カザフスタンは中央アジアに位置し、人口約1900万人の多民族国家。オリガさんは23日の開会式で自国の旗手を務めた。
身長183センチのすらりとした長身にカザフ伝統の装飾をちりばめて民族衣装を着た姿は、SNS上で「カザフスタンのお姫様」などと取り上げられ、一躍、有名になった。
#teamkz flag bearers in Tokyo 2020 Opening Ceremony 😍😍😍
— Kazakhstan Olympic Team (@olympic_kz) July 23, 2021
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オリガさんはオリンピック初出場の2008北京大会で銀メダル、2012ロンドン大会で金メダル、2016リオデジャネイロ大会で銅メダルを獲得したトップアスリート。同種目で15.25メートルのアジア記録を持ち、抜群の跳躍力を活かして、35歳を過ぎても14メートル台後半の好記録を維持している。
カザフスタンのメディアはこれまでも度々、オリガさんの偉業を伝えてきた。1984年、カザフスタン東部にある東カザフスタン州の州都オスケメン生まれ。10種競技の父親、セルゲイさんの指導で自身も陸上選手となり、最大都市アルマトイのアスリート養成学校で英才教育を受けた。
夫のデニスさんとはこの学校で出会った。デニスさんもトップアスリートで、2003年に韓国・大邱で行われたユニバーシアード大会陸上男子400メートルで銀メダルを獲得。しかし、オリガさんと出会って結婚し、自らは現役を引退してオリガさんの専属コーチになった。
オリガさんは2004年、19歳で長女、アナスターシアさんを出産。記録が伸びたのはママさんアスリートになってからだった。身体能力に優れ、もともとは女子七種競技の選手だったが、最も世界一の記録を狙える三段跳びに競技を絞り、その語、見事に世界女王になった。
ロンドンで金メダリストになった翌年の2013年には第2子となる長男、キリルくんを出産。育児をしながら練習を続け、3年後のリオ大会でも銅メダルしたことは、陸上界で称賛された。東京大会でも4大会連続のメダル獲得を目指している。
カザフスタンのヒロインとなったオリガさんは夫とともに、若きアスリートの育成にも携わっている。2014年に地元のオスケメンに自分の名前を冠にした屋内型の陸上競技場施設を創設。自らもこの施設で練習しながら、後進の指導も行っている。
この施設で練習をしているアナスターシアさんが今年5月に、18歳までの選手が出場する国内陸上大会で走り幅跳びと4×100メートルリレーで2冠を果たした。オリガさんが自身のインスタグラムを更新し、「自分の勝利よりもうれしい!私の娘は私の誇りです」とのメッセージを記した。
6月には母子が同じ大会に出て、走り幅跳びで母が優勝。娘は3位だった。カザフスタンオリンピック委員会は「才能を引き継ぐ後継者」としてこの快挙をたたえている。
オリンピック開会式の後、日本で人気が高まっていることはカザフスタンメディアも取り上げており、都内で妻、子供4人と家族6人で暮らしているカザフスタン人のアイティバエヴ・ヌルジャンさん(40)は「開会式の後、『リパコワさんの衣装がきれいだった』と多くの友人から便りをもらった。祖国のことが日本で知られることになってとてもうれしい」と語った。
ヌルジャンさんも30日の競技を楽しみにしているといい、「オリガさんは地元で州議会の議員も務めている。2012年に金メダリストになってからは、カザフスタンでは誰もが知る女性アスリートになった。長女のアナスターシアさんもとても身体能力が高く、これから世界的な選手になるのではないか」とコメントした。
オリガさんは開会式の後、同国メディアにテレビ出演し、「大会で選手として戦う意識はできている。国を代表し、十分な記録を残したい」とも語っている。