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実際に海外で働いてみたい方へ、まず考えてほしいこと

英語が拓く世界
技術を伝える場では、語学とともに専門能力が問われる=2007年、米イリノイ州シカゴ郊外、寺西和男撮影
技術を伝える場では、語学とともに専門能力が問われる=2007年、米イリノイ州シカゴ郊外、寺西和男撮影

どこの国?

  • 日本国内で(英語を使って)働く
  • 東南アジア
  • 英語圏〜アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアなど

職種は?

  • 高い言語能力も、高スキルも要求されない職業

→単純作業の職種など

  • 高い英語力が要求される職業

→セールス、カウンセラー、管理職など

  • 高い専門性が要求される職業

→エンジニア、コンサルタント、アナリストなど

  • 高い専門性と英語力の両方が要求される職業

→医師、上級管理職、経営者など

いつ?どんな仕事をしたいのか

一口に海外就職と言っても職業は様々ですし、どこの国で就職するのかで英語の要求度は大きく変わってきます。一般的に言って東南アジアで要求される英語力と、アメリカやイギリスといった英語圏で要求されるそれとでは、大きな隔たりがあります。

ですから漠然と「海外で働きたい」と相談されても、実はアドバイスのしようがありません。
「3年後に米国系金融機関の本社で管理職として働きたい」
であるとか、
「1年以内に日本国内の外資系企業に就職したい」
などといった具体的なゴールに落とし込んで考えていく必要があるのです。

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海外で活躍するNGOのスタッフも増えてきた=2015年、南スーダン、大久保真紀撮影

仕事の中で、英語が占める重要度はどのくらいか?

では、それぞれの仕事で要求される英語力のレベルは、どうすればわかるのでしょうか? まず手っ取り早い上に確実なのは、実際に希望する国に居住し、望みの職種で働いている人の話を実際に聞いてみることです。できれば複数の人から聞いてみましょう。

一般的に言って高い対人スキルが要求される仕事は英語の重要度が高く、対人関係が重要でない仕事ほど、英語の難易度は下がります。例えばマーケティングやセールスといった仕事は高い英語力を要求されます。顧客や取引先、あるいは部下や同僚とスムーズに意思疎通ができなければ、仕事で成果をあげることができないからです。企業の管理職なども、上に行けば行くほど言語のスキルが重要になります。

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日本国内でも、英語で事業報告などを求めるという取り組みが出てきている=2012年東京都品川区の楽天トラベルで、長崎潤一郎撮影

一方、言語を伴わずに成果を上げるできることが可能な仕事は、あまり高い言語能力を必要としません。また、自分だけで完結する仕事もあまり高い英語力を必要としません。スポーツ選手やアーティスト、美容師、調理師、彫師などとった職業はこのカテゴリに入るでしょう。

シリコンバレーにも向こう1年半予約で埋まっている彫師の方がいますが、技を極めれば英語力の弱さは十二分に補うことが可能です。ただ、こうした仕事は、自分の腕が言葉以上にモノを言うので、英語力が必要な仕事よりもある意味ずっとシビアではないかと思います。

エンジニアなどはこのちょうど中間くらいに位置する職業です。今時、完全に一人ぼっちで完結する開発案件などあまりありませんから、打ち合わせもかなりあります。レポートを書いたりする機会も意外と多いものです。ネイティブとバリバリ渡り合えるほどの英語力は必要ありませんが、かと言ってジェスチャーと表情でしのぐのは無理です。少なくとも英検準1級程度はできないと、かなり辛いでしょう。

会話力か読み書きか、それとも両方か?

では具体的にどの職業でどのような英語力が必要なのか、日本語に置き換えて考えてみましょう。

例えば美容師さんなら、何と言っても会話力です。ソツのない世間話ができるのはかなり重要なスキルでしょう。お客さんの仕事や家族の話、スポーツの勝ち負けとか、マスコミを騒がせている事件などが話せればよいのではないでしょうか? またスラングを含め、口語がスムーズに理解できることも大切です。

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日本人美容師のカット技術を学ぶ中国人美容師ら=2008年、上海市南京西路、有吉由香撮影

エンジニアとかアナリストでしたら、読み書きの重要度が一気に増します。専門的な文献を読み進めながら仕事を進めることもあるでしょうし、レポートを書く機会も多いものです。そのほか、技術的な打ち合わせとか進捗会議などもありますから、それなりの会話力も必要です。ただ、話が専門分野に終始することが多いので、あまり幅の広さは要りません。要するに仕事の話さえできればなんとかなります。これは日本語でも英語でも同じです。

コンサルタントや企業で上級管理職などを目指すのでしたら、会話力も読み書きも、専門的な教育を受けたネイティブと伍してやっていける英語力が必要です。専門的な書籍が読めるのはもちろん、レポートや提案書やプレゼンなども卒なくこなせないと、スタート地点にさえ立てません。

また、社内政治なども付いて回りますから、よほど話術が巧みで、駆け引きなどができる丈の英語力が身についていないと務まらないのです。はっきり言って英検1級やTOEIC満点くらいでは、まだロッカールームで着替えているくらいのイメージです。

なお、ワーホリでカナダに行って喫茶店の店員さんをやる、などでしたら、お客さんから言われ得ることも聞かれることもほぼ決まっているので、それだけしっかりと言えるようになればギリギリなんとかなります。逆に言うと、海外でこうした職業に就いてもあまり英語力が上がることはありません。

ターゲットを絞って勉強しよう

さて、どの職業でどういった英語力が必要なのかわかってきたら、今度はそこに向かって勉強を始めましょう。英語というとみんななぜか会話ばかり気にしますが、例えばエンジニアで働くのでしたら、会話力なんかよりは文章力の方がよほど重要なくらいです。最悪、世間話など一切できなくてもなんとかなります。

しかし、逆に接客業でしたらむしろ世間話の方が重要なくらいです。語彙も言い回しもたくさん必要なのはもちろん、そもそも普段からネタを英語で仕入れられるようになっている必要があります。日本語でネタを仕入れても、うまく会話に使えないからです。ニュースを聞いたり読んだりしてフムフムと軽く読めるくらいの力があると、俄然会話に幅が出てきます。

一方、論文を書くような力は基本的に要りませんから、そういう方向の努力は思い切り捨ててしまいましょう。また、小説や論文とかが読めなくても困りません。

大企業の幹部になってバリバリ働くようなキャリアを模索するのでしたら、会話も読み書きもブッチギリでできるようになっておく必要があります。2,3年程度の勉強では全く到達できないので、シッカリと腰を据えて年単位で勉強しましょう。

僕は基本的に日本国内で自分より英語がうまい人には滅多に遭遇しませんでしたが、それでもアップル本社で管理職に就いたばかりの頃は、毎日家に着くなりばったりとソファーに倒れ込んで動けないほど疲れ果てたものです。この時点で、英検1級に受かってから約10年経過しており、TOEICは20分余って楽勝で満点くらいのレベルでした。それでもこれですから、やっぱり相当腰を据えた学習が必要です。留学なども含め、英語力の根本的なベースアップをプランして臨んでください。

あなたが海外でしたい仕事は何ですか?

ここでもう一度立ち返って、自分が一体海外で何をしたいのかぜひ考えてみましょう。そして、そこにたどり着くまでにどのような英語力が必要なのか考え、現実的な学習プランを立ててみましょう。千里の道も一歩からです。