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北京オリンピックの金メダル予想 羽生結弦や平野歩夢、高木美帆ら有力日本人選手たち

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北京オリンピックで優勝争いが期待される羽生結弦選手と平野歩夢選手、高木美帆選手
北京オリンピックで優勝争いが期待される羽生結弦選手(中央)と平野歩夢選手(左)、高木美帆選手

イギリスのブックメーカーは18世紀末に競馬場で始まったのが発祥とされる。以来、競馬だけでなくスポーツの試合をギャンブルの対象とする賭け文化が広まり、1960年にはイギリス政府公認となった。

2021年夏に開催された東京オリンピックでも大会直前から各競技の優勝オッズデータが表示され、コロナ禍で行われた大会を盛り上げた。

今大会は、冬季大会史上最多の109種目が予定されている。日本代表選手団は前回の平昌大会のメダル13個(金4、銀5、銅5)を以上を狙うが、中でもフィギュアスケート、ジャンプ、スピードスケート、フリースタイルスキーなどでメダル獲得が有望視される。

フィギュアスケートでは、日本だけでなく、全世界が注目する男子の羽生結弦選手。ブックメーカーの予想は2番目の数値だ。

全日本選手権の男子フリーで演技をする羽生結弦選手
全日本選手権の男子フリーで演技をする羽生結弦選手=2021年12月26日、さいたま市中央区、角野貴之撮影

金メダルオッズは必ずしも、選手らの体調や実力などを詳細に反映した優勝確率ではないが、各種目の展開をうらなう上で興味深い。

羽生選手はソチ大会(2014年)、平昌大会(2018年)に続き、オリンピック3連覇の達成に期待がかかる。

4回転アクセルの挑戦をひっさげて北京のリンクに臨むが、ブックメーカー大手の「ウィリアム・ヒルズ」が優勝候補の筆頭に挙げたのは、ライバルのネイサン・チェン選手(アメリカ)だ。
チェン選手の金メダルオッズは断トツの1.3倍。今大会で頭一つ抜けており、羽生選手(3.75倍)を引き離している。

2021年3月の世界選手権で初出場ながら銀メダルを獲得した鍵山優真選手は10倍の3番目、そのあとに平昌大会で銀メダルの宇野昌磨選手(15倍)が続いている。

別のブックメーカー「ピナクル」も金メダルオッズの順番は一緒だが、数値データはやや違う。チェン選手は1.21倍、羽生選手は4.98倍、鍵山選手が12.25倍、宇野選手が14.97倍だ。

男子の優勝が決まるのは、フリースケーティングがある2月10日(大会7日目)。ショートプログラムの得点がポイントの一つではあるが、やはり、フリー冒頭に組み込まれる羽生選手の4回転アクセルの出来栄えがカギを握りそうだ。

優勝してメダルを見せる羽生結弦選手と2位のネイサン・チェン選手、3位の宇野昌磨選手
優勝してメダルを見せる羽生結弦選手(中央)と2位のネイサン・チェン選手(左)、3位の宇野昌磨選手=2016年12月、フランス・マルセイユ、遠藤啓生撮影

一方、男子と同様に4回転ジャンプ時代となった女子シングルスではROC(ロシア・オリンピック委員会)の3選手が表彰台を独占すると予想されている。

ウィリアム・ヒルズ、ピナクルともに15歳の新星、カミラ・ワリエワ選手を優勝候補の筆頭に挙げている。北京大会全種目を通じての圧倒的金メダル獲得オッズで、ウィリアム・ヒルズが1.11倍、ピナクルが1.09倍となっている。

演技を見せるカミラ・ワリエワ選手
演技を見せるカミラ・ワリエワ選手=2021年11月、ロシア南部ソチ、角野貴之撮影

日本人選手の中で最高位につけたのは、日本選手権を制した坂本花織選手だ。オッズ29倍で全体の4位に入っている。ミスのない演技を見せて、浅田真央さんが銀メダルを獲得した2010年バンクーバー大会以来12年ぶりの快挙を成し遂げてほしい。

全日本選手権の女子フリーで演技をする坂本花織選手
全日本選手権の女子フリーで演技をする坂本花織選手=2021年12月25日、さいたま市中央区、角野貴之撮影

日本人選手が優勝候補に挙げられている種目もある。2月11日(大会8日目)のスノーボード男子ハーフパイプに出場する平野歩夢(あゆむ)選手だ。

平野選手はソチ、平昌の両大会で銀メダルを獲得した実力者。両大会で金メダルに輝き、最大のライバルであるショーン・ホワイト選手(米国)、世界選手権3連覇の実力を持つスコッティ・ジェームズ選手(オーストラリア)との対決に挑む。

平野選手はウィリアム・ヒルズで3.4倍と、2位のジェームズ選手の3.5倍をわずかに上回る。ピナクルも平野選手が3.21倍、ジェームス選手が3.89倍と僅差で1位となっている。

ただ、平野選手は1月下旬に行われた大会「X GAMES」でジェームズ選手に敗れており、悲願のオリンピック優勝には大技を成功する演技が求められるだろう。

平昌五輪に出場した平野歩夢選手とショーン・ホワイト選手
平昌五輪に出場した平野歩夢選手(左)とショーン・ホワイト選手=2018年2月、フェニックス・スノーパーク、北村玲奈撮影

この種目では昨季無敗を誇った戸塚優斗選手や今季のW杯で安定した演技を行う平野流佳選手もメダル獲得が有力視されている。ピナクルで、戸塚選手は5.2倍、平野流選手は9.97倍といずれもベスト5に入っている。ホワイト選手は7.76倍の4位につけている。

日本選手団の主将を務めるスピードスケート女子の高木美帆選手も金メダル最有力だ。大会4日目の2月7日には得意の1500メートルがあり、銀メダルと頂点までもう一息だった前回大会の雪辱を晴らす。

スピードスケートの全日本距離別選手権・女子1000メートルで優勝した高木美帆選手
スピードスケートの全日本距離別選手権・女子1000メートルで優勝した高木美帆選手=2021年10月、長野市、細川卓撮影

ウィリアム・ヒルズで金メダル獲得の確率は1.72倍で、2位のライバル、アントワネット・デヨング選手(オランダ)の7.5倍を大きく上回っている。

オリンピック2大会連続出場の佐藤綾乃選手は今季W杯で3レース連続表彰台と好調を維持しており、8.5倍の3位につけている。

フリースタイルスキー・モーグル日本代表も複数メダルが期待されている。大会2日目の2月5日にはモーグル男子の決勝が行われ、W杯通算11勝のエース堀島行真(いくま)選手が登場する。

堀島選手はターンもエアも得意で、今季W杯では全9戦で表彰台に入っている。ウィリアム・ヒルズの金メダル獲得オッズでは2番目の3倍で、ライバルで1位(1.72倍)のミカエル・キングズベリー選手(カナダ)を追う。

堀島行真選手
堀島行真選手=2019年3月、 福島県猪苗代町、吉永岳央撮影

一方、大会3日目の2月6日に行われるモーグル女子でも、川村あんり選手の優勝が期待されている。

この種目は1998年長野、2002年ソルトレークシティ両大会で里谷多英選手が金メダルを獲得するなど、冬季オリンピックで日本のお茶の間を沸かせてきた。

ウィリアム・ヒルズは川村選手をフランスのペリーヌ・ラフォント選手とともに、金メダル獲得オッズ2.75倍の同率1位につけている。

川村あんり選手
川村あんり選手=2021年2月、スウェーデン・イドレ、全日本スキー連盟提供

開会式2日前の2月2日から競技が始まる女子カーリングは前大会銅メダルの栄誉をひっさげて、藤澤五月選手率いるロコ・ソラーレが登場する。

ウィリアム・ヒルズは全体の5番目に日本(11倍)を位置づけているが、上位との差はそれほど大きくない。2大会連続表彰台の快挙を期待したい。
オッズメーカーはあくまでイギリス内でのウィンタースポーツの人気度合からオリンピック種目を選び、掛け率を発表しているため、北京大会全部の種目を網羅しているわけではない。

これに対し、アメリカのデータ会社グレースノートは開幕30日前、日本選手団は金4個、銀4個、銅9個の計17個のメダルを獲得すると予想している。

このうち、優勝を予想しているのは、スピードスケート女子1500メートルの高木選手のほか、ジャンプ男子ラージヒルの小林陵侑(りょうゆう)選手 、スノーボードで男子ハーフパイプの戸塚優斗選手、女子ビッグエアの鬼塚雅選手だ。

特に小林選手は今シーズンも、70回目を迎えるジャンプ週間大会で総合優勝を果たしており、ラージヒルが行われる大会9日目の2月12日には目が離せない。

表彰台に上がった小林陵侑選手ら
表彰台に上がった小林陵侑選手(右)ら=2019年1月、札幌市、白井伸洋撮影