う住民が増えているためだ。他の住民の中には、トイレの換気口を通ってタバコの煙が家の中に入ってくると被害を訴える人もいる。このマンションの警備員は「タバコの苦情が続出しているが、どこの家の住民が『犯人』か分からず、困っている」と話す。廊下に出したゴミが、暑さですぐに腐って虫が増え、臭いが広がって「ゴミの悪臭」も葛藤の種になっている。
専門家は、暑さで不快指数が上がっている中、互いに配慮しなければならないと言う。 慶熙大学精神健康医学科のペク・チョンウ教授は、「猛暑で感情の調節が難しくなるのは当然の症状。対人関係で、より配慮し、理解することで、葛藤を減らせる」と話す。
(2018年7月27日付東亜日報 グ・トゥッキョ記者)
(翻訳・成川彩)