私のON
ドバイの医療特区にあるBRメディカルスイーツという外来専門クリニックで内科医をしています。患者さんの8割がドバイや周辺諸国に住む日本人です。
日本の病院で働いていたときは、患者さんに3時間待っていただいて診られるのは3分間だけ、といった診察しかできなかった時期もありました。でも、ドバイでは今は予約制で、1人に30分以上かけてゆっくり診察できるのがうれしいです。
ドバイはもちろん、ペルシャ湾岸諸国で診療している日本人医師はほとんどいません。そのため、足が折れた、目が腫れた、皮膚にブツブツが出来たといった内科以外の患者さんも多く受診されるので、必要に応じて他科の専門医を紹介しています。
いざという時に自分の患者さんを診てもらえるよう普段から他の医師や医療機関とのネットワーキングがとても大切です。ドバイは他の産業と同様に、医療も外国の労働力に頼っている部分が多く、いろいろな国で教育を受けたいろいろな国籍の医師や看護師との交流は、良い刺激になります。
ドバイでは単身赴任ですが、フランス人のエンジニアの夫の転勤に伴ってこの15年以上、海外を転々としています。在外邦人の診察、救急医療搬送のエスコートやコーディネートなど、その地で私なりにできる医療活動を続けてきました。外国で病気になると、言葉はもちろん、医療システムも違うので、戸惑うことも多いと思います。そんな方が気軽に相談でき、うまく適切な医療にたどり着けるように橋渡しできる町医者になれれば、と思っています。
私のOFF
娯楽の少ないドバイでは、真夏の気温40~50度の中でもゴルフをする猛者が大勢います。かく言う私もその一人。熱中症になる方も多いので、患者さんには「お勧めしませんよ」と言うのですが、ゴルフ場でバッタリと鉢合わせすることも。
砂漠の中のゴルフ場では、自分のマットを持ち歩くと聞いていたのですが、ドバイのゴルフコースはいつも奇麗な緑の芝が整備されています。英国のロリー・マキロイ選手が試合に来るコースもあるんですよ。
ドバイ
アラブ首長国連邦をつくる7首長国のうちの一つで、アブダビと並び都市機能が発展している。人口約220万。
ふくだ・じゅんこ 東京都生まれ。内科医、医学博士。東京女子医大卒業後、順天堂大学病院やパリの医療アシスタンス会社、上海の外国人向けクリニックなどに勤務。英マンチェスター大大学院を経て、2012年よりドバイで診療。