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日韓は荒波でも、放送は続く 韓国ラジオの日本語番組「玄海灘に立つ虹」半世紀超え

現地発 韓国エンタメ事情
「金虹」100回記念YouTubeライブ
「金虹」100回記念YouTubeライブ。左から筆者の成川彩、武田裕光さん、イ・ジンヒョンさん=パク・スジン撮影

1965年の日韓基本条約締結により日韓新時代を迎え、新たな番組を作ろうと「玄海灘に立つ虹」の放送がスタートした。韓国現地の情報を日本へ発信し、リスナーからの手紙を紹介するのがメインの番組だ。タイトルには、日韓の間にある波の荒い玄界灘を乗り越えてつながろうという意味が込められた。険悪な日韓関係という荒波にもまれながら、リスナーの手紙に支えられて続いてきた。

具慧仁(ク・ヘイン)プロデューサーは「韓国に友好的なリスナーが多いが、日韓の問題が浮上するたびに攻撃的な内容の手紙が送られてくる。大変でも解きほぐしていくべき問題だと受け止めている。だからこそ私たちの番組が必要だとも思う」と話す。

2000年に放送1万回を迎えた時には、東京のNHKのスタジオとソウルのKBSのスタジオを結んだ生放送が行われ、当時の小渕恵三首相や金大中大統領、作家の村上春樹さん、歌手の安室奈美恵さんからもお祝いのメッセージが寄せられた。

2020年に始まった「金虹」には私も韓国の映画と本を紹介するコーナーに出演している。隔週の出演で、計50作品を紹介してきた。今年から放送曜日が木曜になったが、そのまま「金虹」と呼ばれている。パーソナリティーは日本出身で韓国を拠点に活躍する俳優の武田裕光さんと、日韓の通訳・翻訳を専門とするイ・ジンヒョンさんが務める。

韓国映画に魅了され、2008年に渡韓した武田さんは、韓国の映画やドラマの日本人役として活躍中だ。世界的に注目を集めるApple TVオリジナルシリーズドラマ『パチンコ』にもモーザスの友人役で出演している。100回を迎え、「普段は役者として観客や視聴者の声が直接届くことはあまりないが、ラジオはお便りで直接つながり、その声に励まされ、一緒に番組を作っているように感じる。今のリスナーさんが『何十年前から聞いてました』と言うように、今の若い世代の方々に数十年後同じことを言ってもらえるよう、楽しい番組作りに励みたい」と、今後の意気込みを語った。

3歳から10年間名古屋で暮らしたイ・ジンヒョンさんは日本語がネイティブレベルで、政府機関や企業の会議通訳、ウェブトゥーン(韓国のウェブ漫画)の翻訳などを本業にしている。「ベテランリスナーが多く、心強い一方、日本語の勉強を目的に聞く韓国人リスナーも意外に多く、正しい日本語を話さないとというプレッシャーも感じる。大きな手術後のつらい時期に『金虹』で元気をもらったというメッセージなど、逆に励まされることも多い」と振り返った。

YouTubeライブは、KBS WORLD Radio日本語放送では初めての試みだった。具プロデューサーは「コロナの影響で、お便りをいただいたリスナーに送っていたカード(受信確認証)が郵便事情で送れなくなり、目に見えてお便りが減ったのは作り手としてはつらかった。今回のYouTubeライブはリアルタイムのコミュニケーションを通してリスナーとつながりたいという思いからだった。リスナーの存在そのものが私たちの放送だけでなく、健全な日韓関係の支えになっていると実感した」と話す。

ライブの前半は武田さんとイさん、私と、日本から浜平恭子さんがオンライン出演し、日韓にまつわるクイズなどを通してリスナーと交流した。浜平さんは韓国料理のレシピや食材について語る「目指せチャングム!はまひ~の誓い」のコーナーに出演中で、コロナ流行後は日本から電話出演が続いていたが、4月には拠点を韓国へ移し、スタジオに復帰する予定だ。

俳優のキム・ウンスさん=
特別ゲストで登場した俳優のキム・ウンスさん=YouTubeから

後半には特別ゲストのキム・ウンスさんが出演した。武田さんとはドラマ共演がきっかけで個人的にも親しい間柄だという。映画『タチャ イカサマ師』(2006)やドラマ『推奴~チュノ~』(2010)などで人気を集め、現在放送中のドラマ『結婚作詞 離婚作曲』シーズン3にも出演している。

今村昌平監督のファンで、今村監督が設立した日本映画学校(現・日本映画大学)に留学した経験があり、日本語も話せる。ライブでは日本映画学校の面接での今村監督とのやり取りなどを披露した。韓国の映画やドラマで日本人役を演じることも多く、特に武田さんとの出会いのきっかけにもなったドラマ『壬辰倭乱1592』(2016)の豊臣秀吉役が有名だ。「約7年間日本で暮らし、私にとって日本は第二の故郷。早く行きたい」と話した。