1. HOME
  2. World Now
  3. ワクチン先進国イスラエルもオミクロン株に苦しむ 4回目のブースター接種に悩む私

ワクチン先進国イスラエルもオミクロン株に苦しむ 4回目のブースター接種に悩む私

World Now
新型コロナウイルスのオミクロン株が猛威を振るう中、ドライブスルー方式で感染の有無を検査する子ども
新型コロナウイルスのオミクロン株が猛威を振るう中、ドライブスルー方式で感染の有無を検査する子ども=2022年1月3日、エルサレム、ロイター

日本の皆さん、こんにちは。フリーアナウンサーの新田朝子と申します。

私は家族の仕事の都合を機に現地での大学院進学を決め、2020年の夏から中東のエルサレムに住んでいます。当然のことながら、イスラエルでも一番の大きな関心事は新型コロナウイルスの感染拡大です。

ひょっとしたら日本の皆さんは、イスラエルはワクチン接種を積極的に行っているので、コロナはそれほどでもないのではないか、と思われているかもしれません。

実は、そんなことはありません。確かにイスラエルは今、高齢者や医療従事者などを主な対象とした4回目のブースター接種が始まっていますが、感染者は最近でも1日8万人を超える日がありました。2月1日現在、人口900万人あまりで、累計290万人超がすでに感染しています。

私も8月に3回目のブースター接種を済ませているので、次は4回目なのですが、正直言って迷っています。

というのも、先日イスラエル最大級の病院で4回目の接種を終えた医療関係者でも感染者が出ているということが、初期段階の研究結果として明らかになりました。

彼らは抗体はできていたようなのですが、それでも感染したということは、とりわけオミクロン株の感染に対しては効果が不十分である可能性があるようです。

筆者がワクチンを接種する様子を撮影した動画

もちろん、感染は防げなくても、重症化予防には効果があるといった研究結果をイスラエル保健省は明らかにしています。それでも、欧州連合(EU)の規制当局者が「4回目のブースター接種は免疫系を弱める」と発言したことも気になりますし、数カ月ごとのワクチンの追加接種をいったいいつまで続けるのだろう、それによる問題は本当にないのかなど、やっぱり不安は出てきます。

こうした不安を持つのは私だけではないようで、ほかの人たちも「これまでも3回接種をしているのだから、今すぐに打つ必要はないのでは」「一体何回打てば済むのか」などの声が聞こえてきます。一方で、「感染や重症化を防ぐためには打つべきだ」という肯定的な意見もあります。

意見は割れているものの、日本に比べればワクチン肯定派が多いという印象です。その理由は、イスラエルは世界的にも早くワクチン接種を進めており、そのおかげでロックダウンも段階的に解除され、ワクチン接種証明書があればレストランに行くことができるようになり、旅行も可能になったからです。

私自身、イスラエル国立ヘブライ大学大学院に通っていますが、当初すべての授業がオンラインだったのが、ワクチン接種が広まったおかげで通学できるようにもなりました。

ワクチンのおかげで自由が戻り、久しぶりの開放感を得ました。ワクチン先進国のありがたみを実感していました。

ところがオミクロン株は接種済みでも感染する人が相次ぎ、私の授業もオンラインが復活するなど、社会は再び「厳戒態勢」へと戻りつつあります。

新型コロナウイルスのワクチン接種会場
新型コロナウイルスのワクチン接種会場=2021年8月、テルアビブ、筆者撮影

それにしてもなぜ、ワクチン先進国のイスラエルでこれだけ感染が拡大しているのか(人口比で見れば日本より感染者数が多い)と疑問に思ってしまいますが、感染力の強い変異種、オミクロン株による感染拡大は、他の国を見ても顕著なので、防ぐことが難しい状態にあることが分かります。

地元メディア「THE TIMES OF ISRAEL」はエラン・セーガル・ワイツマン研究所教授の発言を紹介しています。それによると、イスラエルは現在、人口に占める新規感染者数の割合(7日間の平均値)は世界でもトップクラスだといいます。

世界に先駆けてワクチン接種を進めてきたこの国が、今再びこれだけの感染拡大に見舞われていることは、日本をはじめとする多くの国がいずれ経験する「将来」なのかもしれない――。そんなふうにも考えています。

地元メディア「THE JERUSALEM POST」「HAARETZ」によると、これまでワクチン接種が進むことで導入されたワクチン接種証明、通称グリーンパスを政府がおおむね廃止し、大型イベントのみにて使用する方針とのことです。これまではレストランの店内飲食、スポーツジムや映画館の利用などで提示が求められてきました。

イスラエル保健省の専用アプリに表示されるワクチン接種証明「グリーンパス」
イスラエル保健省の専用アプリに表示されるワクチン接種証明「グリーンパス」(画像を一部加工しています)=筆者提供

コロナに逆行するような動きとも思えますが、専門家によると、現在のイスラエルの感染率の高さを考えると、この接種証明はもはや無意味であり、ワクチン接種証明を使うことで誤った安心感を与える可能性があるという理由からだといいます。

政府の諮問委員会も先日の会合で「感染を防ぐために予防接種に頼ることはできない。グリーンパスは感染のリスクを減らすのに効果的ではないようだ」と指摘しました。

出口の見えない状況ではありますが、ブースター接種に話を戻すと、この状況を踏まえ、今すぐにでも接種をしようという気持ちには、やはりなりません。

いつ自分が感染してもおかしくない状況にありますが、今は感染対策をしながら過ごすしか、方法はないと感じています。

進行中の研究結果が明らかになり、4回目のブースター接種が有効だということが証明された際には、私自身もその流れに身を任せて、接種を決めようと思います。