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カレー大好きの記者がうなった、インドのケバブ 串焼きを彩るスパイス

One Meal, One Story 一食一会

私は週に一度はインドカレーを食べる。それほど好きだ。インド行きの予定を入れた後、胃の調子を万全に整えた。

現地に入るとインド人や日本人駐在員におすすめレストランを聞いて回った。「やっぱりブカラ(Bukhara)でしょう」。電話してみるとディナーはもう予約で満席。予約のいらないランチタイムに滑り込んだ。

ニューデリー中心部の高級ホテル「ITCマウリヤ」の1階。壁にかけられたじゅうたんなどインテリアが、なにやらアラブ風。店名は古代に栄えた、いまのウズベキスタンの都市から取ったという。


メニューをみると目指してきたカレーが、ない。でも、「おすすめ」で運ばれてきた串焼き「ケバブ」を前に残念な気分はふっとんだ。ピーマンやトマト、エビなどなど。肉好きの私が手を伸ばしたのは羊肉だ。「指先の感触から料理を感じる」ように言われ、素手で肉をちぎって口に入れた。外側はパリッ、中はじゅわっ。臭みはまったくなく、まろやかで香ばしい。

香りが「ふわーっ」

30年近く働いているチーフシェフのシン(60)が、厨房から秘伝のスパイスを盛った皿を持ってきてくれた。鼻を近づけると、ふわーっと、意外にも柔らかくさわやかな香りが広がった。クミン、ターメリック、ブラックペッパー、コリアンダー、クローブ……。シン自ら市場で20種類以上の新鮮なハーブや実、種子を仕入れる。厨房で1日、2日乾燥させた後、細かく砕き、調合する。1週間から10日で使いきるのだという。

メインのメニューは10ほどで、40年間ほぼ変わっていない。でも、あきらめきれない。「カレーは?」とシンに尋ねた。「インド料理はカレーばかりではないんですよ。インド北部でケバブは一般的。ニューデリーの店であなたの探しているようなカレーがないのは珍しいけどね」

この店には世界の政治家も魅せられている。米国のクリントン、オバマの両大統領、英国のキャメロン首相らが現役のころやって来た。最近では英国のメイ首相やニュージーランド首相らも訪れた。

人口12億超のインドは各国にとって魅力的な市場だ。中東からアジアまでインド洋に接し、安全保障上では要衝の地でもある。この店でケバブを味わう世界の政治家がどれだけいるのか。それはインドの注目度のバロメーターでもある。