こんにちは。フリーアナウンサーの新田朝子です。
前回の記事でイスラエルの新型コロナウイルスの現状や4回目のブースター接種についてご紹介させていただきましたが、私も先日、エルサレムで新型コロナウイルスに罹患(りかん)しました。
病院での検査や診断は受けていないのですが、現在イスラエルでオミクロン株が流行していることや、この変異種による症状と一致していることから感染したのはオミクロン株だと考えています。
私自身、感染の疑いがあった時に、エルサレムで他に感染した人の情報を聞いたり、さまざまな方の感染体験談をネットで検索したりするなどして自分の症状と照らし合わせていました。
私のように「自分も感染したのでは」とか、現在自宅療養中で不安に思っている方もいらっしゃると思います。何か参考になればと思い、自身の感染体験記を日記形式でつづります。
感染1日目 (症状が出た日を1日目と数えます)
朝起きた時に、喉(のど)に違和感を感じました。うがい薬を使ってうがいをして、朝ご飯を食べるとほとんど痛みは無くなりました。
昼食を取った後はものすごい睡魔に襲われて昼寝をしたのですが、起きたらぶるっと体が震えるような軽い寒気がありました。その後、夜になってまた喉が痛むようになってきて、早めに就寝。
この日は体のだるさなどもほとんどなく、疲れ気味の時のような感じでした。
感染2日目
明け方に喉の強い痛みで目が覚めました。夕方ごろから寒気が出てきて、熱を測ると37度台の前半。
その後もどんどん体が熱くなるような感覚があり、最高で38.3度まで上がりました。身体が熱くなったり、寒気がして震えたりといった状態を何度も繰り返して、眠りについても寝苦しく、一時間おきに目が覚めました。
鼻の奥を針で刺されるようなツンツンとした痛みがあり、とても辛かったです。鼻も詰まっていました。喉の痛みも継続してあり、何かを飲み込むのをためらってしまうほど。
マスクを着用して横になっていましたが、自分でも呼吸が荒いのが分かりました。食欲もあまりなく、食べた後に胃が張って気持ち悪いような状態が翌日の明朝まで続いたのも、苦しかったです。
このままどんどん症状が悪化したらどうしよう、そう不安に思ってしまうような夜でした。これは明らかに普通の風邪と違うと感じたものの、抗原検査キットを使って検査をすると、「陰性」が出ました。
感染3日目
朝起きた時はまだ微熱があり37.5度。身体に力が入らずフラフラするような感覚がありました。
朝を中心に一日中、痰もよく出ました。朝ご飯を一口食べて解熱剤を飲んだあと、横になってうとうとしていました。だんだん身体が汗ばみ、パジャマがびっしょり濡れるくらいまで汗をかいて目が覚めましたが、目覚めはスッキリ。この時にようやく熱が下がりました。
熱が下がってからは食欲も出てきて、消化に良いものを少しずつ食べては横になって休みました。倦怠感はありますが、それでも前日と比較するとだいぶ動けるようになって、ホッとしたのを覚えています。
ただ、強い喉の痛みはあり、のど飴を舐めたりなるべく水分を取ったりしてなんとか凌ぎました。この頃から時々、咳が出ることも。
この日は、午前中と夜と2回抗原検査をしましたが、どちらも「陰性」でした。
感染4日目
明け方に喉が痛くて目が覚めましたが、前日に比べると深い眠りにつけたことで、身体が少しずつ元気になってくるのを感じました。食欲もあり、味覚や嗅覚も正常です。
とはいえ、まだ身体がふわふわするような感覚もあり、手足が特に重だるく、倦怠感が残りました。それでも家事をするのはそれほど苦でないほどまでに回復しました。
平熱でしたが、少し咳が出るのと、変わらず喉の痛みがありました。喉から風邪をひくことが多い私ですが、ここまで喉がジリジリと焼けるような強い痛みが出たことは過去にありません。明らかに「普通の風邪」のレベルを超えていたように感じます。
ただ熱がないだけで、かなり身体は楽になりました。朝に4回目の抗原検査を試すと、はじめて「陽性」が出ました。咳が出やすくなってきて、寝付くのに時間がかかりました。
感染5日目
朝一の目覚めで、倦怠感を感じました。咳が出たり鼻詰まりがあったので、寝苦しく明け方何度も目が覚め、まとまった睡眠は取れませんでした。市販の液体タイプの咳止めを飲んだらかなり楽になりました。
前日まであった、へばりつくような喉の痛みは緩和しました。この日も熱は出ず、少し胸の辺りが熱いような感覚のみありました。
感染6日目
喉の痛みがかなり和らぎ、気にならない程に。鼻が詰まって、時々少し鼻水が出るのと咳っぽい症状のみが残りました。鼻水はサラサラとしていて、花粉症の時と似ています。家で過ごす分にはそこまで気になりませんが、倦怠感も残りました。
感染7日目
前日に比べると、咳が少し咳が治まってきました。まだ鼻づまりの症状があります。とにかくこの日は眠気があり、ご飯の時間以外は横になって休んでいました。
抗原検査で陽性になった日から数えて4日目。再び抗原検査をすると結果は陽性。このため、イスラエルの規定で、最低あと2日は隔離となります。
感染8日目
この日は鼻詰まりがひどく激しい頭痛もありました。体が異様なほどに重く、横になっている時間も多かったです。咳や喉の症状が治ったと思ったら次の症状が出てきて少しうんざりしました。夜になって鼻詰まりなどに効果のある風邪薬を飲むと、少し楽になりました。
ちなみに抗原検査も朝一で試したが、まだ陽性が出ました。
感染9日目
咳もほとんどなくなり、鼻詰まりも和らぎました。身体の節々がまだ少し重く、なんとなくだるさが残ります。同居している夫は夜咳がひどく、なかなか寝付けないでいました。私はこの日も抗原検査は陽性、となりました。
感染10日目
少し身体のだるさと朝に痰(たん)が出る症状はありました。ようやく治る兆しが見えてきたように思えましたが、仕事で30分程度喋り続けていると、喉が痛む感覚や多少の咳が出てきて、夕方以降鼻が詰まり、頭痛に悩まされました。この日も、抗原検査はまだ陽性でした。
感染11日目
そろそろ完治してほしいところですが、朝起きて頭痛と鼻づまりは改善。抗原検査を試すとようやく陰性が出ました。
陽性が出た日から数えて8日目、症状から出た日から数えて11日目でようやく陰性に。とても嬉しかったです。このまま症状が落ち着きますようにと願うばかりでした。
感染12日目
鼻詰まりと倦怠感以外は症状はありません。まだ100%完治とは言えないものの、ほぼ体調が回復しました。ここまで、長かったです。
まとめ
国立感染症研究所によれば、オミクロン株の特徴として、発熱・咳・喉の痛み・鼻水などを訴える患者が多く、これまでの新型コロナウイルスの特徴であった嗅覚・味覚障害の割合が少なかったということですが、まさしく私もその症状でした。
入院する必要もなく、区分で言えば「軽症」ですが、高熱が出た時の苦しさはここ数年味わったことのない辛さでしたし、普段風邪を引いても咳が出ることはほとんどないため、息苦しい感覚と咳が出た時はかなり体力を消耗しました。
喉の激しい痛みも過去に経験したことがないもので、この痛みも3日ほど続いた間は、声を出すことすら難しかったです。鼻詰まりや鼻をツンツン針で突き刺すような痛みも強い頭痛を伴い苦痛でした。確かに風邪のような症状、とも言えますが、一般的な風邪よりはるかに辛く、完治までに時間もかかりました。
ワクチンを接種しておらず、もっと重症化していたら、と考えると恐ろしいです。オミクロン株は重症化しにくい、と一般的には言われていますが、感染した身としては十分脅威を感じました。
もっと悪化したらどうしよう、本当に治るのかな、などと心が折れそうになる瞬間も、恥ずかしながらありました。
イスラエルでは、陽性となっても、入院が必要になるような状態まで悪化しない限り病院にかかることもできず、基本的には自宅療養、隔離をするしかありませんでした。海外生活ということもあいまって、不安を抱かえながらの自宅療養でした。
大体良くなったかなと思っても、違う症状が出てくるなどして、だらだら長引くのが精神的にも肉体的にも辛かったです。
一方で、嗅覚・味覚障害がなかったことは不幸中の幸いで、熱が出た日以外は食事もしっかり摂ることができたので、救われました。
周りで罹患した人に話を聞いても、ワクチンを3回接種しているイスラエルに住む邦人やイスラエル人は私と同様、嗅覚・味覚は問題なかったと言っている人が多い印象です。ほとんどが軽症で済んでいます。
イスラエルでは、WHOのデータによると、すでに国民のおよそ3割にあたる350万人以上がこれまでに新型コロナウイルスに感染しています。
現地では私の周りも半分近くが特にこのオミクロン株による感染拡大後に罹患した人が多く、コロナに罹っていたことを話しても「みんな感染しているよね」といった反応です。
私は、陰性になって2週間以上経った今も、少し倦怠感は残るものの、通常通りの生活を送ることができ、今のところ、目立った後遺症はありません。
念のため、ようやく病院にも行き、医師による診察も受けましたが、問題ないとのことです。
同居している夫は、私が最初の症状が現れる2日前に鼻詰まりや身体のだるさなどを訴えたのですが、熱は出ず、数日間にわたって何度か抗原検査、またPCR検査も試みましたが、いずれも陰性でした。熱こそ出なかったものの咳などの症状は夫の方が強く出ていて、私と同じくらいの期間、症状が続いていました。
私の家族の例からも、周りの人たちを見ていても、どちらかといえば女性の方が症状が出ていたり重く出ている人が多いようでした。
私は3回目のブースター接種を去年8月末に受けていました。今まさに3回目の接種が進む日本の皆さんは、3回接種を受けても感染するのか、と思われるかもしれません。
確かにその通りではあるのですが、接種をしていたおかげで重症化せずに済んだのかもしれません。重症化を予防するというワクチンの効果は十分に出ていたと言えると思います。
私の場合はすでにブースター接種から半年経過していることも、症状が出た理由の一つなのかもしれません。イスラエルではすでに人口の半数余りが3回目の接種を終えています。
現に、イスラエルでもワクチン接種済みの人も感染しているのですが、重症化しているのは接種して「いない」人が多いです。
例えば、イスラエル保健省の2月6日のデータを見てみると、ワクチンを3回または2回接種した人の重症者は35人なのに対し、必要な回数のワクチンを接種できていない人で129人、ワクチンを接種していない人は410人となっています。
ちなみにイスラエルでは、1月下旬の新規感染者数8万人越えから、ここ最近は1万人を下回る日も出てきて、1日あたりの感染者数のグラフが右肩下がりになっています。
もちろん、油断できない状況は続きますが、イスラエルではワクチンの接種証明の提示義務もほとんどの場所で必要なくなり、ワクチン未接種者の外国人観光客の受け入れも3月から始まりました。ワクチンを接種済みであれば、濃厚接触者になった場合の隔離の必要もありません。規制が強まるどころか、緩みつつあります。
自分の身をどう守るか考えることも大切ですが、実際に感染して思ったのは、万一かかった時にどうするのか、考えて、備えておくことの重要性です。
私は、食欲がない時もゼリーやスポーツ飲料などに助けられました。感染した時に焦らないように、必要な食材や解熱剤などの薬を用意しておいたり、重症化した場合に備えて入院グッズをまとめておくなど、日頃から準備できることはたくさんあります。
抗原検査キットを購入しておく、PCR検査を受けられる、または診察を受けられる病院を探しておくことも万一の時の心の安心材料になると思います。
恥ずかしながら、私は抗原検査のキットも用意していませんでした。これだけいつ誰が感染してもおかしくない状況であるのにも関わらず、どこか他人事に思っていたのかもしれません。
皆さんに強くお伝えしたいのは「もっと気をつけよう」と自分のコロナ対策を強化することも大切ですが、そこで「気をつけているから大丈夫」と安心するよりも、「私がもし罹ったら」という視点で対策を考えておくべきだということです。