誰もが憧れるリゾートアイランド、バリ島。「神々の島」「最後の楽園」などとして、一大人気を誇るバリ島ですが、今、この島は、観光以外のところで世界から注目されているのです。
それは、地球上の様々な問題を、全く新たな方法で解決しようとする「社会起業家」たちが、世界中から集まってきているから。例えば「現代のマザーテレサ」として知られるロビン・リム氏が代表を務めるブミセハット国際助産院(2016年にCNN Hero of the Year受賞)や、日本人が始めたイノベーションに取り組む国際NGOとして、世界的に注目されるコペルニクなど、世界的に注目されるNGOやソーシャルビジネスが集まるこの地に、わざわざ起業しにくる欧米人も少なくありません。1ヶ月で起業に必要な全てを習得し、実際に起業するところまでサポートしてくれるスタートアップ・ブートキャンプなども行われています。
そんな私たちもまさに社会起業家。バリ島と日本を拠点に、アジア太平洋の未来を変えるチェンジメーカーを支援する団体を運営しています。
そしてさらにバリ島は、場所の縛りなくパソコン一つで自由に働くデジタルノマドのメッカでもあります。彼らは国籍もバックグラウンドも様々。国内外から集まった極めて多彩かつ多才な集団が、田んぼや海が目の前のシェアオフィスをベースに仕事をこなし、お互いから学び合い、それぞれのスキルを持ち寄って地元の課題解決に貢献しています。
バリのあふれる自然と神秘的な文化の中で、志高く未来志向の人々が、切磋琢磨する姿を想像してみて下さい。
急速な経済成長を遂げるこのアジア太平洋地域で、新たに生まれるたくさんの課題に対し、優秀で意欲的な若い人材が入り交じり、新しいあり方を追求すべく、たくさんの革新的な試みが生まれています。
少し大げさに言うならここは、「未来の縮図」。
魅惑的ではありませんか?
バリ島のあるアジア・太平洋地域には、世界人口の半分以上が住み、世界経済の3割を担っています。「貧困」のイメージがいまも強いですが、実際には世界経済成長率の6割を占める地域となっています。でも、貧困は解決したわけではないし、さらには、急激な経済成長によって新たな社会課題が生まれている地域でもあります。
利潤追求型資本主義は終わった。これからは、人と社会と自然が共存するために存在し、働いていくべきです。競争ではなく共創。それはまさにバリの古来からの知恵であり、今世界がやっと気づき国際社会が向かっている方向でもあります。
このコラムでは、そんな革新的で先進的なバリ島から、アジア太平洋発の、一歩先を行く未来型のソーシャルイノベーションを紹介していきます。
これらの事例が、「課題先進国ニッポン」が「課題解決先進国ニッポン」になるためのインスピレーションとなれば、非常に嬉しいです。