1. HOME
  2. 特集
  3. 香り
  4. 競争率は数百倍。調香師を養成する「エリート学校」

競争率は数百倍。調香師を養成する「エリート学校」

LifeStyle 更新日: 公開日:

ジボダン調香学校を率いるのは、オーレリアンの父親で著名調香師のジャン・ギシャール。彼によると、シャネルのジャック・ポルジュ、エルメスのジャン・クロード・エレナ、ゲランのティエリー・ワッサーら有名ブランドの調香師の中にも、ここで学んだ人が少なくない。

毎年、世界中から約2000人の入学希望がある。このうち、入学できるのはわずか3人ほど。これから市場拡大が見込める地域の人を優先的に受け入れ、卒業後はその地域にあるジボダンで働いてもらうという考え方だ。

ジボダンの調香学校

コースは3年間。500種類の香料を完璧に覚えることから始める。「これは、いわばアルファベットを覚えるようなものです」(校長のギシャール)。天然香料ならどんな成分の組み合わせで出来ているか、成分ごとの割合は、といったことまでそらんじる。この段階を越えられず、訓練を打ち切られる生徒もいるという。

その後、有名な香水を自分の鼻だけで再現する練習などを積みながら、1250種類の香料を自在に使う技術を身につけていく。「学校の卒業は、調香師としての出発点でしかありません。一人前になるには、さらに訓練と経験を積むことが不可欠です」と校長のギシャールは話している。(友野賀世・編集委員)(文中敬称略)