1. HOME
  2. People
  3. アフリカのサファリでガイドを務める日本人 ネットで日本からもサバンナを体感

アフリカのサファリでガイドを務める日本人 ネットで日本からもサバンナを体感

私の海外サバイバル
サファリガイド中に出合ったシロサイの孤児たちと

幼い頃から動物が好きでした。高校生の頃から野生動物を守るための環境保護活動を仕事にしたいと考えるようになり、大学進学後にNGOのインターンやボランティア活動を始めました。転機になったのは、大学2年生の時に参加した、南部アフリカ・ボツワナでのサバンナを保全するプロジェクトのボランティア。大自然に魅了され、アフリカのサバンナで働きたいと思うようになりました。

サファリガイドという職業を知ったのもこの時です。大学3年生の夏、予定していた米国留学が直前にとりやめになってしまったこともあり、思い切って南アフリカにあるサファリガイドの訓練学校に1年間留学することにしました。

サファリガイド中に出合ったサバンナの夕焼け

その学校を卒業して得られるサファリガイドの資格は南アフリカ政府公認のもので、ボツワナを除く南部アフリカ各国で通用します。ただどの国でも仕事は少なく、女性がなかなか雇ってもらえない業界でもあったので、就職先を探すのには苦労しました。大学卒業のために帰国し、日本とアフリカの就職活動を同時並行で進めていたところ、運良く南アフリカの環境保護ボランティア団体の専属サファリガイドという仕事が見つかり、2017年春に再び南アフリカに渡りました。

その団体では観光客に野生動物の案内をするのではなく、世界各地から集まったボランティアと一緒に、野生動物の生態調査や密猟者が仕掛けたワナの回収といった活動をしていました。仕事とはいっても、ボランティアのリーダーのような存在です。住まいなどの生活の面倒を見てもらえる代わりにあまり給料は出なかったのですが、野生動物の王国とも言える大自然の中で生活できるだけでとても充実していました。

しかし20年春、コロナ禍で外国からの入国が禁止されると、外国人頼みのサファリ業界は全く仕事ができなくなってしまい、私も職を失いました。新たな仕事を求めて、国内の移動制限が緩和された20年8月から現地の映像会社と組んで始めたのが、バーチャルサファリです。

バーチャルサファリで紹介したゾウの親子

バーチャルサファリは1回1~2時間程度。HPで参加者を募る一般募集のツアーのほか、団体などが対象のプライベートツアーもあり、小学校の放課後活動や老人ホームの入居者、重い病気を抱えて入院している子どもたちへの慰問などで利用してもらったことがあります。

バーチャルサファリはコロナ禍をきっかけに始めたものですが、そもそも日本のみなさんにとってアフリカは遠く、訪れるのに時間もお金もかかる場所です。そうした壁を乗り越えて、気軽にサバンナの世界を体験し、環境保護について考える機会にしてほしいと思っています。

バーチャル保護活動というものも始めています。クラウドファンディングで資金を集め、出資者に活動の様子をネット中継で見てもらうというものです。今年3月に実施した第1弾のサイの保護活動では、ヘリコプターでサイを探すところから、密猟者に狙われる原因になる角を切り、野生に返すまでの一部始終を日本に配信しました。

バーチャル保護活動。サイが密猟者に狙われる原因になる角を切り落とした

活動を通じて、野生動物の保護に役立ちたくてもどうやっていいか分からないという方が本当にたくさんいらっしゃるのだと知りました。22年には第2弾として、生態調査のためにゾウにGPS装置を取り付けるという活動に取り組みたいです。

初めて南アフリカに渡ってから約6年。ガイドも保護活動も、思うように動物が見つからなかったり、天気次第だったりと、自然を相手にする難しさはありますが、あこがれだった活動を続けられていることに大きなやりがいを感じます。今後とも野生生物の保護に携わり続けていくために、生活基盤を整えていきたいと考えています。

■オフも大自然の中で

休みの日も大自然の中で過ごすのが好きです。1週間ほどの休みがあれば、クルーガーを離れて別の野生生物保護区を訪れることもしばしば。南アフリカは自然が豊かで、サバンナ以外にも手つかずの砂浜や砂漠、高い山脈などがあり、独自の生態系をはぐくんでいます。余裕ができたら訪れたいと思っている場所がまだまだたくさんあります。

オフの楽しみの野鳥観察に向かう

違う生態系の土地に行く時に楽しみなのが野鳥観察です。南部アフリカにはおよそ950種の鳥がおり、約420種まで見ることができました。私が足を運ぶサバンナにいる鳥はほとんど見てしまったので、早くほかの土地に行ってみたいです。

南アフリカには多くの民族がおり、多彩な食文化があります。仕事仲間に教えてもらって伝統料理を楽しむこともあります。とはいえ日本食が恋しくなる時もあり、料理は得意な方ではありませんが、日本から持ってきた調味料と現地で手に入る食材を使って日本食もどきも作ります。

サバンナでは魚が手に入りにくいので、野菜を具にして手巻きずしを作ったところ、仕事仲間にもとても好評でした。南アフリカ風のすしを売っているスーパーもあります。どちらも本物にはほど遠いものですが、南アフリカの味を堪能できました。

休暇で訪れた山頂で南アフリカ風のすしを楽しんだ

(聞き手・構成=太田航、写真は太田ゆかさん提供)