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オミクロン株の命名めぐる中国への「忖度」疑惑、WHOは明言避ける「一般的な姓だ」

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電子顕微鏡で見た新型コロナウイルス=米国立アレルギー・感染症研究所提供
電子顕微鏡で見た新型コロナウイルス=米国立アレルギー・感染症研究所提供

WHOによると、オミクロン株は11月24日、南アフリカで初めて確認された。専門的な命名法(PANGO系統)では「B.1.1.529」とされ、いくつかの変異があり、ほかの変異株と比べても再感染のリスクが高まっているとしている。

変異株は当初、最初に見つかった国や地域の名前で呼ばれていたが、名前に使われた国などへの偏見や差別が生まれる懸念があるとの理由で、WHOは2021年5月末からギリシャ文字を使うようになっている。

これまでに12番目のアルファベット、ミュー(μ)まで使われていたが、WHOは新しい変異株の名前として、その次のニュー(ν)とクサイ(ξ)を飛ばしてオミクロン(ο)を当てた。

変異株とギリシャ文字のアルファベット
変異株とギリシャ文字のアルファベット

WHOは当初、飛ばした理由を説明しなかったため、ソーシャルメディアなどでは臆測が飛び交った。特にクサイについては英語で書くとxiとなり、習近平氏(Xi Jinping)の姓と同じ表記になることから「中国に配慮している」などとする声が上がっていた。

WHOの広報担当者はニューヨーク・タイムズなど複数のメディアに対し、ニューとクサイを飛ばした理由を以下のように説明し、中国への配慮かどうかについては明言を避けた。

「ニューは『new』と混同されやすく、クサイはxiが一般的な姓なので使わなかった」

また、AP通信の取材に対し、WHOは「命名にあたっては、いかなる文化的、社会的、国家的、地域的、職業的、そして民族的なグループに対しても中傷にならないようにすることが最大限求められてる」としている。

中国に対するWHOの忖度を疑う声が上がった背景には、テドロス・アダノム事務局長が度々、「中国びいき」とも受け取れる発言を繰り返してきたことがある。

2020年2月にはこうした発言について、記者が「WHOは中国を褒めるよう中国政府から依頼や圧力を受けているのか」と質問。テドロス氏は「中国のしたことを私が認めて何がおかしいのか」などと約10分間にわたって反論することもあった。

新型コロナウイルスは2019年12月、中国・武漢で初めて確認されたとされ、それ以降、世界的な大流行が起きている。

新型コロナウイルスの起源をめぐっては、トランプ氏が大統領だった2020年、武漢の研究所から流出したとする説について「(証拠を)見た」と主張。中国側は反発していた。

次のバイデン政権は改めて調査をして結果を公表、それによると武漢ウイルス研究所から流出した説と、動物を介して人に感染した説のどちらかは結論が出ないとした。