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北朝鮮メディア、金正恩氏のシンガポール訪問に異例の対応

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6月12日、米朝首脳会談会場のセントーサ島へ向かう北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の車列を撮影する北朝鮮メディアのカメラマンたち。シンガポールで撮影(2018年 ロイター/Edgar Su)

労働新聞は、金委員長が11日夜にシンガポール市内の観光地を巡ってからわずか数時間後に、金氏の写真14枚を掲載して報道。写真には、植物園や天空プールの周辺をシンガポール政府の一団と陽気に歩く金氏の姿が写っている。

北朝鮮メディアの報道は従来、ニュースが実際に起きてから取り上げられるまで丸1日以上の時差があることが多い。また、金委員長の外遊については通常、厳粛なトーンで報じられるが、今回は対照的に遊び心のある報道となっている。

これは、孤立化してきた北朝鮮が国際舞台に出ることを認められたという当局者らの自信を反映しているとみられる。金氏が2011年に最高指導者の地位を受け継いで以降に公表された訪問先としてはシンガポールは最も遠く、米朝首脳会談は史上初だ。

北朝鮮メディアは今回の外遊に多数の記者と撮影スタッフを同行させた。市内では、他国のメディアには公開されていない場所もアクセスが認められた。

金委員長のこれまでの訪中では、北朝鮮メディアの大半は金氏の帰国後に内容を報道。4月27日の南北首脳会談は、メディアはおおむね、翌日早くに内容を伝える対応を取った。

朝鮮中央通信(KCNA)は金氏が市内観光中に、「シンガポールは清潔で美しく、建物がどれも洗練されている」と述べたと伝えた。そのうえで、さまざまな分野についてシンガポールの豊富な知識や経験から多くを学びたいとコメントしたと報じた。

労働新聞は11日、金氏が中国国際航空機で平壌を発つ前に政府職員らと握手し、手を振る写真を掲載。国営テレビも平壌出発やシンガポール到着、シンガポールのリー・シェンロン首相との会談の写真を放映した。

ただ、このような政治イベントが生中継されることはまだない。諸外国のメディアが12日の金氏とトランプ米大統領の握手や首脳会談の冒頭発言を生中継するなか、朝鮮中央テレビは通常の放送開始時間を約5時間後に控え、映像を流すことはなかった。

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