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アメリカを抜いた、世界一の大豆生産国 増える消費の裏で森林が消えている

World Now
北村玲奈撮影

世界の大豆生産量は、過去30年で3倍に増え、耕地面積は日本の国土の3倍の100万平方キロ以上になった。米国を抜いて生産量が世界一になったのがブラジルだ。米農務省の調べでは、2020/21年度の世界の生産量3.6億トンのうちブラジルは4割近い1.4億トン。半分以上が輸出される。日本の年間大豆需要量は367万トン(19年)で94%を輸入に頼る。ブラジル産は16%を占め、米国産に次ぐ。多くは食用油として消費されている。

シンクタンク「グローバル・フットプリント・ネットワーク」によると、人間が日々の生活で消費する食品や繊維、木材などに必要な海や陸の面積を計算すると、いまや地球が1.7個分もいる。人間の活動が地球の容量を超えてしまった状況で、私たちはこれまでと違うやり方を迫られている。

金融機関も動き始めた。アクサ・インベストメント・マネージャーズは昨年、「生物多様性に迫る危機:農業が生物多様性を脅かす理由と責任ある投資家ができること」と題したリポートを公表。ブラジルの大豆を例に挙げ、アマゾンの森林を伐採した農地などで作られた大豆への投資を回避するよう求めた。

生物多様性を減少させる要因に挙げられるのは、①森林破壊や干潟の消滅など陸地や海洋の変化②野生種の直接採取③気候変動④大気や水、土壌の汚染⑤外来種の侵入、の五つ。これらは相互に絡み合う。

例えば、森林が破壊されると固定されていた二酸化炭素(CO₂)が放出され、温暖化が進む。温暖化が進むと火災などでさらに森林が減るなどの負のスパイラルが起きる。逆に、森林を保全すれば大気中のCO₂を吸収し、生物多様性も維持される。

自然保護が目的ではなく、自然を守り生かすことで、気候変動や食料、健康、災害など様々な課題に立ち向かう。そんな「自然に根ざした解決策(Nature-based Solutions)」と呼ばれる手法が、いま私たちに求められている。(石井徹)