1. HOME
  2. 特集
  3. 香り
  4. 出会いのきっかけは「体臭」 においでマッチングするパーティーで生まれるカップル

出会いのきっかけは「体臭」 においでマッチングするパーティーで生まれるカップル

World Now 更新日: 公開日:
写真はイメージ(gettyimages)

パーティーの開始から1時間半、お酒を片手に談笑し、うちとけたところで「体臭チェック」が始まった。参加者は異性のTシャツのにおいを嗅ぎ、体臭が気に入るかどうかを手がかりに交際相手を探す。「出会いの方法として新しいし、愉快だ」と、HSSの関係者は言う。10月には3組のカップルが生まれ、うち1組は3カ月ほど交際が続いた。残る2組も何回かデートしたらしい。2月のパーティーでも数組のカップルが生まれた。

HSSとは別の団体がニューヨークやロサンゼルスでパーティーを催したこともある。米国以外でも、オーストラリアの公共放送ABCの科学番組「カタリスト」が3月上旬、シドニーでパーティーを開いた。その様子を紹介する番組を、今年後半に放送する予定だ。

こうしたパーティーは、1990年代にスイスの研究者らが報告した実験をヒントにしている。男子学生に2日ほど着てもらったTシャツを女子学生に嗅いでもらったところ、女性は自分と違う体臭の男性を好ましく感じることがわかったという。体臭の違いは、免疫系の遺伝子の違いと表裏一体と推測されている。女性は無意識に、自分と遺伝的に近い男性を避け、遺伝的に離れた男性を選んだことになる。それが正しいとすれば、近親婚を避けるとともに、遺伝的な多様性を確保することで種としての強さを維持している、と見ることもできる。体臭は生物の生存に大きな役割を果たしているのかもしれない。

 (友野賀世、竹石涼子)

写真:The Houston Social Source

■memo<加齢臭>

「ちょっと青臭く、わずかに焦げたにおいがある。古くなったポマードのように脂臭く、広がりが強い」。中高年に特有の体臭を、資生堂リサーチセンター顧問の中村祥二はそう表現する。

資生堂と高砂香料工業の研究チームが1999年、中高年の体臭の主な原因物質が「ノネナール」であることを突き止めた。皮脂が分解・酸化してできる物質で、年をとるにつれて皮脂の成分が変わることで増える。中村らは中高年の体臭を「加齢臭」と名付けた。男女を問わず40歳以上になるとノネナールが見つかるが、加齢臭は男性に多く感じられる。

加齢臭を発表すると、中村のもとには海外メディアの取材が殺到した。ロサンゼルス・タイムズ紙の記者に、においを嗅いでもらったところ、「子どものころ隣に住んでいた老夫婦のにおいだ」と話したことから、中村は「加齢臭は万国共通だ」と確信したという。ただ、海外の人々は日本人ほど気にしないらしい。

加齢臭を抑えるボディーソープやシャンプー、下着や寝具など関連商品は多い。まずは入浴や着替えをして清潔にすることが大切だ。強いストレスは加齢臭を強めるという。(秋山訓子)

 ■memo<地球の香り>

「緑や木々のにおいがした。地球の自然を感じ、うれしくなった」。2010年、スペースシャトルで宇宙に飛んだ山崎直子は、帰還後にそう語った。宇宙飛行士は「地球の香り」を知っている。

春の訪れを感じさせる梅や水仙、桃の花の香り。むんとするような夏の草いきれ。秋の落ち葉や、たき火のにおい。冬の鍋やコーヒーの香り……。四季それぞれの香りや街のにおいは、草花や料理、排ガスなどが発する揮発性の「におい分子」がもとになっている。花き研究所主任研究員の岸本久太郎は「バラの香り一つとってもわからないことが多い」と話す。

ちなみに、高度400キロの軌道を回る国際宇宙ステーションの中は臭いらしい。ちりを取るフィルターでは、におい分子を除去し切れない。また、空気の流れが緩やかなので、おならをしても拡散することなく、においの塊となってとどまる。そこを通りかかった飛行士は「濃いにおい」に悶絶するそうだ。

宇宙ステーションの臭さには、3日もいれば慣れる。ただ、宇宙航空研究開発機構(JAXA)参与の福田義也によると、帰還直後の宇宙船のハッチをあけて中へ入った医師は「言葉で言い表せないほど臭かった」と話したという。(竹石涼子)