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ファストフードを批判し続けてきた私が、ついにハンバーガーを口にした

マイケル・ブースの世界を食べる
北村玲奈撮影

私が加工度の高いファストフードをどう思っているか、みなさんすでによくご存じかもしれない。特に、アメリカの食の巨大複合企業によって地球規模で製造されているハンバーガー、ピザ、フライドチキン、冷凍即席ミール、あの緑と黄色のロゴのカウンター式サンドイッチチェーン。これらは私たちの食のシステム、教育、健康、環境、文化などあらゆる面にとって問題となる。脂肪、糖分、炭水化物を巧みに合成した安い工業用部品(私は「原材料」、まして「食べ物」などと呼んで威厳を持たせたりしたくない)をところかまわず複製・構築しながら、世界中でその土地固有の食文化や農業、そして人々の健康を破壊しているのだから。

だからこれから言おうとしていることは、どこかこう、矛盾して見えるかもしれない。しかしながら告白しようと思う。私は先日、世界で最も有名なハンバーガーチェーン二つのうち一つでハンバーガーを購入、摂取した。パティを「直火焼き」するあの店だ。

自己弁護ではあるが、その日は欧州の一角を走る高速道路を長く運転していて、そこは実質、食の不毛の地であった。私は安全に運転することが危ういくらいおなかが減りに減っており、普段食べてもよい、あるいは倫理にかなうと思えるようなところまで少なくとも300キロ以上離れていたのだ(日本ではないので、あの素晴らしい、それ自体が食の目的地たりえるサービスエリアもない)。

■もう逃げ道はない

自分自身にも、親愛なる読者諸氏に対しても裏切り者になった気がした。ドライブインで人間味のない窓口の前で止まり、姿の見えない声に向かって注文するその時も引き返そうかと思ったほどだ。よく利用する方ならおわかりの通り、ドライブスルーは後戻りができない。ファストフードのレーンに身を投じたが最後、逃げ道はないのだ。

若い頃はこういう店で注文するのに時間はかからなかった。誰にでも自分の定番メニューがあることだろう。ものを知らず、陸上のオリンピック選手のようにカロリーを燃やすことができたティーンエージャーにとっては「チーズバーガー3つ、ポテトのL、それとチョコレートシェーク」と注文することなどなんでもなかった。

この年にもなると、カロリー過多な注文は破滅的だ。運転中でも30分と経たずに眠りこけてしまったかもしれない。だから、バックミラーに映る列や別の注文口にいる客の荒い息遣いにストレスを感じつつも、しばしメニューをよく読んだ。そしてついに、ある言葉に目がとまった。「トーキョーブラックガーリックバーガー」

もちろん東京は大好きだ。黒ニンニクというのもなかなかいい。そしておかしなほど安かった。商品を受け取りながら「何も考えずに買っちゃう人もいるわけだ」と一人思った。車を止め、なじみある茶色い紙袋の中から店の包装紙にくるまれたやわらかい包みを取り出す(ところでこの包装紙、食欲を刺激するためにわざとカサカサ音がするようにできている)。不快な味や食感がするのではと思い浮かべて、疑い深く一口食べてみた。

もちろん、トーキョーバーガーだからといって東京で食べるような味ではなかった。私は何を期待していたんだろう。今思えば日本では黒ニンニクなんて見たことがない。後になって気づいたが、あのハンバーガー一つで967キロカロリーという。成人男性が一日に必要とされるカロリーの3分の1を超えている。

しかしおそろしいことに、味は悪くなかった……実はけっこう満喫したのだった。うまみは規格外だった。何よりおそろしいのはもう一つ食べてもいいと思ったこと。次は二つ注文するかもしれない。

そういうわけで、結局ファストフードの何が危険かというと、最近ではどこもそこまで悪くないということだ。次は電車を使うとしよう。(訳・菴原みなと)